【鳥人間コンテスト×琵琶湖博物館】
SDGsイベント開催!~現地レポート~
鳥人間と科学者が初めての「異文化交流」

『Iwataniスペシャル鳥人間コンテスト2023』(8月30日(水)夜7時OA:読売テレビ・日本テレビ系全国ネット)。番組のスタートは、1977年(昭和52年)でした。日本最大の湖「琵琶湖」の雄大な自然を舞台に、‘人力飛行機で大空を飛ぶ’というロマンに挑戦した大勢の人々が、数えきれない感動のドラマの主人公になりました。

私たちは今夏、今年45回目を迎えた‘鳥人間’の「進化の軌跡」を辿ることにしました。パートナーは、琵琶湖研究のスペシャリストである滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)の学芸員の先生たち。研究の最前線で、失敗を繰り返しながら、あくなきチャレンジを続ける科学者は、鳥人間に勝るとも劣らない琵琶湖への愛と情熱をもっていました。‘鳥人間×学芸員’による、異次元のコラボレーション。サステナビリティグループの河﨑華子がリポートします。

鳥人間コンテスト~45回の軌跡~

8月18日(金)、19日(土)、20日(日)の3日間、滋賀県立琵琶湖博物館において、ytvSDGsの環境保全と地域貢献活動を目的に、夏休みイベントを開催しました。エントランスフロアの「アトリウム」に、1977年から続く「鳥人間コンテスト」の歴史をまとめたパネル展示を行いました。琵琶湖の対岸に到達するなど新記録が出るたびに、ルールを新しくするなど、鳥人間の進化の軌跡を紹介しました。会場には、大会に出場したという「鳥人間OB」の皆さんが何人も来てくださったり、「未来の鳥人間」になるかもしれない子供たちが、過去の番組映像を食い入る様に見てくれたりと、大勢の方々にパネル展示を楽しんでいただきました。

滑空機を見てみよう!(機体展示)

さらに今回は、鳥人間コンテストで実際に使った「滑空機」をリメイク展示しました。スタッフが大阪からトラックで運び込んだ理由は、「間近で見てほしいから」という気持ちがあったからです。例えば、機体の大きさや素材、どうやって人が乗るのかなど、実際に見た人は「こんな狭いところに人が乗って、数百メートルも飛ぶのか」と驚いていました。また、大型のスクリーンに過去の番組映像を上映したり、プロペラに触ってもらうなど、あまりの羽根の軽さに子供たちも「軽~い!すご~い!」とビックリしていました。

  • 中山審判長が静岡から滋賀まで持参。現存する片羽根のみの展示

琵琶湖の素晴らしさを知る

近畿圏1400万人もの暮らしの水源でもある琵琶湖は、世界中で数少ない古代湖のひとつ。その歴史は実に400万年もあり、琵琶湖にしかいない生物(固有種)も多く、生態系の秘密や、食文化の歴史等を専門的に研究しているのが琵琶湖博物館です。「古代湖である琵琶湖は、あらゆる生物進化のゆりかご」ともいわれ、‘琵琶湖と鳥人間’は「進化」という共通のテーマで語ることができるのです。

  • 提供:琵琶湖博物館

ytvアナウンサー×学芸員 夏休み特別授業

琵琶湖の環境や生態について子供たちに楽しく学んでもらうため、ytvのアナウンサーと琵琶湖博物館の学芸員による特別授業を行いました。ytvからは諸國沙代子アナウンサーと大野晃佳アナウンサーが参加し、授業を盛り上げてくれました。番組のキャッチコピーである「たくさん 失敗しよう。」をテーマに、“研究中の失敗が、思わぬ発見につながった”という楽しいエピソードを話してくれました。

  • 琵琶湖博物館の副館長で水辺の鳥について研究を行う亀田副館長

例えば、琵琶湖博物館の副館長で水辺の鳥について研究を行っている亀田佳代子先生は、
カワウの‘フン’の採取を行った際、一部のフンをうっかり車内に置き忘れてしまいました。
1週間ほど放置されたフンを試しに測定してみたところ、なんと窒素分が減少!脱窒素作用が確認された…という、「失敗が成功につながった」実体験を語りました。

