宇宙兄弟

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#11

2012年6月10日
「閉じ込められたライバル達」

 六太たち受験者を乗せた閉鎖バスは、ようやくその目的地へと到着していた。そこはまたしても、外の様子が見えない不気味な場所。しかも出発から何時間たったのかまったくわからない状況に、一部の受験者たちは不安を募らせていた。

 やがてJAXA職員・鶴見に先導され、『最後の部屋』と呼ばれる空間にたどり着く六太たち。そこで見せられたのは、月面から帰還するブライアンら宇宙飛行士3人が事故に遭い、亡くなるまでの衝撃的な映像だった。受験者たちは『宇宙飛行士にとって事故に遭う可能性はゼロではないこと』、『彼らのように死を受け入れ、行動し続ける覚悟があるかということ』を再認識・再確認する。
六太も決意を固め、配られた免責書に『南波六太』と署名した。
「俺は……死にたくはない! だけど……もうやることは決まっている。死ぬのは嫌だが――死ぬまでに宇宙へ行けないって言うのは、もっと嫌だ。」

 全員が署名し、今度は5人一組、A・B・C、3班に分かれることになった。これから班ごとに別の閉鎖環境ボックスに入り、そこで2週間、管制から与えられる様々な課題に取り組んでいくのだ。そして最終日には、各班互いに話し合いをして、全員意見一致のもと、5人の中から2人だけ宇宙飛行士にふさわしい者を選ぶのである。

 六太のいるA班のメンバーは、せりか、福田、新田、古谷。閉鎖ボックスの中へ入ると、早速、最初の課題が出された。それは、『5人で話し合い、現在の時刻を推測して時計を合わせろ』というもの。制限時間が10分ということもあり、さっそく各々の答えを発表したのだが、六太の答えだけは、ほかの4人と違っていた。皆が計算しAM6時頃と答える中、六太だけはAM3時と答えていたのだ。新田と古谷がその計算方法を問い詰めたところ、頭をかきながら発言する六太。

「そんな計算いらないんだよね。」

なぜ六太はAM3時と回答したのか、勝算はあるのだろうか――!?

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