宇宙兄弟

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#44

2013年2月10日
「3人の宇宙飛行士」

自らの状況を重く受け止め、死を覚悟した日々人。
しかしその直後、思わぬ所で大先輩・ブライアンが残した宝物に出会うことができた。
だがすでに酸素残量はゼロ、酸素不足の息苦しさから、日々人にはまたもや幻聴が聞こえていた。

『助けてやろうか? ヒビト』
薄れゆく意識、その中で見つめた先には、なんとブライアン・Jが立っていた。
『来てやったぞ、ヒビト。この大先輩ブライアン・Jが――』
そして歩いてくるブライアンの背後にも、何かが見えてきた。
それはプレートに『BRIAN―03』と書かれた、酸素を生成できるローバー・ブライアン3号。

「やっぱり……来てくれるんだな、あんたは」
こうして日々人は、今にも気を失いそうな状態の中で必死に手を伸ばし、なんとかブライアン3号から酸素をもらうことができた。
NASAのコントロールセンターでは、日々人の無事を確認し、ほっとした様子のクラウドが吾妻に話しかけていた。
実は吾妻は、六太の判断を信じ、自ら指揮をとって20キロ離れた場所にブライアン3号を移動させていたのだ。
「アズマ……君のおかげだ。君がここにいてくれたから、ヒビトを助けられた」
クラウドの言葉に吾妻が返す。
「俺の判断じゃないですよ。ヒビトの兄の判断です――ナンバムッタ。もうすぐ、我々の仲間になる男です」
2日後――。ずっと日々人を心配していた六太は、ようやく交信を許され、JAXAのモニターに向かっていた。
画面の中の日々人は意外にも元気そうで、自分は3人の宇宙飛行士に助けられたと言う。

1人目は月面に人形を置いてくれ、自分を呼び止めてくれたブライアン・J。
2人目は指揮をとってブライアン3号の自分のもとへ送ってくれた吾妻。
そして3人目は、ブライアンの行き先を示してくれた六太だ――と。

「ありがとな、ムッちゃん――俺らは生きて、一緒に月面に立とうぜ」
日々人の言葉に、目頭を熱くさせた六太が答えた。
「バカヤロウ……当たり前だ――」?

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