宇宙兄弟

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#87

2013年12月21日
「自分の場所へ」

PD(パニック障害)を克服するため、極秘でリハビリを続けていた日々人は、その夜、イヴァンに送って貰った『オリガの成長記録ボリューム・ツー』を観ていた。

映像の中のオリガは11歳。
上手くなったオリガのバレエに、日々人も喜びを感じていた。
だが突然、映像の雰囲気が変わる。オリガは右足首を押さえ、苦痛の顔で床に蹲ってしまったのだ。

その事故から5日目——。
怪我で動けないオリガは、バレエ以外のことがしたいと、諦めモードになっていた。怪我はおそらく一ヶ月ほどで治る程度のものだったが、結局、11歳のオリガは、怪我以降一度も踊らなかった。

オリガが12歳になった頃、宇宙へ飛び立っていたイヴァンは、バレエを諦めてしまった娘を想い、ISSからメッセージを伝えた。
オリガに、本当に好きだったことは何か、やりたいことは何か、思い出して欲しかったのだ。その中継で、なんとイヴァンは、ISSの無重力空間でクルクルとピルエットの姿勢で回り始めた。

「ほ~~うら! 見てるかぁ、オリガ?」
その楽しげな父の様子に、オリガはバレエの楽しさを思い出す。
そして、再びバレエを始めたのだ——。

オリガの映像に励まされ、勇気をもらった日々人は、レベル10の訓練をやってのけた。残るは本物の船外宇宙服だが、勝手に持ち出すのは不可能だった。日々人は、PDを克服したことを直接見てもらうしかないと思い、バトラー室長に、宇宙飛行士に戻るための試験をやってもらう事を頼む。

「宇宙飛行士に——戻る準備ができました」

その後日、ブライアンの命日——。
墓参りに来ていた日々人は、亡きブライアンに今の気持ちを相談していた。試験への気合は十分だが、失敗したら二度と宇宙へは行かせてもらえないため、不安になっていたのだ。

「あんたなら……。どうする、ブライアン……」

その時、後ろから声がした。
「よう、お前もか、日々人」
ハッと振り向いた日々人、その前に立っていたのは、吾妻で——?

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