“暮らしの全部がニュース”だから、身近なものに。番組と、観る人をつなぐ1本のライン。新番組『ニュースto』が生まれるまで【プロデューサー対談】

番組プロデューサー × 美術プロデューサー|同期タッグ対談

10月5日にスタートした新番組『ニュースto』。「ニュースと“あなた”の暮らしをつなぐ」をコンセプトに、「考える、備える、行動するきっかけとなる番組」を目指しています。

今回は、2006年同期入社である「ニュースto」チーフプロデューサー/中埜勝之さんと、美術プロデューサー・デザイナー/野沢桃子さんのお二人に、番組コンセプトやロゴ、スタジオセットに込めた思い、誕生までの試行錯誤について伺いました。

対談メンバー

・「ニュースto」チーフプロデューサー/中埜勝之さん
・美術プロデューサー・デザイナー/野沢桃子さん

美術プロデューサー・デザイン/野沢桃子
「ニュースto」チーフプロデューサー/中埜勝之

コンセプトづくりからロゴ、スタジオセットまで。『ニュースto』は、どのような道のりを経て誕生したのでしょうか。

(中埜) メインMC:黒木千晶アナウンサーと、金曜MC:SUPER EIGHTの村上信五さん、この2人だったらどんな番組が作れるかを考えて、コンセプトを立てて番組に仕上げていきました。スタジオのセットは野沢と、総合演出の幸(一樹さん)の3人で相談して作っていきました。

(野沢) 6月の頭に3人で打ち合わせを始めて、毎週の打ち合わせの中で、7月頭にはセットの方向性が決まりました。7月半ばには中埜から『美術面は任せる』と言われ、細かいところを詰めていきました。早い段階でコンセプトもタイトルも決まり、中埜の中にも確固たるイメージがあったので、最後までブレずに順番に詰めていけて、納得いくまで丁寧にできました。

『ニュースto』のコンセプトについて、中埜さんは次のように話します。

(中埜) 前番組の『情報ライブ ミヤネ屋』は、宮根誠司さんが中心になって会話を作る番組でした。『ニュースto』では、MCの黒木アナや村上さんと、世代の異なる5人のパネリストとの会話でニュースをつないでいきたい。そこに“6人目”として視聴者の皆さんにも加わってもらい、“輪”を作りたいと考えました。

キャッチーなタイトルが多いお昼のワイドショー。
『ニュースto』という一見シンプルなタイトルにも、制作側の思いと熱が託されています。

(中埜) 『と』は“一緒に”、『to』は“つながる”という意味です。ニュースを受け取った視聴者の方が、何を感じ、どう一歩を踏み出すか。そこまでこの番組で作りたいと思いました。
ただ、お昼のワイドショーは、親しみやすい言葉をタイトルに入れることが多いんです。『ニュース』という硬い言葉を掲げることに、社内で賛否があるのはわかっていました。
でも僕は、事件や政治だけがニュースじゃないと思っています。芸能も天気も暮らしの情報も、生活に関わるすべてがニュースなんです。それを伝えたくて、あえて『ニュース』を使いました。

番組ロゴは、なめらかなフォントと、フェルトのような柔らかな質感が印象的です。このデザインに決めた狙いを聞きました。

(中埜) ニュース番組のタイトルって、シャープで格好いいものを作りがちなんですが、野沢にロゴ制作をお願いするときは、『格好いいロゴじゃなくて、ニュースをより身近に感じられるようなものを考えてほしい』とオーダーしました。

(野沢) いわゆる“お硬い”イメージのニュースではない、ということは早い段階から共有していました。かわいいロゴに着地したのは、そういう意図もあります。今回はいろんな方にいろんなパターンを考えてもらい、ものすごい数の案が出たんですが、中埜は最初にパッと見て決めましたね。

(中埜) イメージそのままだったので早かったです(笑)

見る人をやさしく迎え入れるようなスタジオセット。なかでも、番組と視聴者をつなぐ1本のラインのモニュメントが目を引きます。
ロゴとも呼応するその空間が完成するまでには、いくつもの試行錯誤がありました。

