#26
2012年9月30日 「痛みを伴う面接」
日本人初の月面着陸者となる日々人の打ち上げまで、あと7日。日々人たち宇宙飛行士は、ウイルス感染などを起こさないよう、NASAの隔離施設に入っていた。一方六太は、ジョンソン宇宙センターの一室で、宇宙飛行士を選抜する最終試験を受けようとしていた。審査員の中には日々人を妬んでいるという吾妻もおり、不安がよぎるのだが……六太の一番の心配はそのことではなかった。先日のスクワットが原因で筋肉痛になり、座れなくなってしまっていたのだ。六太は確信していた。最大のポイントは面接ではなく、終わってイスから立ちあがる瞬間だと――!面接トップバッターである六太が会場へ入ると、そこには日本人宇宙飛行士たちが勢ぞろいしていた。痛みをこらえ、なんとかイスに腰かけたまではよかったが――ガキンッ! とイスのネジがはずれ、六太は後ろに倒れてしまう。本当は六太の実力を試したかった紫三世(むらさき さんせい)のイタズラだったが、そんなことは知る由もなく、六太はひたすら笑顔をキープするのだった。あっさり終わった最終面接の翌日、六太たちはJAXA主催の親睦会に参加していた。受験者たちは知らないが、実はNASAでの面接はフェイクで、この親睦会こそが受かるか否かを決める場だったのだ。一緒に宇宙で生活を送っていけそうか、自分の命を預けることができるかどうか、肩の荷を下ろし素に近くなった受験者たちを、現役の飛行士たちが感覚に従って観察するのである。そんな中、紫も六太に近づき、『みんなのことをどう思っているか』の質問をしていた。正直に、新田は携帯の待ち受け画面がネコ、絵名はクシャミが変、森嶋は話す直前に必ず唇をひとなめするクセがある、などなど、仲間への愛情あふれる解答をする六太。そんな六太を気に入ったのか、最後に『吾妻には話しかけないほうがいい』と忠告する紫。しかしそれは逆効果で、六太は早々に吾妻に話しかけようとしており――?「いざっヒューストンへ――!」