宇宙兄弟

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#82

2013年11月16日
「宇宙家族」

NEEMO訓練2日目——。
地球上でもっとも月面を再現できる場所で、月の訓練をすることになった六太たち。最終日を除く12日間でやる課題は、『三分の一スケールの月面基地、および周辺設備のモデルを船外に建設すること』、そして『各チームの新人飛行士2人が、基地の新しい設備などのアイデアを出し合い、先輩飛行士2人が採用案を検討すること』だった。

新人である六太とケンジは、さっそく互いの意見を出し合い、新しい施設案を検討する。2人とも、いま実在している月面基地を発展させる方向でいくことで意見が一致し、将来的に実現可能な基地の設備を考えることに決めた。そして、大容量通信アンテナ、ローバーなどの充電ポスト、シャロンの月面望遠鏡など、互いを尊重しながら、次々とその内容を決めていく。意見をぶつけることもないため、サクサク決まり、どんどん進む。互いに最高のパートナーと感じており、このコンビで月に行けたら楽しいだろうなと思っていた。

しかし、そんな六太とケンジのコンビの状況に、先輩飛行士たちは危機を感じていた。船外活動中にも関わらず、アンディから作戦会議ができるガゼボ(酸素補給場所)に呼ばれた六太とケンジ。そして集合した六太とケンジに、アンディからとても信じたくない発表があった。

「お前ら二人のうち、月に行けるのは、どちらか一人だけだ」

この決定事項を伝えた理由は、事実を知って競合させれば、必死になり集中力も高まり、チーム全員のメリットになると判断したからだった。これからは、六太とケンジは協力し合って課題に取り組むのではなく、互いにライバルとして接しろ、ということなのだ。

この事実を聞き、六太は驚愕の顔でケンジを見る。視線の先のケンジは六太を見ず、ただ茫然自失でうつむいていた。お互いを最高のパートナーと感じていただけに、ショックを隠せずにいたのだ。それを見た六太は、思わずケンジから顔を逸らしてしまい——…?

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