宇宙兄弟

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#34

2012年11月25日
「月夜の晩にパグとハグ」

無事に月へと到着した日々人たちCES―51クルーは、月面基地ファーストベースへと移動するため、与圧服を着こみビートル1号に乗車しようとしていた。
ずっと真空だったビートルの車内には、2時間前から新しい空気が送り込まれているはずである。
管制によれば数値に異常はないとのことだったが、今からその車内で与圧服を脱ごうとするクルーには不安がよぎっていた。

『もしヘルメットを脱いだ時、正常な空気が入っていなかったら……?』

なんといってもここは宇宙空間、メーターでは確認できないような得体の知れないガスが発生してしまっているかもしれないのである。
みんながなかなか与圧服を脱げないでいる中、意を決し、船長であるフレディが脱ぎはじめようとしたその時――。

「ちょっとみんな! 脱がねーの?」

見ると、驚くことにもう日々人は脱いでしまっていた。
なにやら風呂に入っていない自分のニオイに驚いた様子だが、月でも相変わらず飄々としている日々人なのだった。

翌日、日々人とバディは、降り注ぐ放射線や小さい隕石から基地を守るため、砂をかけるミッションを開始する。
作業しながら、日々人はバディに着陸直後に見た『キラッと光るなにか』の話をしたのだが、だたの『キラッ』だったため、UFO好きのバディは興味なさげ。
日々人にはどうにも引っかかっているようだが、確かめるすべは今のところない。

一方、合格発表のため幸運犬・アポを連れて日本へと帰国していた六太は、母に頼まれスーパーに買い物に来ていた。
六太は発表までは運を使いたくなかったにも関わらず、くじ引きで当たったり、半額シールを貼ってもらったり、さらには財布を落としても美人に拾ってもらえたりと幸運続き。
意に背いて少しずつ運が消費されていくことに、たいそう焦りを感じていた。

そして3月15日、最終試験合格発表の日がきた。
わずかな運の量になったまま、ついに南波家の電話が鳴ってしまい――?

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