成長とともに身体の自由が無くなる…太陽にあたれない難病の男の子が照らす日常 家族とともに“奇跡”を

仲良し3姉弟の末っ子、新貝海陽くん(5)。色素性乾皮症A群という、太陽の光に当たると火傷のような症状が出て、高い確率で皮膚がんになる難病を抱えています。「太陽にあたれない」病気の特徴はもう1つ、命の期限が短くなること。どれだけ紫外線を避けても、6歳ごろから身体機能の低下が始まり、30歳ごろに亡くなるといわれています。成長のピークともいわれる1年を前に、お父さんは複雑な心情を抱えながらも、家族が楽しめるようにと、旅行を計画。お母さんは、多くの人に知ってもらうため、海陽くんを主人公にした絵本の製作に励んでいます。限られた時間が進んでいく中、“きょう”を大切に生きる家族の日々を取材しました。

【特集】成長の喜びと悲しみのはざまで…太陽にあたれない難病と闘う5歳 『色素性乾皮症』の息子と生きる家族の愛と絆

太陽のあたれない男の子

 太陽の光に当たると皮膚がんを引き起こし、成長とともに体の自由を失う難病『色素性乾皮症』。そんな病気と闘っているのが、静岡県に住む3姉弟の末っ子・新貝海陽くん(5)です。限られた時間と向き合いながら、奇跡を信じて“今”を生きる5人家族の姿を追いました。(取材・報告=読売テレビ・有吉優海記者)

生後3か月で発覚した難病『色素性乾皮症』

海が好きな新貝海陽くん(5)

 新貝海陽くん、5歳。名前には『海を照らす太陽のように輝く人になってほしい』という願いが込められています。

(海陽くんの母・新貝真夕さん)
「海、好きですか?」
(新貝海陽くん)
「海、好き」
(母・真夕さん)
「海陽はサーフィンやりたいんだよね?」
(海陽くん)
「うん!」

生後3か月で『色素性乾皮症』が発覚

 海陽くんは生後3か月で、国内の患者数が600人ほどの難病『色素性乾皮症』だとわかりました。この病気は、紫外線に当たると火傷のような症状が出て、皮膚がんを引き起こします。家は全て紫外線をカットする窓に替え、外に出るときには紫外線を防ぐ防護服が欠かせません。

ママ手作りの防護服でおでかけ

 市販されていない防護服は、全て母・真夕さんの手作りです。これまでに作った数は10着以上になりました。

(母・真夕さん)
「“変わった帽子をかぶっています”となるのが好きではなくて。周りの方も海陽も受け入れやすい帽子を、違和感なく使ってもらえるようにと思って」

太陽を避けながら外で遊ぶ

 肌に直接光が当たらないよう、帽子だけではなく手には靴下をはかせ、服は何枚も重ねます。さらに、紫外線の量を測る機械を常に持ち歩いています。両親は「お姉ちゃんとお兄ちゃんに我慢をさせたくない」という思いもあり、外でもたくさん遊んできました。

いつか始まる“身体機能の低下” 支える家族の愛と想い

ごめんね、絶対に助ける…両親の想い

 病気の特徴は、もう一つ…重度の海陽くんは、紫外線を避け続けても30歳ごろまでに亡くなるとされています。治療法は、まだありません。

 『色素性乾皮症』は遺伝性の病気で、両親ともに病気の遺伝子を持っていた場合、子どもは4分の1の確率で発症します。

(母・真夕さん)
「この病気は遺伝なので、100%、私と主人のせいなんです。『ごめんね』って毎日思っていました。『産んでごめんね』と言ったら本当に悔しくなっちゃうんですけど…でも、『病気にしてごめんね。だから絶対に助けるね』って思います」

定期的に小児科を受診

 病気の進行具合を確認するため、小児科の診察を定期的に受けています。日々成長を感じる一方で、母・真夕さんが気がかりなのは、“身体機能の低下”がいつ始まるか―難聴の症状から機能の低下が始まり、10代ごろには寝たきりになるとされているからです。

浜松市発達医療総合福祉センター・遠藤雄策医師

(浜松市発達医療総合福祉センター・遠藤雄策医師)
「5~6歳ぐらいまでは、できることがすごく増える時期になります。一方、6歳を過ぎて小学校に入ったぐらいになると、だんだん聞こえが悪くなったり、飲む力・噛む力が弱くなって食事がとれなくなったり、最終的には座っているのも難しくなって、寝たきりになってしまう。そういう経過が一番、これから気をつけていかないといけない」

姉・陽花さん(9)と兄・夕海くん(8)

