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インターパーク倉持呼吸器内科、倉持 仁(くらもち・じん)院長

【独自解説】オミクロン株感染拡大の中、新型コロナ最前線医師が2つの提言「集中」と「選択」を早急に!“基礎疾患”を持つ子どもは注意を!

感染爆発で診察さえできなくなる!?

オミクロン株が猛威を振い、感染者も第5波のピークを超え急増しています。今回は最前線で新型コロナの治療にあたっている、インターパーク倉持呼吸器内科 倉持 仁(くらもち・じん)院長からお話を聞きます。

インターパーク倉持呼吸器内科 新型コロナ患者の現状(2022年1月17日現在)

Q.オミクロン株は重症者が少ないと言われていますが、倉持先生の病院で、入院させる明確な判断基準はあるのでしょうか?

(倉持医師)
「はっきりとした基準はなくて、大きくは2通りに分けてます。まずは受診した段階で若い方でも歩けないような状態の方がいます。そういう方は検査をしながら入院をしていただきます。それ以外の濃厚接触者や比較的軽い風邪症状の方は保健所に報告をして、保健所の指示で入院させます。」

Q若い人はほとんど軽症と聞いていますが、歩くのもつらいような方もいるんですか?

(倉持医師)
「あくまでこの新型コロナの軽症・中等症というのは肺炎があるか、酸素飽和度が下がっているかどうかでの区分けであって、本人に歩けないほどの強い重篤感があっても、ほとんどの方は軽症に分類されます。従来の区分はデルタ株以前に合わせたものです。若くてワクチンを2回接種していても動けない、食事もとれないという人もいますので、今後は、それに見合った区分が必要と思います。」

“新型コロナ”最前線医師の2つの提言

Qまず最初の提言で、今後“診断すらできない”患者さんが多数発生するかもしれないとありますが、今の状況でもかなりの数なのでしょうか?

(倉持医師)
「昨日も通常の診察をして、その診療が終わった夜7時からは電話での遠隔診療をして、終わったのが夜中の11時とか12時になりました。まだ感染拡大の初期でこの状況なので、今後は我々が診察したくても物理的に不可能になるくらい急激に感染者やその疑いのある人が増えて、従来の診療体制では間に合わなくなると思います。デルタ株の時は、“肺炎になっても入院させられない”ということが怖かったのですが、今回は我々の手が出せないくらい多くの患者数になって、“病院の受診さえできない”状況になっていくと思われるので、どう対応するのか早急に決めないといけないと思います。」

Q今後は「選択」と「集中」、トリアージのようなことをしなければいけないのでしょうか?

(倉持医師)
「感染症は検査と隔離と治療の3つが必要なのですが、その中で重症化しやすいとか、重篤感が強い方を優先的に治療できる体制が必要です。幸い今回は重症化する方が少ないので、なるべく広い範囲で、早く検査をした上で、症状がある方を選別して、医療機関医に送るという仕組みが必要だと思います。そして今まで足りなかった隔離施設を各拠点に作る、その上でワクチンや治療薬が効くのなら、社会活動を継続すればいいのです。」

新型コロナ治療薬の現実

日本で使える新型コロナ治療薬

Qいま日本で使える治療薬は4種類あるのですが、先生のところではどれをお使いですか?

(倉持医師)
「私のところでは、点滴薬で効果判定もしやすい、ソトロビマブを使っていて、症状の緩和に関しては有効だという印象を持っています。肺炎がある場合はレムデシビルを投与します。モルヌピラビルという飲み薬もあるのですが、きのうも40名近く陽性者が出たのにクリニックには3人分しか薬がなく、使いにくい印象です。」

“基礎疾患”のある子どもは注意を

“新型コロナ”最前線医師の2つの提言

Qそして倉持先生の“提言2”ですが、「喘息(ぜんそく)」「てんかん」など“基礎疾患”を持つ子どもは注意とありますが具体的には?

(倉持医師)
「例えば、喘息のある子どもは、風邪やインフルエンザにかかると咳が止まらなくなったりするのですが、新型コロナ患者が増えていくと、容易に病院を受信できなくなってしまいます。ですから早い段階から、かかりつけ医からもらった薬をしっかり使って、体調管理に努めてほしいのです。」

Q子どもが新型コロナの疑いがある場合どうすればいいでしょう?

(倉持医師)
「まず病院を受診してPCR検査を受け、病気を判断してほしい。検査で陽性になったら『職場に報告しなければならない』とか、『休まなければいけない』とかあるのですが、まずは陰性か陽性かの判断をしてください。陽性でも、オミクロン株で子どもが急に重症化するというわけではありません。」

Qどういう状況になれば、“オミクロン株”を“インフルエンザと同じ扱い”にできるのでしょうか?

(倉持医師)
「オミクロン株に対して効果の確かなワクチン接種が広まって、どこの病院でも治療薬が手に入る状況を作ることで、感染症法の扱いも“2類”から“5類”という話もできます。そして休むということが社会的に受け入れられる環境づくりも大切です。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年1月18日放送)

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