宇宙兄弟

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#86

2013年12月14日
「明日のために」

NEEMO訓練の最中、シャロンから『月面望遠鏡計画が中止になった』と聞かされた六太は、今は実現不可能と気持ちを切り替え、自分が出した月面望遠鏡制作案を取り下げた。

だが、そのかわりに出した六太の案『ソーラーミラーシステム』は、ケンジやバトラー室長、NASAの幹部たちまでも、驚かせることとなった。『ソーラーミラーシステム』とは、鏡の反射を使って、窓のない基地に太陽の光を取り入れる、照明装置である。宇宙飛行士は、月面生活のほとんどを基地の中で過ごす。そのため、月面でもし節電を余儀なくされた場合、窓のない月面基地では、部屋も気持ちも暗くなってしまう。
そのことに気付いた六太は、『設備を追加するなら中を改善したい』と考えたのだ。NASAの幹部たちは、『自分が本当に月面にいるつもりでなければ思いつかないアイデア』を出したとして、六太を高く評価した。

一方、PD(パニック障害)に苦しむ日々人は、安全スーパーバイザーとして危機管理運営会議に参加していた。しかしその会議内容は、宇宙飛行士の仕事とは関係ないものばかり。だが日々人は宇宙を諦めず、会議後もこっそりバックヤードにこもり、極秘のリハビリ訓練を続けていた。
現在の訓練レベルは9。レベル10の本物の与圧服をクリアすれば、最後に船外活動用宇宙服を着ることとなる。その訓練が上手くいけば、日々人は完全復帰できるのだ。

その夜——。
日々人は、イヴァンから送られてきた『オリガの成長記録ボリュームツー』のDVDを観ようとしていた。映像にはバレエの練習している11歳のオリガが映っており、先生からも上手になったと褒められていた。その順調さを感じ、笑みをこぼす日々人。その傍らではアポも「へっへっへっ」と見ており、和やかな空気が漂っていた。

しかし、映像の雰囲気が一変する。
撮影していたイヴァンが、突然叫んだのだ。

「オリガ! 大丈夫かオリガ!」
オリガの身に何が——!?

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