ある日代引きで届いたAmazon商品、3万円を支払うも夫は「頼んでない」…果たして犯人の目的は?巧妙化するネット詐欺の最新手口を徹底取材

コロナ禍で外出規制がかかり、インターネット通販を利用する人が増えました。総務省の調べでは、ネット通販の今年4月の平均支出額は前年の同時期に比べ10%以上増加。日常的に利用する人も多くなった中、犯罪に巻き込まれかねない危険が伴っています。注文した覚えが無いのに届く、アマゾンの商品。一見して本物と見間違うほど精巧な偽サイト。日々巧妙化するネット詐欺の最新手口と、騙されないための対策を追いました。

【追跡】巧妙化する“偽サイト” 記者が実際に商品を購入してみると…企業も頭を悩ませるその実態と私たちが気を付けるべきこと

“偽サイト”で購入し届いたものは…

 コロナ禍で外出規制がかかり、インターネット通販を利用する人が増えた。総務省の調べでは、ネット通販のことし4月の平均支出額は、前年の同時期に比べ10%以上増加。

 商品の種類も豊富で安く買えることもあり、日常的に利用する人が多くなった中で、犯罪に巻き込まれる危険が伴っている。

巧妙につくられた”偽サイト”

“偽サイト”で売られていた商品

 取材班がインターネット上で見つけた東京の百貨店のショッピングサイト。トップ画面では、本店の閉店に伴う「在庫セール」を打ち出し、店の最終営業日に撮られたものだろうか、店員らが店頭で深々と頭を下げる写真が掲載されていた。

 百貨店らしくお洒落な作りになっていて、売られている商品は、誰もが知る高級ブランドの鞄や財布、そしてスポーツ用品の有名ブランドのスニーカーなど人気の高いものばかり。閉店セールとあって、どれも格安の値が付けられている。中には76万円のブランドバッグが1万7500円に。

 取材班が確認した商品のいずれも「正規新品未開封」「本物保証」との記載があった。「さすが、閉店セール」と手が出てしまいそうになるが、実はこのサイト、巧妙につくられた“偽サイト”だった。

実際に商品を購入してみると…

届いたブランド品は「偽物」だった

 どんな物が届くのか検証するため、取材班は当該の偽サイトから有名ブランドの財布を購入してみた。

 注文してから11日後に商品が届いた。段ボールの中には、ブランドのロゴが書かれた緑色の箱が。特段、違和感を感じない作り。そして箱を開けると、丁寧に包装された財布が出てきた。手触りは、やや硬く強い染料の匂いがした。

 ブランド品の買取店にこの財布の鑑定を依頼したところ、プロの鑑定人からは、「財布の商品価値はゼロ」との回答が。やはり偽ブランド品だったのだ。

 取材班は、配送時の伝票に記載のあった連絡先の番号に何度も電話をかけたが、つながらなかった。

企業も頭を悩ませる”よくできたサイト”

巧妙に作られた“偽サイト”

 当該の偽サイトは、一見したところは偽モノと判断がしにくい。正直、よくできている。店の閉店は事実で、「在庫処分セール」が行われていてもおかしくない。サイトに使われている商品の写真は、外国人のモデルなども出てきて宣伝のための写真としておかしくない。

 ただ、サイトの「お支払いについて」という項目を開くと、「納期は7-12日届けできます」と、おかしな部分があった。東京にあるセキュリティ会社「GМOブランドセキュリティ」によると、こうした細かな点から「公式サイトじゃない」と推測する必要があるという。

 当該の百貨店は、警察に相談し、公式サイトで偽サイトを使わないよう注意を呼びかけている。

 GМOブランドセキュリティなどの調べでは、去年発覚した詐欺目的のサイトはコロナ禍前の4倍以上に膨れ上がっている。外出規制により、より身近になったネット通販が詐欺犯に目を付けられ悪用されているのだ。

 企業にとっては、売上の減少やブランドイメージに影響を及ぼす大きな問題だ。文具メーカーのコクヨも、偽の通販サイトの存在を確認し、広報担当者は「ブランドの毀損があったと推測している」と話す。

私たちは何に気をつければよいのか

GМOブランドセキュリティ・網野圭亮本部長

 GМOブランドセキュリティの網野圭亮本部長は、「ここ2、3年で偽サイトのクオリティが凄く上がっているので、油断すると騙されてしまうことが起きる状況。(偽サイトの)特徴としては金額がめちゃくちゃ安いようなものがあったり、日本語に違和感があったりする。大手だと『てにをは』は必ずチェックする」と指摘する。

 拡大するネットショッピング。トラブルに巻き込まれないためには、消費者の側で細かな部分まで確認をする必要がある。

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