「全国ではまだまだ厳しい」自公の歴史的大敗のウラで伸び悩んだ維新…大阪発、国政政党の現在地 

自公政権が公示前から大幅に議席を減らし、過半数を割り込む結果となった参議院選挙。与党に厳しい審判が下された一方、国民民主党や参政党は大躍進を遂げました。その中、野党で伸び悩む結果となったのは大阪が本拠地の「日本維新の会」。お膝元、関西でも苦戦を強いられた選挙戦、そのワケとは。真夏の選挙戦、そのウラガワに密着取材しました。

【参院選】大阪2議席も吉村代表に笑顔なく…関西以外で全滅の『維新』躍進した国民・参政と明暗分かれる 『改革政党』としての現在地

維新は存在感を示せず

 2025年7月20日に行われた参院選。全国への党勢拡大を目指してきた『日本維新の会』ですが、全国はおろか、地元・大阪でも厳しい選挙戦に。4つの議席に19人が乱立する全国屈指の激戦区・大阪で、結党から10年以上が経ち『既成政党』に位置付けられつつある維新は、新たな勢力の台頭に防戦を強いられました。17日間の選挙戦を通じて、“大阪発”の国政政党の現在地と、今後の行方を追いました。

維新、岡崎太氏・佐々木理江氏“2人セット”で支持呼びかけ

佐々木理江氏・岡崎太氏

 お膝元・大阪で議席を守り抜きたい『日本維新の会』は、今回そろって大阪市議会議員の中心メンバーとして活動してきた佐々木理江氏・岡崎太氏の2人を擁立しました。

2人で当選できるよう支持呼びかけ

 地域政党『大阪維新の会』立ち上げから15年、地元で着実に増やしてきた地方議員や国会議員らの支援を受け、活動を進めていました。選挙戦序盤、佐々木氏は府内の企業を回って支持を呼びかけ、片方の候補者に票を偏らせず、2人そろっての当選を目指します。

衆院選・都議選でも厳しい結果

 維新は2024年の衆院選で、大阪でも比例票を前回から約56万票減らす結果に。さらに、2025年6月の東京都議選では現職を含む全員が落選するなど、その勢いには陰りが見えます。

(日本維新の会・佐々木理江氏)
「本当に2議席守り抜かないと、もう負けですよね。1議席では、私は負けの選挙だと思っています」

まばらな聴衆を前に演説

 もう1人の候補者・岡崎太氏も、厳しい選挙戦を戦っていました。この日は、八尾市内の駅前で炎天下の中演説していましたが、足を止める人の姿はまばらでした。

政治家キャリアは吉村代表と一緒

(日本維新の会・吉村洋文代表/吉村代表のXより)
『僕と岡崎さんは一緒なんです、政治のキャリア』

 2011年、吉村代表と共に大阪市議として政治家のキャリアを始めた岡崎氏。連日、府内を駆け回り、多い日には一日10か所を超える場所でマイクを握りました。

休憩時間はほとんどなく移動中に昼食

(日本維新の会・岡崎太氏)
「急遽だけど、ここでも(演説を)やっておこうかなと。ぐるぐる流すよりは、スポットがあればやろうかとなるので」

Q.昼食は移動中に食べるんですか?
(日本維新の会・岡崎氏)
「今は移動中が多いです。これ以外に休憩がないので、むしろ移動を休憩と思って使っておかないと」

大阪での支持は厚いが…

 大阪では、過去3回続けて2人そろって当選を勝ち取ってきた維新。しかし今回は、あの“政党”の存在に危機感を募らせていました。

(日本維新の会・岡崎氏)
「さっき難波で初めて見たんですけど、やっぱり人がたくさん集まっているなと…」

国民民主と参政、躍進遂げた新勢力の勢い止まらず

参政党・神谷宗幣代表

 それが、『台風の目』となった参政党です。

(参政党・神谷宗幣代表)
「維新に期待して、橋下徹さんに期待して、大阪の皆さんは自民党じゃダメだと判断をした。15年たって、良くなってない。そこに諦めを感じていたんじゃないですか?失望感を感じていたんじゃないんですか?」

4月に維新離脱・梅村みずほ氏

 大阪選挙区に出馬した宮出千慧氏の隣には、4月に維新を離党し、参政から比例代表で出馬した梅村みずほ氏の姿がありました。地元で知名度を誇る梅村氏のサポートも受け、維新の本拠地・大阪で議席を奪おうとしていました。

(支持者)
「YouTubeからファンになりました。寝返り最高!」

大阪は怖い…?

