宇宙兄弟

今までのお話バックナンバー一覧

#01

2012年4月1日
「弟ヒビトと兄ムッタ」

 2006年7月9日。星空の下、録音機を持って調査遊びをしていた南波六太(12歳)と日々人(9歳)の兄弟は、偶然にも月へ向かうUFOを目撃し、その感動から、『二人で宇宙飛行士になる』と、約束を交わした。

 そして2025年。成長した弟・日々人(28歳)は、約束を守って宇宙飛行士になり、日本人初の月面着陸者として有名になっていた。しかし兄・六太(31歳)は、自動車メーカーに勤めてはいたものの、日々人の悪口を言った上司に頭突きをしてしまい、クビになって落ち込んでいた。

 「兄とは常に弟の先を行ってなければならない」子どもの頃からそう誓ってきた六太にとって、弟が先を行く現状は本意ではなかった。心から弟の成功を喜びつつ、自分は何がやりたかったのかを見失っていた。

 そんなとき、母に事情を聞いた日々人から、一通のメールが来る。『2006年の7月9日。ムッちゃんが録ってたテープを聴いてみろよ。』テープを探し出して聴くと、そこにはあの時に見たUFOのノイズ音が、しっかりと録音されていた。驚く六太だが、テープに記録されていたのはそれだけではなかった。そのあとには、ハッキリとした言葉で、子どもの頃の『約束』が残されていたのだ。「お前が月に行くんなら、兄ちゃんはその先へ行くに決まってる――約束だ、俺らは一緒に宇宙飛行士になるぞ!」

 1カ月後。六太は日増しに強まる宇宙への想いを抱えてはいたものの、進むべき道を見つけられず、次への一歩を踏み出せないでいた。日々人との約束も守れず、申し訳ない気持ちでバイトから帰宅すると、なぜか自分あてにJAXAから封筒が届いていた。なんとそれは新規宇宙飛行士選抜試験の書類選考合格通知書。日々人の指示で、母がこっそり六太の履歴書を応募していたのだ。

 思いもよらぬ宇宙への一歩に、嬉しさと感謝から泣き笑いの表情を浮かべる六太。果たしてその運命は、これからどう変わっていくのだろうか――!?

バックナンバー一覧はコチラ