宇宙兄弟

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#03

2012年4月15日
「有利な男と走る女医」

 晴れてJAXAの一次審査・筆記試験を合格した六太は、宇宙飛行士になるため、続く二次審査に挑んでいた。

 体力測定がはじまると、六太は同じ受験者である沢木と溝口から思いもよらない言葉を浴びせられてしまう。それは、『宇宙飛行士の弟から、試験内容を聞いているのではないか?』というもの。唖然とした六太はすぐさま心の中で叫ぶ。

「し……しまったー! その手があったんだ!」

 どうやらほかの受験者は、そんな『有利に見える六太』を倒すため、何倍も猛勉強し身体を鍛えて努力してきている様子。しかし六太は、試験の内容などまったく聞いてこなかった。

「ってことはある意味……俺が一番不利じゃん……!」

「このままじゃ落とされる……全部一番になるくらいじゃないと――!」

 そう思い焦っていたところ、今度は肺活量の試験がはじまった。子どもの頃から肺活量には自信があった六太は、ここぞとばかりに一番を目指す。早々に受験者がギブアップする中、六太と伊東せりかだけが残る。どちらが勝ってもおかしくない状況だったが、せりかの奮闘に思わず見惚れてしまい、六太は惜しいところで負けてしまった。

 負けて消沈する六太を、フォローするケンジ。この試験は一番になることより、平均的に水準を超えた能力があるかを見られており、たとえ一番をとっても、精神的に問題があればダメだと言うのだ。せっかくの言葉にも六太は不安な表情を浮かべる。

「俺はその精神面が、一番自信ない!」

 宇宙が遠のいたことにさらに落ち込み、展示された宇宙服を前にため息をつく六太。そしてせめて着ているように見えればと、ボックスにへばりつき、宇宙服のフードに顔を写していた。だがそんな恥ずかしい姿をせりかに目撃されてしまう。

「これで俺はもう……変人決定だ!」

 二次審査も残りわずか。ショックなことも盛りだくさんで、ある意味一番不利かもしれない六太だが、宇宙へ行きたいという強い想いを胸に、奮闘を続ける!

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