“命の砦 119番"の向こう “声で命を救う”通信指令員に密着

神戸市民およそ150万からの119番通報を一手に担っている神戸市消防局・消防管制室。対応しているのは消防隊員・救急隊員として豊富な現場経験をもつ通信指令員たち。“命の砦”で情熱と声で人命を救おうと懸命に通報者の声に耳を傾ける彼らの日々をノゾキミしました。

【特集】緊迫の通報現場!消防管制室の知られざる舞台裏 声と言葉で命を救う出動判断の最前線

神戸市消防局『消防管制室』に密着

 119番―その先にいるのは、冷静な判断力と迅速な行動で命を支える通信指令員たち。消防管制室は、通報内容を瞬時に分析し、消防隊・救急隊の出動を指示する“最後の砦”です。混乱の中でも冷静さを失わず、言葉で人々を救うプロの現場に密着しました。

知られざる消防管制室の役割 困った通報にも冷静に…

24時間、15人で対応

 一日に350件以上の火事や救急の通報を受ける、神戸市消防局・消防管制室。24時間を15人の通信指令員で対応します。消防隊員や救急隊員として、現場で活動した経験を持つ通信指令員には、様々な能力が求められています。

神戸市消防局・司令課長 西山健太郎さん

(神戸市消防局・司令課長 西山健太郎さん)
「まず、消防車・救急車が出動するべきかどうかを判断する能力。また、電話口で応急手当などを指導することもあるので、どれだけ上手に(通報者と)コミュニケーションが取れるかが求められると考えています」

中には困った通報も…

 通報者からできるだけ多くの情報を聞きだすことで、適切な対応ができ、命を助けることにつながります。しかし、困った通報も後を絶ちません。

(通信指令員)
「救急車ですか?」
-(通報者)
-『救急車やコラ!人の話聞け、ボケ。胸の痛みと心臓の痛み。はよ来い(ガチャッ)』
(通信指令員)
「…切れた」

けががない場合は110番へ

(通信指令員)
「神戸市消防局です。火事ですか?救急車ですか?」
-(通報者)
-『今、車にぶつけられたんですけど』
(通信指令員)
「けが人はいますか?」
-(通報者)
-『けがはしてないけど、ぶつけられたんですけど、どうしたらいいですか?』
(通信指令員)
「110番に電話してください」

サイレンは安全の為に欠かせない

 そして、多い通報が「サイレンは鳴らさないで来てほしい」というもの。救急車は安全のためにサイレンを鳴らし、事故を起こさないように走っているため、サイレンを鳴らさず救急車を呼ぶことはできません。

限りある救急車を大切に

 また、救急車の数は、神戸市内では約40台と限りがあります。病院に行くべきか・救急車を呼ぶべきか迷うときは、医師や看護師にアドバイスを求められる『♯7119』(救急安心センターひょうご)の利用を勧めています。

消防隊員さえ知らなかった?通信指令員の仕事

通信指令員・池田竜太さん(40)

 消防隊員として最前線で活躍していた池田竜太さん(40)は、4年前に消防管制室の勤務になりました。

(通信指令員・池田竜太さん)
「指令室のことは現場にいる頃は知らなかったので、こんな大変な思いをして出動指令をかけているところがあるんだと衝撃でした」

消防隊員として経験を積んだ

 決して望んだ職場ではなかったものの、ここで命を救うため、通信指令員がいかに重要なポジションか身をもって知りました。

(通信指令員・池田さん)
「救急を出したとき、最後に『お願いします』『ありがとうございます』と言ってくれる方もいるので、そういうとき、ちゃんと仕事ができたと実感があります」

集中力維持のため、休息も大切

 通信指令員が通報を受ける勤務は、集中力を維持するために1時間交代が決まり。

(通信指令員・池田さん)
「仮眠します(笑)」

 束の間の休息です。

後輩らが慕う“最後の砦”ベテラン通信指令員

日没~深夜が“魔の時間帯”