初回放送に向けて準備中のスタジオ
【立ち絵】スタジオセット

(野沢) 中埜は最初から一貫して、『ニュースと人をつなぐ』と言っていて、その“象徴”になるものを、スタジオにセットとして置くことになりました。
ある日の打ち合わせで、総合演出の幸(一樹さん)から『見る角度によって見え方が変わるものを、モニュメントにできないですか?』と相談されました。たとえば現代彫刻みたいなものかな? と思いを巡らせるうちに、一筆書きの1本のラインなら、画面の向こうの視聴者とつながっているイメージも持てるし、中埜のコンセプトにも合うんじゃないかとひらめいたんです。
実際に描いてみると、そのラインが『to』にも『と』にも、そして『and』にも見える。正面から見て、いろんな文字に読めるんです。これはコンセプトにぴったりだと思って、『こんなん、どうですか?』と提案しました。

【スケッチ画】白いモニュメント
【ラフ画】ひと筆書きのなめらかなラインが包み込む、スタジオセット

(中埜) 幸(一樹さん)はもともと報道の人間で、『ひとつの事件でも、被害者、加害者、視聴者と、立場によって見る角度が違えば、いろんな見え方があるんですよね』という話をしてくれて。
そこから、ひとつのモニュメントでも、角度を変えると違って見える。それがいいんじゃないかということになりました。

(野沢) メインのモニュメントは上手(かみて)のパネラーバックまで続いていて、すべてが1本のラインでつながっています。パネラーバックには、生活とつながっていると感じられるモチーフを入れました。

セットには、もうひとつの秘密があります。それが、使われている素材。

(野沢) 同じ時間帯の他局の番組は、マットな印象のセットが多かったので、パッと見てきれいだと思えるものにしたいな、と。
それに、テレビではあまり見たことのない、まだ使われていないような素材を使いたかったんです。MCの背景には、展示会で見つけた塗装屋さんが特許を取得している“グラデーション塗装”という技術を使っています。使えるサイズや素材に限りがあったので、いろいろ試して何度もテストを重ねました。ほかにも、上手のガラスブロックも。テレビでは初めて使われる素材です。本物ならではの奥行きをぜひ見てほしいですね。どんな素材を使うか、詰めていく作業が一番楽しかったかもしれません。

上手のガラスブロック
グラデーション塗装したカップオブジェ

(中埜) 演者さんからも『セットがすごくいい』と褒めていただくことができました。村上さんもそうですし、杉村太蔵さんも『すごくいい』と絶賛してくださいました。

(野沢) 優しさや柔軟さ、清潔感、親しみやすさ……いろいろな言葉を挙げましたが、ロゴにもセットにも、そうした要素が感じられるように選んだので、そう言ってもらえたのはうれしかったですね。

番組の印象を決定づけるエメラルドグリーン。実はこの色に決まるまでにも、紆余曲折があったそうです。

(野沢) 色を決めるのは難航しました。日本テレビ系の番組は、『ZIP!』なら水色、『DayDay.』や『news zero』は緑、『news every.』はピンクと、象徴的な色を使ったセットが多いんです。そのなかで、『ニュースto』でも印象的な色は欲しいですね、という話をしていました。
水色やピンクが番組のイメージに合うのでは、と話していた時期もありましたが、同じ色を使うのは避けたい。中埜も納得いかなかったようで、3人でかなり悩みましたね。最終的には、幸(一樹さん)が初期からずっといいと言っていたエメラルドグリーンに決まりました。時間をかけて決めたので、納得感が大きいです。

構想から準備を重ね、10月5日、ついに初回の放送を迎えた『ニュースto』。スタートを切った今、2人はどんな番組を目指しているのでしょうか。

(中埜) 『ミヤネ屋』から継承する“イズム”として、宮根さんがよく『平時はほっこり楽しくみんなが見られる番組。有事や災害の時は一番信頼される番組』とおっしゃっていて、ここは『ニュースto』でもブレずに貫きたいと思っています。まずは視聴者の皆さんに受け入れられ、信頼され、愛される番組に。『ミヤネ屋』が20年続いたので、『ニュースto』も25年、30年続くことを目指したいです。

(野沢) 毎日、全国で放送されるってすごいことだと思うんです。『ミヤネ屋』は、薬局や定食屋のテレビでよく流れていた印象があります。それは、たくさんの方が『見たい』と思ってくださっていた証拠だと思うんです。『ニュースto』もそういう番組にしたいですし、出演者の皆さんを後押しできるように、これからもがんばっていきたいですね。


■番組概要
「ニュースto」(読み:にゅーすと)
毎週 月曜日~金曜日 午後1時55分~午後3時50分 (全国28局ネット)

■MC
黒木千晶(読売テレビアナウンサー) ・月曜日~木曜日 ・隔週金曜日
村上信五(SUPER EIGHT) ・毎週金曜日

番組公式サイトはコチラ

 

取材・文/中野純子

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