宇宙兄弟

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#60

2013年6月1日
「海人(うみんちゅ)と宇宙人(うちゅんちゅ)」

宇宙飛行士候補生の訓練として、カムバックコンペティションに参加することになった六太たちは、2週間の準備期間を経て、ついに大会当日を迎えていた。

しかし、六太たちE班には試練が待ち受けていた。局地的な雨によって、コースの一部がぬかるみになってしまっていたのだ。
E班のローバーはスポンジタイヤ。スポンジが水分を吸収してしまったら、負荷がかかって止まってしまうのだ。打ち上げまで時間がない。
六太たちは、スポンジタイヤを濡らさない方法を、早急に考えなければならなくなった。

宿泊していたホテルに戻り、なにか使えるものはないかと探す六太たち。
案内して貰った備品倉庫で、六太は気づく。
このコンペの訓練は、チームワークの向上だけが目的はないこと。
今体験しているのは、宇宙開発の縮小版であり、宇宙飛行士を無事に送るため、支える側の人達がやってきた仕事なのだ――と。

六太たちがコンペ会場のテントへ戻ってくると、すでにロケットの打ち上げが始まっていた。

「大丈夫だよ、みんな。想像では、うまくいってる!」

六太は、備品倉庫で手に入れた『シリコンボンド』をスポンジタイヤに塗ると、見事、水濡れを防止することに成功した。

コンペ結果発表――。

六太たちE班は、全体の5位になることができた。
1位のチームは、日本からきた海人チーム。
どのチームもゴールまで届かない中、海人チームのローバーは圧倒的なスピードで、ゴールフラッグに辿り着いたのである。
日本人同士ということもあり、気さくに話しかけてくれる海人チーム。
そしてなぜか、海人チームの上司が六太と電話で話したがっているとのことだった。
その上司とは、かつて一緒に宇宙飛行士を目指した仲間、今は民間ロケット工場で働いている福田だった。
『こっちもがんばってるよ――君たちが宇宙へ行ける頃に、僕らも日本の有人ロケットを、宇宙へ送り出せるようにね』
福田も日々、宇宙に向かって進んでいたのだ――。

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