 さらに、国民民主党も大阪を『重点選挙区』に位置付け、連日のように幹部を投入しました。大阪で初の議席獲得に向けて“熱”が入りすぎたのか、シャツが透けるほど汗をかいていた榛葉賀津也幹事長。

Q.汗もすごいですけど、大阪への思いも強いですか?
(国民民主党・榛葉賀津也幹事長)
「冷や汗です、大阪は怖いって聞いたから」

Q.怖かったですか?
(国民民主党・榛葉幹事長)
「怖くなかったです、温かかったです!」

玉木代表も応援に駆けつけた

 国民民主党は、維新でも自民でもない、大阪での新たな選択肢として「政治を変えていく」と訴えました。

(有権者)
「きのう誕生日で、投票権を得たばかりなんですが、投票先は今のところ(国民民主)」

(有権者)
「維新って結構前から大阪ではあるじゃないですか。でも、あまり変わらないというか、実感がないので。(国民民主は)実際に変えようとしてくれているのを感じるので」

国民民主党・玉木雄一郎代表

(国民民主党・玉木雄一郎代表)
「勝ちたいねえ、大阪は。維新が強かったから、なかなか入りづらかったけど、大阪での国民民主党に対する期待は、すごく高まってきたなと。結果を出したいと思っています」

自民・公明も苦戦…自民・大阪府連 青山会長は「やばい、憎悪を感じる」

自民党・柳本顕氏

 新たな勢力の脅威にさらされていたのは、維新だけではありません。これまで大阪で維新と議席を分け合ってきた自民や公明も、大逆風の選挙戦になっていました。自民は、『大阪都構想』の反対運動をけん引してきた柳本顕氏に、その命運を託しました。

大阪府連・青山繁晴会長と二人三脚で

 知名度の高い青山繁晴府連会長と二人三脚で、支持層の票固めに奔走しましたが…。

Q.選挙戦は、どうですか?
(自民党・大阪府連 青山繁晴会長)
「やばい。自由民主党全体への批判というより、憎悪を感じる。憎しみ」

常勝関西のはずだが…

 『常勝関西』と呼ばれ、強固な地盤を築いてきた公明党も、組織の弱体化が指摘されていました。若い世代への支持拡大を急ぎます。

選挙戦最終日には吉村代表も大阪に

 そして、17日間に及んだ選挙戦最終日。党の代表として全国行脚していた日本維新の会・吉村代表も、ようやく応援に入り、横山副代表と共に最後の最後まで維新候補への支持を訴えました。新たな勢力は、選挙戦に何を残したのでしょうか―。

“改革政党”という原点へ…明暗分かれた参院選

自民・柳本氏は参政に押し出され落選

 台風の目となった参政党が、大阪でも初の議席を獲得。維新と公明は何とか、それぞれの議席を守り抜きました。参政に押し出される形になったのは、自民・柳本氏です。大阪では、1998年以来27年ぶりの自民候補の落選となりました。

大阪・京都で議席獲得も関西以外は全滅…

 一方、維新も大阪のほか京都で議席を獲得したものの、関西以外は全滅。与党に逆風が吹く中、躍進を遂げた国民や参政とは明暗が分かれました。この結果について、党のトップ・吉村代表は、「関西においては何とかギリギリ土俵際踏みとどまったが、全国的にはまだまだ厳しい状況だと思う。新興政党がいる中で、我々も原点に立ちかえって、“改革政党”であることを胸にして、さらに邁進していきたいと思う」と受け止めました。

“改革政党”という原点へ 模索を続ける維新

 新たな勢力が政治不信の受け皿となる中、“改革政党”という原点に立ち返るには、何が必要なのか?模索が続いています。

(「かんさい情報ネットten.」2025年7月21日放送)

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