 人々が通勤や通学で移動する日没から深夜にかけては、通報が集中する“魔の時間帯”。消防管制室の空気が張り詰めます。

映画館から通報が入った

 映画館から、「男性客が意識をなくしている」と通報が入りました。

-(通報者)
-『脈がないみたいです』
(通信指令員)
「どなたか心臓マッサージできる方はいらっしゃいますか?」
-(通報者)
-『今、AED(自動体外式除細動器)を…』
(通信指令員)
「AEDも準備できています?」
-(通報者)
-『はい』

ベテラン通信指令員がフォロー

 すかさずフォローに入ったのは、ベテランの通信指令員・鈴木伸二さん(61)です。

(通信指令員・鈴木伸二さん)
「心肺停止状態に近いので高度な医療が必要ですが、救急隊3人では高度な医療ができないので、手伝いをする消防隊に追加で出動指令をかけました。連携したプレーです」

入局40年・通信指令員歴9年

 消防局に入って40年、うち9年余りを通信指令員として勤めてきた鈴木さんは、今では消防管制室になくてはならない存在です。

後輩からの信頼も厚い

(通信指令員・乾青夏さん)
「鈴木主任は最後の砦です。鈴木主任がいたら何とかなる、という気持ちでやっています。ご飯の食べ方から、脱衣所をびちゃびちゃにしていたら怒られますし、指令員としても言葉遣い一つから指導してもらっています」

(通信指令員・西川築さん)
「鈴木主任は相手に優しいです。話し方や言葉の使い方が丁寧なので。僕なんか淡々としゃべっていますけど」

多くの命を救ってきた鈴木さん

(通信指令員・鈴木さん)
「早く救出・救護ができるようになった場合、管制室からの情報でそれが達成できたときは、実感があります。やって良かった、これが正解だったんだと」

 通報者の話を聞く―鈴木さんの耳と言葉が、多くの命を救ってきました。

熱意と声で多くの命を救う

一刻を争う通報が!

(通信指令員・鈴木さん)
「神戸市消防局です。火事ですか?救急車ですか?」
-(通報者)
-『もしもし!もしもし!お風呂に入っていて倒れたんです!すぐに来てほしいんですけど』

冷静に対応する鈴木さん

(通信指令員・鈴木さん)
「具合が悪いのは、どなたですか?」
-(通報者)
-『父です!88歳です』

(通信指令員・鈴木さん)
「救急車の手配はできたので、お父さんがどこで倒れているか教えてください」
-(通報者)
-『お風呂から出しました!椅子に座っています』

通報者を落ち着かせるのも大切

(通信指令員・鈴木さん)
「呼びかけたら反応はありますか?」
-(通報者)
-『お父さん!お父さん!!お父さん!!!』

(通信指令員・鈴木さん)
「娘さん。救急車の手配はできているので、まず落ち着きましょう」
-(通報者)
-『はい…』

一つ一つ状態を確認

(通信指令員・鈴木さん)
「麻痺の状態を確認します。右手左手、順番に片手ずつ手を握って、『私の手を握り返せる?』と確認してください」
-(通報者)
-『…握れないです』

(通信指令員・鈴木さん)
「わかりました。もう一度、お父さんに呼びかけて」
-(通報者)
-『お父さん!』
-(通報者の父親)
-『…あー』

意識がなかった父親が声を…

(通信指令員・鈴木さん)
「返事があったね。もう救急車が向かっているので、電話を切ってからも、ときどき呼びかけ・声かけをしてもらって、意識があるかどうか確認してください。全く反応がないような事態になった場合は、意識がなくなったと思って、もう一度119番に教えてください」

熱意が多くの命を救う

 ひたむきに通報者の悲痛な言葉と向き合い、最善の手段を尽くす―その熱意が、これからも多くの命を救っていきます。

(「かんさい情報ネットten.」2025年10月20日放送)

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