 海陽くんの姉・陽花さん(9)と兄・夕海くん(8)も、大きくなるにつれ、海陽くんの病気を理解しはじめました。

(海陽くんの父・新貝篤司さん)
「『海陽が治るように』って短冊に書いてあった」
(母・真夕さん)
「全部に『海陽が治りますように』と書いてあるんです。まだ1桁台の年齢の子どもたちなのに、自分の願いを差し置いて、海陽の願いごとをするの?と思って…」

誕生日プレゼントに大喜びの海陽くん

 2025年11月、5歳の誕生日を迎えた海陽くんに、家族は“電動の小さな車”をプレゼントしました。電車も船も自動車も、とにかく乗り物が大好きな海陽くんのために、お父さんが選びました。

(父・篤司さん)
「マイナスなことを言うと、運転できているところを見られないかもしれないので、『運転しているところを見たいな』という思いで。親としては“自走している”って嬉しいんです。自分で歩く、自分で何かを持つ、自分で車を運転して右に左に行くって、嬉しい…」

「太陽いないでほしい」成長が進むにつれ直面する自身の病気

成長のピークにできることを増やす

 “成長のピーク”ともされる1年。月4回、言葉のトレーニングや体を動かすトレーニングを受けています。海陽くんの言語能力は今3歳~3歳半程度で、発達の遅れはありますが、貴重な1年の間にできることを少しずつ増やしています。

太陽さえなければ…

 ただ、成長するということは、思うようにいかない病気と向き合わなければいけないということ…。

(海陽くん)
「太陽いないでほしい……太陽、いないでほしい!」

 2025年10月、家族で海に遊びに行った日に、海陽くんは初めて「太陽が嫌だ」と泣いてしまいました。

海陽くんを主人公にした絵本

 難病とわかってから5年、両親は全国の研究者を回り治療法を探してきましたが、進展はありません。タイムリミットが迫る中、母・真夕さんは次の行動に取りかかりました。それは、海陽くんを主人公にした絵本の製作です。

前に進み続ける母・真夕さん

 絵本が伝えるのは、「自分の幸せは自分で見つけられる」というメッセージ。海陽くんの生き方を届けて、読む人の心を温かく照らしたい―絵本が多くの人に届き、つながっていった先に、未来を広げる“奇跡”が待っていると信じています。

(母・真夕さん)
「何も変わらず、何ひとつぶれず、『海陽を治したい』という思い。ただそれだけを心に打って、打ち込んで…」

クラウドファンディングも開始

 絵本の製作に合わせ、クラウドファンディングも始めました(2026年1月11日に終了)。

(母・真夕さん)
「クラウドファンディングを始めた理由は、返礼品としてでも皆さんに絵本が届いてほしいと思って。ぜひ皆さんに、うみちゃんの絵本を届けたいと思います」

 2026年の春には、集まったお金で製作する絵本を浜松市内の小・中学校に寄贈し、売り上げの一部は病気の研究費用にあてられるよう寄付するつもりです。

『この世界の全ての病気・難病が治る』みんなの願いは一つ

今年の家族旅行は宮崎県へ

 5歳になった海陽くんと家族の姿は、宮崎県にありました。毎年、日が短い秋に、父・篤司さんが家族旅行を計画しています。

“自由”を喜ぶ海陽くん

 日が落ちてからが、家族が自然でいられる時間です。

(海陽くん)
「もう太陽いない?」
(母・真夕さん)
「いないよ」
(海陽くん)
「てって(手袋)も?」
(母・真夕さん)
「取っていいよ、もう大丈夫」
(海陽くん)
「さいこーう!」

家族みんなで神社へ

 家族みんなで、神社に向かいました。

(海陽くんの兄・夕海くん)
「ママ、(願い符に)何て書いたの?」
(母・真夕さん)
「この世界の全ての病気・難病が…治り“ます”にしよう」
(兄・夕海くん)
「なんで治ります“ように”じゃダメなの?」

願い符に書いた“想い”

(父・篤司さん)
「弱い気がするんじゃない?」
(母・真夕さん)
「そうそう…」
(父・篤司さん)
「『治る』って言いきりたいの」
(母・真夕さん)
「…よし、オッケー。この世界の全ての病気・難病が『治る』!」

“奇跡”を信じて…

(父・篤司さん)
「願わくばっていうんですかね。叶うなら何でも渡しますよ、本当に……」

 いつかやってくる“奇跡”を信じて…毎日を大切に生きる家族の“今日”は、より一層輝きます。

(「かんさい情報ネットten.」2026年1月9日放送)

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