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【独自取材】すすきの頭部切断殺人 元・道警捜査1課長解説「捜査は半年以上かかる」今なお謎残る2人の関係性「自分に危害を加える人間ではないと妄信」
2023年7月17日 UP
札幌市・すすきのにあるホテルで頭部が切断された遺体が見つかった事件。犯人の狙い、足取り、2人の関係など、多くの謎が残る中、元・北海道警察捜査一課長を独自取材しました。そこから見えてきた捜査のポイントとは?そして犯人逮捕の時期は?亀井正貴弁護士を交えて解説します。
被害者は加害者を信頼?「自分に危害を加える人間ではないと妄信」
今回取材をしたのは、元・北海道警捜査1課長の齊藤穣氏です。齊藤氏は北海道警で殺人事件や誘拐事件などの捜査を1課長として、2年間指揮していて、その間に未解決事件は無かったということです。齊藤氏は、その後北海道警察学校の校長を務め、2019年に定年退職しました。
齊藤氏によると今回捜査が長引いている要因の一つは、「スマホなどの連絡ツールが現場に無かった」ことだといいます。実際の端末がないので、通話履歴やメール・SNSアプリの内容などを携帯電話会社やアプリ運営会社から取り寄せるのに時間がかかっているのではないか、ということです。データ等を取り寄せるには、「捜査関係事項照会書」で情報の任意の提供を求めるのですが、データを取得しても分析・解析に時間がかかるということです。また、「3桁に上る現場周辺の防犯カメラの映像が集まっていると思う。映像を詳細に解析している最中では」ということです。
齊藤氏は、被害者の遺体に防御創がなかったことなどから二人の関係について「交友関係はあったと思う。 一緒にいた人物は、被害者に対して、“深い恨み”を持っていたのか、“金銭目的”だったかはわからない」「ただ被害者の方は一緒にいた人物を信頼していた。自分に危害を加える人間ではないと妄信して、浴室に入ったと思う」と話しています。
Q.犯人はなぜ頭部を切断して持ち帰ったのでしょうか?
(亀井正貴弁護士)
「頭部は歯などで人の特定が可能です。もちろん顔も人を識別する重要ポイントですので、証拠隠滅が目的だと思います。携帯の通話履歴やSNS関係のデータなどにしてもいずれ分かると思うので、捜査を遅れさせることが目的だと思います。大事なのは被害者と被疑者の関係性と、周囲の人間がどこまでその関係性を認識していたかです。二人だけの秘密の関係だと捜査はなかなか難しくなってきます。被害者の周辺捜査でどこまで見えるかが大事です」
必要な直接的な証拠…捜査の行方は「半年以上かかると思う」
公開捜査とは、被疑者の氏名・画像・映像等の捜査資料を公表して、積極的に国民の協力を求める捜査手法です。亀井弁護士によると「犯人に関する情報が乏しく、捜査が手詰まり状態のときに行われることが多い」といいます。齊藤氏は、その公開捜査の可能性について、「防犯カメラの映像が鮮明ではない可能性がある。公開できるような鮮明な映像があり、さらにそこに映っている人の容疑性が限りなく高い場合、公開捜査に踏み切るタイミングだと思う」と話しています。
Q.被害者と一緒にいたとされる人物が限りなく容疑者に近い場合でも、公開捜査は行われるのでしょうか?
(亀井弁護士)
「公開捜査の目的は被疑者の確保です。今回の場合は、被疑者の特定ができるのであれば、この人物の所在を確認して検挙するための情報協力を求めるということでしょう」
Q.公開捜査をしないのは、容疑者が絞り込めているからではないのですか?
(亀井弁護士)
「私も最初の印象はそうでした。被害者の周辺を捜査しているので、特別に二人の関係を隠していなければ、ある程度見えてくると思います」
齊藤氏は今後の捜査の行方について、「地道な捜査を積み重ね、浮上した容疑者の潰し込み、さらに被害者の頭部、被害者の所持品、客観的証拠を入手しなければ逮捕・起訴できない。半年以上はかかると思う」と話しています。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年7月14日放送)


