宇宙兄弟

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#53

2013年4月13日
「生きて二人で月に立とう」

日々人が月に来て2カ月――。

「俺ももう全然行けるんだけど、外」

船外活動するフレディとリンダを眺め、日々人が羨ましそうにつぶやいた。
あの事故以来、日々人には船外活動の許可がおりないでいたのだ。
サポート中のバディと話しながら、月に来てからのことを振り返る日々人。
2カ月よりもっと長い間月にいる気がするのは、やはりあの事故のせいのようだった――。

日々人たちが月に来て間もなくの頃――。
無人探査機・ギブソンとの通信が途絶えた。
管制からその連絡を受けた日々人とダミアンは、ギブソンを見つけ出して修理するため、基地を離れることとなったのだ。
しかしその途中、日々人とダミアンが乗ったバギーは、突然の衝撃に見舞われてしまう。

気づくと、そこは太陽光の届かない暗い谷底だった。
一緒にいたダミアンは足をケガして立てなくなっており、音声機能と体温を調節する循環機能も故障してしまったようだった。
そして日々人も、酸素のメインタンクを脱出の際に破損してしまい、危険な状態となってしまう。

それでも日々人は諦めず、凍え続けるダミアンを発見したギブソンに乗せ、太陽の光があたる安全な場所へと連れて行く。
だがその時にはもう、日々人の酸素は残りわずかとなっていた。
どう考えても、基地からの救援は間に合いそうにない。
どうせ死ぬなら満点の星空を見て死にたいと思い、日々人は再び谷底へと向かおうとしていた。
しかしその途中、ピカッと光るモノを視界の端でとらえる。
気になって光に近づくと、それは大先輩ブライアンが『いつか兄弟で月に立てるように』と望んで残したフィギュアだった。
さらに奇跡は続き、日々人の目の前には、酸素を生成できるローバー・ブライアン3号も現れたのだった――。

――そして現在。

『今度あそこに行く時は、きっとムッちゃんと一緒だ』

日々人はブライアンフィギュアが置いてあった場所を思いながら、六太と交わした約束が果たされることを願うのだった。

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