宇宙兄弟

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#16

2012年7月15日
「アラームアリ時計ナシ」

 三次試験も後半。真っ白なパズルを組み立てながら、六太の心はモヤモヤしていた。

「分からない……このパズルみてーに、頭ん中が真っ白になりそうだ!」

 A班では、閉鎖ボックス内唯一の時計が、何者かの手によって壊される事件が起きていた。そしてその犯人が、みんなから慕われるリーダー・福田だということを、六太は目撃してしまったのだ。

 時間もわからず、班内の疑心暗鬼は強まるばかり。六太にも疑惑の目が向けられてしまう。

『チクショー…こうなったら、暴露してやるか……! 福田さんが犯人だって!』

 しかし――。福田が理由もなくそんなことをするだろうか?『いや……何か……ひっかかる……』そうこうしているうちに終了ブザーが鳴り、課題の時間が終わってしまった。

 課題後、六太は意を決し、福田を呼び出す。誰もいないところを見計らい、時計を壊した理由を福田に問い詰める。しかし福田は――。

「さあ……なんでだろうね。――もし君がその理由に気づいたら、その時は握手でもしよう」

 そんな風に答えを濁す福田の言動に、六太のモヤモヤは膨らむばかり。

 一方、ケンジのいるB班では――。連夜鳴り響くアラーム問題を解決するため、ケンジは一人通路で寝ていた。娘のことを想いながら課題の続きのパズルをはめていると――例のアラーム音が鳴り始める。飛び起きて、必死に音の出どころを探すケンジ。しかし見つけられない上に、ケンジを犯人と決めつけようとする溝口との仲が、険悪なものになってしまう。さらに、班内で新たな問題が勃発。なんとA班と同じように、唯一の時計が壊されてしまったのだ。

 管制では――。JAXA職員たちと星加が、いくつものモニターをチェックしていた。受験者たちがはめている手首のバンドからの情報で、心拍数や汗、ストレス情報が手に取るようにわかるのだ。日が経つにつれ、激しく変動する受験者たちの折れ線グラフ。星加曰く、『緑のアレ』の仕業らしいが――?

なぜなら、六太は昨晩見てしまったのだ、福田が時計を壊しているその姿を――!

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