宇宙兄弟

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#09

2012年5月27日
「それぞれの覚悟」

 JAXAの3次審査を受けるため日本へ帰国することとなった六太。しかし嬉しいはずのその表情は硬く、飛行機の中でも悪夢にうなされてしまっていた。それは帰国前、部屋で偶然みつけてしまった日々人の『遺書』が理由だった。宇宙でも事故は起こりうる。そのことは知っていた六太だが、実際に自分の弟が死を覚悟しているというのはショックだったのだ。

 心に重い荷物を抱え実家に帰ってきた六太は、ノンキに出迎える父と母の様子に、つい苛立ってしまう。

「そんなノンキでいいのかよ、日々人は言書まで書いてんだぞ!」

父も母も一瞬表情を曇らせるが、すぐにいつもの調子に戻る。『あんたも飛行士になったらいずれ書くのよ! 死んでから恥かかないように、今のうちにきれいな字を練習しときなさい』と、六太に書道をすすめるほどだ。六太が圧倒されているところ、ちょうど携帯のアラーム音が鳴る。もうすぐ日本の夜空にISS(国際宇宙ステーション)が通るのだ。

 子どもの頃と同じように、丘にISSを見に来た六太。ISSはもうボロい宇宙船。にも関わらず、それぞれの覚悟を乗せ、まだ現役で働いている。六太はこれまで、その姿が見える1~2分間に何度も救われてきたという。父も母もノンキに見えるが、実はあれでもう覚悟ができているのだ。決意の瞳で空を見上げる六太。

「俺にも、その時が来た!」

 数日後。六太はケンジと合流し、合格祝賀会へと向かっていた。せりかも合格しており、それぞれ宇宙への希望を語りはじめる。ケンジは火星へ、せりかはISSに搭乗したいのだという。しかしISSはもうすぐなくなってしまう船。せりかがそれを知らないはずはない。疑問を持った六太は、せりかと仲の良い青竹に話を聞く。せりかは父の遺志を継ぎ、不治の病の新薬を作りたいというのだ。それが唯一できるのが、ISS・きぼうモジュールなのだと。六太は唇を噛みしめた。『自分には宇宙に目的があるのか――?』と。

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