宇宙兄弟

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#58

2013年5月18日
「本気の失敗」

宇宙飛行士候補生たちが「カムバックコンペティション」へと挑戦する中、なぜか六太はピコに気に入られ、酒の席へと誘われていた。

集合場所である酒場へ向かっていると、駐車場で教官・ビンスと出くわす六太。聞けばビンスもピコと酒を飲むらしく、酒場まで車に乗せてくれることとなった。道すがら、猛スピードで車を運転しながら、ビンスは六太に質問を投げかける。

『君にとっての、敵は誰ですか?』

ビンスにとっての敵は、マスコミだという。
理由は、マスコミの大多数が宇宙開発、有人飛行を長い目で見てはくれないからだった。他にも、国の予算が有人に多く使われることに反対し、口をそろえて金のムダ遣いといい、無人機のみの宇宙開発を提唱する、科学者、ロボット業界、天文学者たち。有人飛行を邪魔する者は、ビンスにとってはみんな敵のようだった。六太は答えた。宇宙が好きで関わっているのなら、みんな仲間でいいのではないか――?

『俺の敵は、だいたい俺です』

自分の宇宙へ行きたいという夢を、さんざん邪魔して、足をひっぱり続けたのは、結局自分であり、そういうことに気付かせてくれたのが、天文学者のシャロンだった――と。

酒場でピコと合流すると、話題は六太の『失敗に前向きな性格』へと変わる。『本気の失敗には価値がある』と言い放つ六太に、ピコとビンスは少年時代共通の友達だった、リックのことを思い出していた。

ピコとビンスが生まれた町は、ミネソタ州・ポットヒルの田舎町。宇宙に憧れ、ロケットを作りに奮闘しながら、共通の友達リックは口癖のようにこう言っていた。
『本気の失敗には……価値がある』――と。

ピコ、ビンス、リックの3人の将来の夢は、有人ロケットを作り宇宙へ飛び出すこと。
管制官になったリックが、宇宙飛行士になったビンスに指示を送り、そのビンスは、ピコの作った宇宙船に乗るのが目標なのだ。

しかしこの夢を、親や教師、町の大人たちは皆反対しており――?

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