宇宙兄弟

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#04

2012年4月22日
「日々人の隣」

 一週間続いたJAXAの二次審査も、残すは最終面接だけとなっていた。これまでなにかと宇宙飛行士である弟・日々人と比べられ、はた迷惑な注目を浴びていた六太も、ここぞとばかりに気合を入れる。力を尽くしてきた六太にとって、次の三次審査に進めるかどうかは、この面接次第なのだ。

 なんとか最終面接を終え、六太が廊下で見たものは、歴代の宇宙飛行士たちの肖像写真パネルだった。日々人のパネルを見つけた六太は、まだ空いているその隣に手をあて、宇宙服姿でにやけ笑いをしている自分を想像する。

「弟の隣に兄がいなくてどうするんだよなぁ。――ここは、俺の場所だ!」

六太はキョロキョロあたりを見回すと、指をなめて壁に押し付けた。

「唾つけとこ」

 その夜。試験を終了し、ほっと一息ついた受験者たちは、居酒屋で打ち上げをしていた。ほろ酔いになった六太もご機嫌に語り、最終面接でされた突飛な質問を振り返る。

『最近、自分のことでなにか発見したことは?』

 ほかの受験者たちは真面目な回答をしていたようだが、六太の答えはまったく違っていた。

「みんなより……シャンプーがよく泡立ちます!」

 一気に酔いがさめ、わざわざ面接で言うことじゃなかったと後悔する六太。そこにさらに追い打ちがかかる。憧れのせりかにアドレスを交換しようと言われたが、携帯電話を失ったままだったのだ。豪快に落ち込む六太を救ったのは、ケンジの一言。

「みんなのアドレス、メモったから」

ケンジが神様のように見えた瞬間だった。

 後日。携帯電話を再購入した六太のもとに、日々人から電話がくる。それは、NASAに来ないかという誘いだった。三次審査は何カ月も先、それまで宇宙飛行士の訓練や仕事ぶりをみるチャンスだというのだ。しかも家族は支援プログラムが使えるため、タダで行けるとのこと。合否の心配はあれどNASAの誘惑に負けた六太は、ついに日本を離れ、日々人のいるアメリカ・ヒューストンへと出発する!

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