宇宙兄弟

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#55

2013年4月27日
「遠すぎるゴール」

宇宙飛行士候補生・アスキャンが、砂漠70キロを踏破するサバイバル訓練の最終日。
にも関わらず、六太は高熱にうなされ、ダウンしてしまっていた。
一人でもリタイアすれば、仲間全員がリタイアしたことと同じ。
E班全員がリタイアするか、それとも今日中のゴールを目指して進むか、六太は判断を迫られていた。
しかしこの日のリーダーは、未来が見えるアマンティ。
彼女にはわかっていた、六太が続けるということを。

「南波の荷物は、俺が全部持つよ。当然だ」
六太の具合が悪くなったのは自分のせいと思っていた新田は、出発の時、六太のリュックを持ち上げ、一人で背負おうとしていた。
しかしケンジもせりかも、仲間全員、六太の荷物を持ち、サポートする気満々。

仲間の優しさに救われ、六太は思う。
「最下位でもなんでもいいから絶対……ゴールまで歩いてやる。1位と最下位の差なんて――大したことねーんだよ」

辛い道中だったが、ようやくゴールが見えてきた。
「着いた……これでようやく次の訓練に――ん?」
六太たちの視線の先に、上空からパラシュートの付いた物体が落ちてくる。
やがて車道脇の乾いた大地にドシュッと落ちる――と、パラシュートの先についていた物体、留め金がバカッと外れ、ザザッとタイヤのようなもの(キャンサット)があたりを走行しはじめた。
それはサバイバル訓練をトップでゴールしたA班のもの。
カムバックコンペティションに参戦するため、早々に研究している真っ最中だったのだ。

カムバックコンペティションとは、昔から開催されている、宇宙好きの学生たちを中心とした超小型衛星・キャンサットの打ち上げ大会のこと。
アスキャンたちは次の訓練で、キャンサット(パラシュートの展開システムと、自動制御で動くローバー)を作るのだ。
指導してくれる技術者を選べるのは、サバイバル訓練のゴール順。
そのため最下位のE班は、残り物の『やる気のない訓練教官』を掴まされてしまい――?

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