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　連鎖販売取引、いわゆる“マルチ商法”で違法な勧誘を行ったとして、６か月の取引停止命令を受けていた「日本アムウェイ」。4月14日から勧誘活動などの再開が認められ、ホームページで今後の方針を発表しましたが、その実効性は？ジャーナリスト、多田文明氏の解説です。

マルチ商法自体は合法…今回なぜ処分？

　アメリカ・ミシガン州に本社を置く「アムウェイ」は、世界最大級の連鎖販売取引(マルチ取引)を行う会社です。サプリや化粧品などの自社製品を取り扱い、日本では1979年に営業を開始しました。消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売するマルチ商法は合法ですが、トラブルが生じやすいため、特定商取引に関する法律により厳しく規制されています。

　2022年10月に６か月の取引停止命令を出された理由は、勧誘する際に日本アムウェイだと名乗らなかった「氏名等の明示義務違反」、「勧誘目的を告げず公衆の出入りしない場所での勧誘」、執拗な勧誘をするなどの「迷惑勧誘」、マルチ商法について記載した書面を交付しなかった「概要書面の交付義務違反」という４つの違反行為が発覚したからでした。

Q.業界トップのアムウェイに処分が下されたというのは、大きいことですよね？
(ジャーナリスト　多田文明氏)
「40年以上の老舗で、他のマルチ商法の業者も恐らく日本アムウェイの勧誘手法を参考にしていますから、非常に影響力が大きいと思います」

Q.日本アムウェイに対しては、2019年4月から2022年9月15日の約３年半の間に953件もの相談が寄せられていたということですが…
（多田氏）
「これまでも、こうした行為はあったはずですが、なかなか表に出てきませんでした。長い年月で被害にあったり嫌な思いをした人が沢山いましたので、今回の処分は注目されており、『大手だろうと何だろうと、国は処分を下す』とメッセージを伝えたのは、重要だと思います」

Ｑ.日本アムウェイは、勧誘時の目的明示・概要書面の交付・コンプライアンス研修の受講義務化などを公表しましたが、実効性については、どう思われますか？
（多田氏）
「これまでできなかったことをするわけですから、相当な覚悟と決意が必要だと思います。また、稼ぎたいと思っている人たちは、お金のためなら手段を選ばず勧誘すると考えられますので、それをどう指導していけるかです。『自分一人ぐらいなら良いだろう』と思う人が積み重なっていきますから、勧誘を受けた側もしっかり見ていくことが重要です」

コロナ明けでマルチ商法の勧誘増加？マッチングアプリにも注意

　多田氏によると、マルチ商法などの勧誘は出会いが多くなる新生活シーズンに増えるということで、特に今年はコロナによる制限もなくなるため要注意だといいます。

（多田氏）
「新入生や新社会人など、周りに友だちがおらず寂しいという気持ちに、悪質な勧誘を行う人たちはつけ込んできます。そして、コロナが明けた影響も大きいです。コロナ以前のマルチ商法の勧誘は、大小問わずイベントに誘ってから個別勧誘に持ち込むというパターンでしたが、コロナ禍でしばらくイベントができませんでした。ですが、今後はより一層増えるのではと警戒しています」

　また、マッチングアプリでの勧誘も増えており、アプリで知り合った異性から会おうと誘われ、実際に会うと「今の日本はヤバい」「将来危ないから副業したほうが良い」などと勧誘を受けるケースが増えているといいます。

Q.マッチングアプリが、違法な勧誘をする人にとって良い手段になっているのですか？
(多田氏)
「マッチングアプリを利用する人は、ものすごく多いと思います。私が取材した人によると、恋愛感情を抱かされるそうです。３～４回会って、その時は勧誘のことなど何も言われないんですが、最終的に勧誘だったと判明します。すでに恋愛感情を持っていると、断りきれない人が多いようです」

Q.不安を煽って勧誘するのは、違法な宗教勧誘と通じるところがあるように思いますが？
(多田氏)
「不安を煽るというのが、常套手段です。特に若い人には、『これから、どう生きていったらいいんだろう』『どう稼いでいけばいいんだろう』という不安に、助言という形で、うまく誘導していきます。また、逃げ場なく、例えば封鎖的な環境に入れて長時間の勧誘をするなど、思考力を低下させてくることもあります。私が取材した人に、『どうして契約したの？』と聞くと、『契約しないと、帰れないと思った』と言う人が本当に多いです」

Q.トラブルにあわないために、何を意識すれば良いですか？
(多田氏)
「悪質な勧誘には、マニュアルがあります。例えば、『お金がない』『家族に相談したい』などと断る人が多いのですが、相手は想定内です。私も勧誘を受けた時に『この場では決断しない』と言うと、『そんな自立心のない奴は、人生で成功しない！』と、怒鳴られたことがあります。そのぐらい言ってくる人たちなのだと肝に銘じて、その場から離れることを常に考えてください」

(情報ライブミヤネ屋2023年4月14日放送)