宇宙兄弟

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#69

2013年8月10日
「日々人に並ぶ」

2026年8月23日、日本にてアニメ版ミスターヒビットがスタートした頃――、六太はジョンソン宇宙センターの超巨大プールにて、無重力に似た環境での船外活動の訓練に励んでいた。
2026年11月1日には、六太や宇宙飛行士仲間たちが、デニール・ヤング、68歳の誕生日を祝い、丸いグラサンをプレゼント。

2027年6月20日――たくさんの訓練とイベントを経て、六太たちは『デニール引退の日』を迎えた。

引退式直前、ラストフライトのためマックス号へと向かっていた六太に、デニールは一つの頼みごとをする。それは、離陸から着陸まですべて六太にやって欲しいというもの。本来、訓練生が離着陸を任されることはないのだが、「お前はワシが育てたんだ。自信をもってこの身をゆだねられる」とデニール。規約違反になると戸惑いつつも、六太はデニールの最後の頼みを受け入れる。

「最後の生徒がお前でよかったぜ、ムッタ」

ラストフライト後――引退式。
主役であるデニールを囲み、六太や職員たちが、水の入ったバケツを構えて立っていた。デニールは軽く笑みを浮かべると、六太の目をまっすぐ見て言った。

「心のノートにメモっとけ。引退式でぶちまける水の勢いは、退く者への感謝の大きさに比例する」

六太は泣きそうになるのをこらえ、誰よりも先に、バケツの水を遠慮なきスイングでぶちまけた。その大きなしぶきは、デニールへの大きな感謝の証となり、職員たちの水しぶきが後に続く中、六太の心のノートには、デニールとの日々がメモられていた。

そして――ついに六太たち訓練生は、正式な『宇宙飛行士』に認定された。これでようやく、六太は日々人と並ぶことができたのだ。
さらに、バトラー室長に呼び出された六太は、重大発表を聞くこととなった。1年半後のミッションで、六太がバックアップクルーに推薦されたというのだ。

いきなり日々人にならぶ出世コース、驚いた六太の反応は――!?

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