1月21日(金)
【中華まんの“皮”だけ?】最近“だけ”商品が人気! その秘密とは?
寿司の“シャリ”だけ、チョコボールの“中身”だけ、中華まんの“皮”だけ、シュークリームの“シュー生地”だけと、最近巷には“〇〇だけ”という商品が増えていますが…一体なぜなんでしょう?その人気の秘密に迫ります!
「中華まん」の“皮だけ”商品 誕生のヒミツ

(画面左から)井村屋 開発部 金井彩さん、読売テレビ 諸國沙代子アナウンサー
まず、読売テレビ、諸國沙代子アナウンサーが向かったのは、三重県津市に本社を構える井村屋。井村屋といえば「あずきバー」が有名ですが、冬の主力商品は「中華まん」です。そんな「中華まん」の具が入っていない“皮だけ”の商品を売り出したワケとは?
(井村屋 開発部 金井彩さん)
「キッカケは7年前にツイッターにお客様から“皮だけ”の中華まんが欲しいというお声をいただきまして…」
「“中華まんの皮だけ“が欲しい」。7年前、会社の公式ツイッターに寄せられたお客さんの声が社長の目に留まり、開発が始まりました。

ベースは、もっちり生地の「ゴールド肉まん」
ベースとなったのは、「ゴールド肉まん」。その皮は発酵を2回に分ける「二段発酵製法」で作られていて、手間はかかりますが風味豊かでもっちりとした食感が特徴です。このゴールド肉まんの皮を“皮だけ”でもおいしく食べられるように調整を繰り返し、「すまん」が完成したのです。
(諸國アナ)
「皮だけではさすがに、なかなか売れないじゃないかなという声も多かったんですか?」
(井村屋 開発部 金井彩さん)
「そうですね。そういった不安の声もたくさんあったんですけども。実際に商品化してみますと、お客様から『こういう商品が欲しかった』とか『皮がすごく好き』っていうお声をたくさんいただいたので、みんな驚いていたところです。」

「中華まん」の“皮だけ” 井村屋の「すまん」
2020年「すまん」の販売を始めたところ、わずか2か月で完売。2021年は、数を増やしましたが、前の年の販売数を、わずか1週間で超えるほどの人気ぶりだったそうです。購入した人に話を聞くと…
(購入者)
「すごく嬉しい、待っていました!という感じでした。あの生地がそのままで食べられるんだと思って、嬉しくて。サツマイモが好きなのでサツマイモを挟んだり。なかなかコロナとかって、外食もできないから自分の家でちょっと贅沢したりとか。」

アレンジレシピ “揚げすまん”
そのまま食べる人も多いそうですが、SNSなどでも話題となっているのが“アレンジレシピ”です。定番は、おかずなどを挟んでハンバーガーのようにするアレンジですが、井村屋も驚いたというのが、「すまん」を油で揚げたアレンジ。
(諸國アナ)
「ん~おいしい!これだけで商品化してほしいぐらい。揚げることで、外側の膜がはっていた部分がカリッとして噛み応えもでて、だけどフワッとしていて。こうやっていろんなアレンジができて、やっぱりベースがおいしいからこそですね。」

様々なアレンジを楽しめる「すまん」
(井村屋 開発部 金井彩さん)
「そうですねベースの生地がとってもおいしいのでいろんなアレンジをしていただけると思います!」
他にも、エビチリを詰め込んだり、くりぬいて、カボチャスープを入れてみたり…皆さん、いろんなアレンジを楽しんでいます。コロナ禍でおうち時間が増えたことも、「すまん」の人気を後押ししているようです。
広がる“だけ商品“ ナゼ人気?

りそな総合研究所 主席研究員 荒木秀之さん
このような“だけ商品“の広がりについて、専門家は―
(りそな総合研究所 主席研究員 荒木秀之さん)
「元々ある商品の一部ですので、新しく何か作るわけじゃないってことでリスクは元々低いと。アレンジのバリエーションを見ることによってこの商品の魅力というか、企業側からの目線でなかったものが改めて気づくとか含めていろんなメリットがあると思います。コロナの影響で、調理器具もどんどん売れていますから、自分で作るっていう流れは絶対増えていると思いますね。」

たこ焼きの粉専門店「としのぶさん家の粉」(大阪府寝屋川市)
コロナ禍で人気の“だけ商品“は他にもあります。次に諸國アナウンサーが訪れたのは大阪府寝屋川市にあるお店。なんと、たこ焼きの“粉だけ”を販売する専門店だといいます。
もともとは、たこ焼き店でしたが、2020年、“粉だけ”の専門店に業態を変えたところ、おうち時間の増加などから、大人気に!わずか1年で4店舗に拡大しました。では、なぜ粉専門店にしたのでしょうか?
(としのぶさん家の粉 代表 久保田利信さん)
「ここのたこ焼きが日本一おいしいと言っていただいて。粉だったらこの味を全国にわかっていただけるので。」

