宇宙兄弟

今までのお話バックナンバー一覧

#42

2013年1月27日
「日々人の選択」

凍え続けるダミアンをギブソンに乗せ、太陽の光があたる場所を目指して崖の斜面を走る日々人。
だが崖上まではまだ距離があるにも関わらず、ダミアンの鼓動はどんどん早くなっていた。

『今すぐ熱をつくらねえと。どーすりゃいい……!? 熱……! 熱……!』

なにかすぐ対応しなければと持ち物を確認したところ、日々人は自分の宇宙服に取り付けられた照明弾に気づいた。
そして、照明弾の発光熱で石を熱くし、それをダミアンの宇宙服に固定すれば、凍り付いた循環水を溶かせるかもしれないと考える。

残された照明弾は一つだけ、使ってしまえば自分たちの居場所がフレディたちに知らせることができない――

が、日々人はダミアンの命を最優先に考え、すぐさま行動。
なんとか時間を稼ぎ、ダミアンを崖上の太陽の光が当たる場所へと運ぶことができた。

一方NASAでは、日々人たちが崖から脱出したことにより、宇宙服の信号を捕えることができていた。
その信号の場所は、バギーが落ちた地点から20キロ移動した所、六太が地図を見て推測し、JAXAが伝えてきたポイントだった。
日々人たちの生存にほっとしたのもつかの間、いままで管制が知らなかった問題が発覚する。
ビートルが救出するまで20分はかかるのに、日々人の酸素が残り10分ももたないのだ。

ダミアンを安全な場所へ移すと、日々人は自分の置かれた状況を重く受け止め、一人月面を歩きだした。
どうせ死ぬなら満天の星空を見て死にたいと思い、再び谷底に落ちようと思ったのだ。

『俺の死体を引き上げるのにフレディたちに面倒かけちまうが、まあ許してくれよ、それくらい』

崖の淵に立ち、ザッと一歩を踏み出そうとしたその瞬間――

日々人の視界の端に光が見えた。
それは月面着陸直後に見た謎の光だった。

『どうせ死ぬなら、謎の光の正体を知ってからがいい』

残された時間はあとわずか、ゆっくりと光の方へと近づいた日々人が、そこで見つけた驚くべきモノとは――?

バックナンバー一覧はコチラ