#59
2013年5月25日 「誓いのサイン」
宇宙飛行士候補生の訓練、カムバックコンペティションの準備をする中、なぜか六太は、サポート役のパラシュート技術者、ピコ・ノートンから飲みに行かないかと誘われる。酒の席には候補生たちの教官であるビンセント・ボールドもおり、どうやら2人は、失敗に前向きな六太を、共通の親友・リックと重ねているらしかった。リックとピコとビンスの子供時代――。3人の夢は、いつか自分たちでロケットを作り、宇宙へ行くこと。それは、『いつか宇宙へ行く』と毎日誓いを交わすほど、熱心だった。しかし親や教師たちは、3人の夢に反対していた。将来は鉱山で働くよう強く説得していたのだ。ピコとビンスは反抗することが出来ず、宇宙への夢を諦めると言い出す。『テンションの上がる仕事じゃねえが……鉱山技師も悪くない』『宇宙への夢は最初から俺たちにはでかすぎた』2人の諦めの言葉を聞き、リックは激高した。『こんなど田舎の街で宇宙に本気で憧れた3人が出遭えたんだ。俺はそれだけでも、奇跡だと思ってた。拳を合わせる気がねえんならもういいよ。勝手に鉱山でもどこへでも行ってくれ――俺は絶対諦めねえからな』それ以来、3人は決別してしまった。そして――。ビンスとピコが進学の説明会に出席した日の午後、リックは事故で死んでしまった。乗用車に乗っていたリックは凍結した路面にハンドルを取られ、そのまま湖に突っ込んでしまったのだ。ピコとビンスは、この日のことを死ぬほど後悔した。後悔という言葉では、全く足りない程に――。ISSが来る日――ピコとビンスは夜空を見上げていた。「テンションの上がらねえことに……パワー使ってる場合じゃねぇ………!」「迷ってるヒマなんてない。人生は、短いんだ……!」ピコとビンスは拳を上げ、『宇宙へ行く』という誓いのサインを、力強く交わすのだった。そして、現在――。大会当日を迎えた六太たちE班は、また新たな試練にぶつかってしまい――?