専門店の“粉”を使って作った、たこ焼きのお味は?
気になるのは、そのお味。諸國アナウンサーが実際に「極」の粉を使ってたこ焼きを作ってみました。工程は簡単、たこ焼きの粉に水を入れ、混ぜて、焼くだけです。
(諸國アナ)
「ん~!家のたこ焼きじゃないです。お店よりおいしい。うわ~すご~!」
(としのぶさん家の粉 代表 久保田利信さん)
「ご家族、お友達とか皆さんで食卓をテーマパークにするっていう、コミュニケーションツールとして、楽しんでいただけたらいいなと思います。」
楽しくおいしい、おうち時間の食卓を彩る“だけ商品“というわけです。
意外なアイディアで大人気に…どら焼きの“皮だけ”商品のヒミツ

「どら焼きの皮だけ」を販売する店 「花かんざし」(大阪府門真市)
一方、ちょっと変わったキッカケから人気になっている“だけ商品“もあります。大阪府門真市の住宅街の一角にある「花かんざし」。こちらで販売している商品は…
(花かんざし 代表取締役 小林秀之さん)
「どら焼きの皮だけです。」
そう、餡の入っていない「どら焼きの皮だけ」が大人気なんです!
(花かんざし 代表取締役 林秀之さん)
「ホンマはおいしいどら焼きを作る予定だったんですけども…」

もともと「どら焼き」を販売していたが、売り上げが伸びなかった
このお店ではもともと、「どら焼き」を販売していたのですが、売り上げはなかなか伸びませんでした。そこで、少し でも利益を上げるため、少し焦げたり形がそろっていなかったりした“皮だけ“を売り始めたそうです。
(花かんざし 代表取締役 小林秀之さん)
「こんなん『売り物ちゃうわ』とか、『中身が入ってないのなんか、どら焼きでもないし、どら焼きの皮ちゃうやん』と散々言われて…どないかして笑わせたろうと思って、『中身がないのは僕の頭と一緒ですわ』って言うたらね、結構笑ってもろてね。そのお客さんから、『おもろいから兄ちゃん買うとくわ』って言われて。」
本来であれば、売り物にならない物をあきらめずに売り続けたところ、「おいしい」と評判を呼び、意外にも、大人気商品に!

大人気商品「どら焼きの皮だけ」
(花かんざし 代表取締役 小林秀之さん)
「まさかね、こんな皮だけで人気がでるなんてホントに思わなかったんでね。今は8割が皮だけ、2割がどら焼き、あんこ入り。なんやったらあんこもやめてもいいぐらい。ホント皮だけの方が圧倒的人気があるんです。」
今では全国の百貨店からひっぱりだこ!催事では、1日に3500枚売れたこともあるといいます。この「どらやきの皮だけ」、どんなお味なのでしょうか?諸國アナウンサーが試食すると…
(諸國アナ)
「ん~!めちゃくちゃモチモチしています。最初は、一瞬どら焼きじゃないみたいなのに、食べていくうちにどら焼き!こんな、どら焼き食べたことないです。おいしい~!」
(花かんざし 代表 小林秀之さん)
「このままでも、充分甘味があるので。このまま食べてもらっても充分美味しいですね。」

モチモチとした生地 おいしさのヒミツは?
引っ張っても、なかなかちぎれないモチモチした生地。実は、通常のどら焼きよりも、生地の粘り気を強めることで、モッチモチの食感を生み出しているのです。近所の常連客は…
(常連客)
「ちょっとパンケーキみたいな感じですから。自分で好きなものをトッピングをいろいろ選んで、挟んで食べられますし。」
好きな具材を乗せたり、挟んだり、アレンジして楽しんでいるそうです。“皮だけ“が人気の中、店のご主人は“どら焼き“に対して複雑な思いがあるそうで…
(花かんざし 代表取締役 小林秀之さん)
「どら焼きの皮だけを売っていると、整合性がないというかね。自分の心の中に、『どら焼きがないのに、どら焼きの皮だけを売っているはちょっとどうやねん』っていうのがあるので、その気持ちを落ち着かすためにも、この子たち(どら焼き)の存在が無いと…どら焼きの皮だけが存在しなくなってしまう。」
(諸國アナ)「お守りみたいな?」
(花かんざし 代表 小林秀之さん)
「めちゃめちゃお守りです。やめたいとかって言ってますけど、たぶん今めっちゃ謝らんと、どら焼きがめっちゃ怒っていると思う。(笑)」
意外なアイディアが客の心をつかみ大人気となった“だけ商品“。人気のウラには、コロナ禍で増えた“おうち時間”を楽しみたい消費者の意識と、新たなチャンスをつかもうとする店の努力がありました。
(読売テレビ 「かんさい情報ネットten.」 2022年1月21日放送)
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