#51
2013年3月31日 「生きた石コロ」
夜の砂漠を戻り、ようやく携帯電話を捜し出すことができた六太と新田。だが時はすでに遅く、新田がずっと待っていた、弟・カズヤからの着信には、間に合わせることができなかった。キャンプ場所へと戻る中、肩を落とす新田に、『カズヤともし話せたら、何を話すつもりだったのか』と尋ねる六太。新田は重い口を開くと、カズヤも住めるようにヒューストンに広い家を借りたこと、『気が向いたら遊びに来い』くらいは言うつもりだったこと、そして、南波兄弟を羨ましく思っていたことを告白した。それを聞いた六太は、出来過ぎた弟を持つと苦労すること、新田が羨むほど素敵な兄弟でもないこと、そして、お互い様だから言わせてもらうと前置きした後、新田のような弟を導ける兄になりたかったことを告白した。その頃カズヤは、今晩アメリカ上空で見える流星群の情報を、JAXAのホームページで確認していた。カズヤもまた、アメリカにいる兄のことを想っていたのだ。そして何気なく、アスキャンたちのメッセージ動画に、新田の名前を見つけると――。『今……自分の居場所がないと強く感じていて――小さな世界に閉じこもっている人がいたら、聞いてください。それこそが、外に飛び出す原動力です』思わず目頭を熱くするカズヤ。それは、『一歩踏み出す勇気をもって欲しい』という、兄・新田からのメッセージだった。電話では話すことができなかったが、それでも新田の想いはカズヤに伝わっていた。そして――。長い道のりの末、六太たちはようやくキャンプ場所へと戻ってきていた。新田はみんなに謝ると、戻った理由、自分に弟がいることを全て打ち明けた。アマンティが初対面時に『新田には弟がいる』と言った占いは、ちゃんと当たっていたのだ。そのこともあり、六太は不安なことを思い出していた。アマンティの占いでは、自分の身に良くないことが起こるらしいのだ。六太を待ち受ける不吉なこととは、一体なんなのか――?