宇宙兄弟

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#83

2013年11月23日
「俺とケンジ」

NEEMO訓練3日目——。
六太たちには、重い試練がのしかかっていた。
それは、自分とケンジの二人のうち、月に行けるのは、どちらか一人だけという事実だった。

互いを最高のパートナーだと思っていただけに、ショックを隠せない六太とケンジ。
六太はシャロンのため、ケンジは家族のため、これまで辛い訓練も互いに励まし合い、頑張ってきた。これからどう接していけばよいのか、なかなか答えをだせないまま、相手の差し伸べた手も掴むことができず、すれ違うようになってしまった。

応援してくれる家族のためにも、六太と競うことを決意したケンジは、今回出した3つの案で、必要なものと、そうでないものを考え直すことにした。その結果、少ない時間でより良いものを作るため、大容量の通信アンテナと、六太が切望していたシャロンの月面望遠鏡を、建設しないことを提案する。ケンジの指摘通り、限られた時間ではいくつも施設を作ることは厳しい。六太は反対意見を出すことができず、肯定してしまう。

船外活動中、ガゼボでアンディと一緒になった六太は、『選ばれなかった方は、この先ずっと月へは行けないのか』と聞いた。アンディから返事は『いつ誰を何のミッションに任命するかなんてことは、誰にも分からない』ということだった。
事実アンディ自身も、なかなかアサインされず、随分待たされたという。同期の仲間がどんどん先に選ばれる中、なぜ自分だけ選ばれないのか、考え、苦しんだ時期もあったらしい。そんな辛い時期、アンディは考えるのをやめ、いま目の前にある訓練や仕事をさらに増やして、それで頭をいっぱいにしたという。

アンディの言葉を受け、ようやく自分の信念を取り戻した六太は、皆の大容量通信アンテナも、月面望遠鏡も本当は必要だと思っていることを伝えた。

「時間内でどこまで作れるのか、みんなであがいてみませんか」
自分たち宇宙飛行士は、宇宙へ行けるかわりに、誰かの願いに応えないといけないのだ。

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