  • 現在、開催中の企画展「おこめ展」(※2023年11月19日まで)とのコラボ授業を行った妹尾学芸員
  • 琵琶湖博物館の公式Youtubeチャンネル「びわこのちからチャンネル」より

「実験考古学」のスペシャリストである妹尾先生は、研究は“失敗ありき”と語ります。実際に土器を製作して、弥生時代の文化を復元する研究を行っていますが、頭ではうまくいっても製作段階で土器が割れたり、調理がうまくいかなかったりと悪戦苦闘の連続。失敗を積み重ね、考察することで真実に近づいていく実験・研究の醍醐味を教えてくれました。

  • 「魚もジャンプすることがある!?」というテーマで琵琶湖の魚を紹介した金尾学芸員
  • 調査中に見かけたビワコオオナマズの産卵

琵琶湖博物館の“おさかな博士”こと金尾先生は、ビワコオオナマズの研究で大失敗!したとのこと。孵化の瞬間を待ち構えていましたが、我慢していたトイレに行っている間に孵化してしまったそうです。その後、再度孵化の瞬間を撮影するのに10年かかり、「たくさんの失敗を乗り越えて、次につなげていく」ことの大切さを教訓を交えて披露しました。

鳥人間コンテスト・中山審判長 トークショー

トークショーには、1998年に鳥人間コンテストで史上初の“対岸到達フライト”を成し遂げた‘レジェンド・パイロット’中山浩典さん(63)が登壇、中山さんは現在、大会審判長を務めています。大記録を樹立した当時の機体の内部構造のほか、パイロットに必要な筋肉や訓練メニュー等々、番組では語られてこなかった舞台裏のエピソードを披露しました。中山さんはパイロットとしての第一線を退いた後、大会を目指す大学生チームに技術指導する機会を提供する等、大空への夢を追い求める‘次の鳥人間たち’の育成にも力を注いでいます。講演では、今大会にエントリーしていたものの、直前の機体トラブルで出場を辞退した、地元・滋賀県立大学のチーム「BiwaTech」のメンバーも登壇。大学生たちにとっては、中山さんの心配りで実現した夢の対談となりました。

トンボ100大作戦 & MLGs(マザーレイクゴールズ)

イベントでは、鳥人間コンテストの付加価値の創出のため、滋賀県立琵琶湖博物館とのコラボレーションを中心に、滋賀県庁、地元企業チーム、NPO団体等との連携企画も行いました。滋賀県版SDGsであるMLGs(マザーレイクゴールズ)、滋賀県職員がPR体操を実演。また、環境保全活動を行う大手企業6社による「トンボ100大作戦」の出張教室を実施しました。滋賀県内に工場をもつ大手6社が、「生物多様性びわ湖ネットワーク」を結成し、水辺に生息するトンボの保護を通じて、琵琶湖の自然を守る活動を進めています。読売テレビは、「水と自然でつながるパートナーの形成」を視野に、サステナブルな社会を一緒に創っていきたいと考えています。

編集後記 ~琵琶湖より愛をこめて~

「鳥人間ファンを 琵琶湖ファンに。琵琶湖ファンを 鳥人間ファンに。」

 

鳥人間コンテストという番組を通じて、自然豊かな琵琶湖の素晴らしさを伝え、琵琶湖に関心を持ってもらいたい。視聴者の皆さん、出場チームのスタッフやサポーターの皆さんなど、鳥人間コンテストに関わる全ての人々に、琵琶湖を大切にしてほしいという想いを、今回のイベントに込めました。私たち読売テレビが出来ることは、感動を“発信”することです。そして、‘人力飛行機で大空を飛ぶ’というロマンに挑戦する人々をこれからも応援していきます。感動のドラマの舞台となる琵琶湖の環境保全に取り組み、「テレビ局だからこそできるアプローチ」にチャレンジしていきます。

 

ESG推進局サステナビリティグループ 河﨑華子