宇宙兄弟

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#40

2013年1月13日
「天国で地獄」

通信が途切れた無人探査機ギブソンを捜索するため、月面をバギーで走行する日々人とダミアン。
道中では楽しげな会話もしていたが――慣れない視界のせいで乗っていたバギーが深い谷へと突進、そのまま一気に暗闇へと姿を消してしまった。

気づくと、日々人が落ちたのは太陽光の届かない暗い谷底だった。
衝撃で朦朧とする意識の中、日々人は大先輩であるブライアンにかつて質問されたことを思い出す。

『自分が死んだらどうなるか――天国と地獄はあると思うか?』

日々人の答えは『ない』だった。

天国も地獄も、生きている時にみるものだと思っていたのだ。
起き上がると、日々人は冷静に自分の置かれた状況を把握した。
まず宇宙服の酸素はメインタンクだけで10時間は持つようだった。
救援までは約4時間。
辺りは真っ暗で、ダミアンの姿はどこにもなかった。
不安は募る一方だが、ふと見上げると頭上には目映いばかりの星空が広がっていた。

『めんどくせー場所だな、ここは地獄のくせに天国に見える』

深い闇に落ちたせいで死ぬほど星がキレイに見えたのだ。
しばらくすると、捜していた無人探査機ギブソンを見つけることができた。
そしてその前方に、幸運にもダミアンが放った照明弾を確認した。
なんとかダミアンの傍まで駆け寄り、その安否を確かめる日々人。
ダミアンは足をケガして立てなくなっており、音声機能と体温を調節する循環機能も故障してしまったようだった。

ダミアンは日々人の足手まといにならないよう『自分を置いていけ』と伝える。

そんな彼を前に、日々人はダミアンの息子アランのことを想っていた。
アランのためにもダミアンを助けたい、そう思った日々人は、ギブソンでダミアンを運ぶため、彼を担ぎ岩を登ることを決めた。
だが、壁面に手を掛け上ろうとした瞬間――岩が崩れ、日々人はそのまま落下してしまう。
背中から落ちた日々人の酸素タンクにはヒビが広がり、そのまま爆発的な音が出て――?

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