#63
2013年6月22日 「若き日のドキドキ」
ジョンソン宇宙センター・講義室――。宇宙飛行士として認定されるには、ジェット機、T―38の操縦資格が必要である。そのため六太たち訓練生は、空軍の学生が3週間かけて習う内容を、3日間で覚えることとなった。さらに5日後には筆記テストが行われるらしく、そのテストの結果次第で今後の訓練の各種優先順位が決まってくるため、誰よりも早く月へ行きたいと思っていた六太は焦っていた。「順位がつくものなら、常にトップを狙わねえと――!」その頃、ゴダード宇宙飛行センター・カフェテラスでは――。会議を終えた天文研究者たちとシャロンが、ワイワイと盛り上がっていた。シャロンが提案した電波望遠鏡の計画に好感を持ち、同じ研究者であるモリソン博士らが話しかけてきてくれたのだ。しかもモリソンは、シャロンと同じく、思い入れのある小惑星の姿を、鮮明に見たいと願っているらしい。同じ志の仲間を見つけることができ、シャロンの計画は、一歩一歩実現に近づいていた。そして――。シャロンは日々人たちに会うため、ヒューストンへと移動する。久々の再会に喜ぶシャロンだが、どうにも体調がよろしくない様子。手に力が入らず、バランスも崩してばかりなのだ。念のため医者にも診てもらうが、異常なしとのこと。シャロン自身も時差ボケによる脱力感であると思っていたが、果たしてそうなのだろうか。その夜――。レストランでは、ケンジやせりか、南波父母やシャロンたちが集まり、『日々人お帰り会』が行われていた。せりかは、子どもの頃からファンだったシャロンに会うことができ、感激。しかしふと見ると、シャロンの手にしていた携帯は、ところどころが欠け、傷が付いていた。それは、病気だったせりかの父と同じ状態。不安を感じたせりかは、シャロンの左腕を取ると、肘のあたりに手をあてた。その反応を診て、青ざめるせりか。シャロンの症状は、せりかの父と同じ病気のようで――……?