８月９日、第２回の「おとなのSDGs探究」にお迎えしたのは、一般社団法人「研究・イノベーション学会関西支部」の皆さんです。この学会には、大学教授やベンチャー企業の研究責任者、大手メーカーを退職した技術者の方々が所属し、産官学の垣根を越えて、学際的に技術の振興について研究を重ねておられる団体です。

　「ｙｔｖサステナビリティ・プロジェクト」が取り組む‘ｙｔｖでSDGsを探究しよう‘は、小学校から大学までの児童生徒、学生らを対象にしていますが、この「おとなのSDGs探究」はスピンオフ（派生版）として今年１月にスタートし、第１回は豊中商工会議所(大阪府豊中市）さんをお招きしました。

　今回は「研究・イノベーション学会」で日々の研究や勉強会を積み重ねておられる２５名の方々。技術分野の‘プロ集団’の専門家ばかりということで、サステナビリティグループだけではなく、技術局の社員もプログラムに参加し、午前中から昼食を挟んで、およそ４時間にわたる密度の濃い時間をご一緒しました。

　まずは、スタジオ見学です。毎週日曜放送の人気番組「そこまで言って委員会NP」の本番直前の収録スタジオに入りました。「番組を知っていますか？」と尋ねてみると参加者の先生方の視聴率は７０％以上と驚くほどの高い割合で、「いつも見ている番組のスタジオに入れて嬉しいです」と興奮気味に語る先生もいました。スタジオでは、番組が放送開始した２００３年当時からスタジオセットの制作を担当する美術部の伊藤大樹アートディレクターが説明役となり、番組スタート時には全国的にも例がなかった「縦型モニター」の導入にこだわり、家電メーカー側と熱い議論を戦わせたエピソードなどを紹介しました。

　また、番組名物の電光掲示板を番組のスタート時から大切に使い続けていることや、すでに使われなくなったテレビのブラウン管の一部をセットの材料にしていたり、今年1月に発生した能登半島地震の被災企業がセットの制作に協力していることなど、番組が取り組んでいるSDGsや地域貢献について、スタジオの舞台裏にある秘話を披露しました。

　後半のプログラムは、技術局から西村聡・技術開発部長が登壇し、看板番組「鳥人間コンテスト」の制作現場をテレビの技術分野の取り組みについて解説しました。「鳥人間コンテスト」は1977年（昭和52年）から滋賀県の琵琶湖を舞台に続けている、読売テレビの長寿番組で、今年46回大会を迎えました。今年も松原湖岸（彦根市）を会場に、7月27、28日の二日間、全国から集まった大学生や社会人チームが、手作りの人力飛行機で大空を舞いました。

　講義の中で、1990年代から大会の番組制作に技術スタッフとして参加してきた西村部長は、大会の収録と放送における技術の進化について説明しました。例えば、機体のコックピットに設置する小型カメラは、90年代にはまだ製品化されていなかったため、ひとつひとつ手作りで製作していたことや、着水時にカメラが水没しないように、吸水性の高い赤ちゃんの紙おむつで包んでいたこと、さらには安定した映像を収録するために、現在も有線の光ファイバーケーブルをキロ単位長さで敷設していることなどの苦労話しを紹介しました。

　また、飛行距離を算出するために、後続のモーターボートにGPSを搭載し、飛行する機体を追尾して航跡を補足している仕組みを説明しました。これに対し会場からは、「なぜ機体にGPSを設置しないのか？」との質問が寄せられ、西村部長は、「GPS機材の重量で、飛行距離を競い合う機体の負担にならないようにしている」と答え、番組制作における技術面の配慮についても紹介しました。この他にも参加者からは、4K放送の現状や、AI人工知能の活用などについて質問の手が挙がり、活発な意見交換を行いました。

　また終盤には、持続可能な社会への貢献を目的とする「ｙｔｖサステナビリティ・プロジェクト」の活動内容について紹介したほか、人事局の採用担当者が、次世代の技術現場で活躍する人材について、大学生を対象にしたインターンシップ制度があることを説明し、参加した大学教授などに協力を求めました。

　読売テレビではこれからも「おとなのSDGs探究」を通じて、幅広いパートナーの皆さんと協働し、社会課題の解決に向けた取り組みを進めて参ります。

【番組名】 『Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2024』

【放送日時】 9月4 日（水） よる7 時～ 読売テレビ・日本テレビ系 全国ネット

【番組HP】https://www.ytv.co.jp/birdman/

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