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20歳の誕生日を迎えられた愛子さま

【独自解説】愛子さま20歳の誕生日に文章を公表 これまでの歩みと今後の課題は? 元・宮内庁職員「成年皇族としての自覚と責任感がすごく感じられる立派な文章」

12月1日、愛子さま20歳の誕生日

 12月1日は皇室にとって、記念すべき一日となりました。天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが20歳のお誕生日を迎え、成年皇族の仲間入りを果たされたのです。愛子さまは今後、どのような道を歩んでいかれるのでしょうか。元・宮内庁職員の山下晋司さんが独自解説します。

愛子さま 成年皇族に

 愛子さまは現在、学習院大学2年生で、成年のお祝い行事は、12月1日と、授業がない12月5日、日曜日に分けて行われます。5日は、午前中に宮中三殿をご参拝され、天皇陛下から勲章である「宝冠大綬章(ほうかんだいじゅしょう)」を授与される予定です。そして、午後は勲章とティアラをつけローブデコルテの正装で、天皇皇后両陛下と上皇ご夫妻へ挨拶。その後、三権の長から祝賀を受ける予定です。

 こうした皇族の方々のお誕生日に際して、多くの場合、誕生日前に記者会見で、いまのお気持ちを述べられることが多いのですが、今回は開かれず、大学の春休みにあたる、2022年3月の第3週に実施される予定とのことです。

 12月1日、最近の愛子さまのご様子が公開されました。お庭を愛犬の由莉(ゆり)と散歩され、時折、笑顔をみせる愛子さま。現在は “新型コロナ”の影響で、実際に大学へ通学される機会はなく、オンラインでの授業が続いているということです。

元・宮内庁職員 山下晋司さん

Q.山下さんにとっても、愛子さまが20歳になられたのは大変感慨深いのではないですか?
(元・宮内庁職員 山下晋司さん)
「そうですよね。非常にご立派になられたなっていうのは、映像を拝見しても感じますよね」

成年にあたっての文書

愛子さま、これまでを振り返り…

 そして、12月1日には、文書で成年にあたっての感想も公表されました。公表された文書からは、随所に愛子さまのお人柄が伺えます。

 まずは、これまでの人生を振り返り、「様々な方と出会い 関わることを通じて 人と人とが互いに手を取り合い、交流の輪が広がっていく 素晴らしさを学び、全ての経験が今、私の財産となっています。今日に至るまで 私の歩みに関わってくださった、全ての方に深く感謝いたします」と記されています。

“新型コロナ”について…

 “新型コロナ”についても言及されています。「多くの方が亡くなられたことに胸が痛みます。また、この感染症の影響を受けて、現在も大勢の方々が厳しい生活を送られていることと案じています。全ての方に、平穏で彩り豊かな暮らしが一日も早く訪れることを願うとともに、また以前のように皆様とお会いしお話しできるようになる日を楽しみにしております」と胸の内を明かされています。

愛子さま、成年皇族としての誓い

 そして、「天皇皇后両陛下には、これまで愛情深く大切に育ててくださり、どのようなときも一番近くで支えてくださいました。これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております」と、ご両親である天皇皇后両陛下への感謝、さらに成年皇族としての誓いもつづられていました。

Q.もう、愛子さまの中では成年皇族としての心の準備はしっかりできていらっしゃるように、この文章から拝察できますよね?
(山下晋司さん)
「20歳になったから、急にがらっと変わることはないわけですから。当然、ここに至るまでのご両親のお仕事とか近くでご覧になっていたわけですし。この文書も全体通じて成年皇族としての自覚と責任感というのがすごく感じられる立派な文章だと、我々の二十歳のときからは考えられないですね。やはりそういうお育ちというか、そういう方は違うんだなってつくづく感じました」

Q.眞子さんが結婚されたので、ご公務の重要度を肌で感じていらっしゃるのでしょうね?
(山下晋司さん)
「皇族の公務の位置づけというのは難しいです。“公”と“私”の問題と同じように、ご本人たちのお考えが尊重されるっていう位置づけですから。法的にこれをやりなさいって決まっていることではないので。眞子さんがやっておられた公務がどうなるのかというのは今まだよく分かりませんし、愛子内親王殿下にとって、今までにない、引き継ぐとかじゃなくて、何か愛子内親王殿下のライフワークになるような新しい公務が生まれるといいましょうか、始まるっていうこともう考えられますし、私なんかどちらかというと、そちらの方を楽しみにしていますけどね」

 愛子さまの文章につづられていた、天皇皇后両陛下に対する感謝、そして恩返しの想い。その裏には、親子の“深い絆”を感じさせる数々の出来事があったのです。

両陛下の深い愛情に包まれ― 愛子さまご誕生からの軌跡

 平成13年(2001年)12月1日に生まれた愛子さま。人を敬い、人からも敬われ、人を愛し、人からも愛されるように育ってほしいという願いをこめ、「敬宮(としのみや)・愛子(あいこ)」と命名されました。ご結婚から8年、待望のわが子の誕生に、天皇皇后両陛下は―

(雅子さま)
「初めて、私の胸元に連れてこられる生まれたての子どもの姿を見て、本当に生まれてきてありがとうという気持ちで一杯になりました。今でもその光景は、はっきりと目に焼き付いております。生命の誕生…」

 愛子さま誕生から4か月後に開かれた会見の途中、感極まって涙を流す皇后・雅子さま。その傍らで、天皇陛下が優しく手を差し伸べられる姿が印象的でした。

お二人の愛情に包まれ、健やかに成長された愛子さま

 そんな、お二人の愛情に包まれ、健やかに成長された愛子さま。その歩みには印象的なシーンがたくさんありました。

 まずは生後8か月、静岡県下田市の須崎御用邸を訪れられたときのこと。皇后さまに抱っこされて、すっかりご機嫌の様子の愛子さま。そこへ、上皇后・美智子さまが、海藻を手渡そうとすると…愛子さまは海藻をポイと投げてしまう赤ちゃんらしい無邪気な一面も。さらに別の日には、愛子さまが天皇陛下の顔をなでる様子も見られ、なんとも愛らしいお姿は多くの国民を魅了しました。

 生まれて間もないころから、動物が大好きだった愛子さま。生後10か月のときに訪れた牧場では牛とふれあい、満面の笑顔を浮かべていました。

 そして、2歳のときには「もう一回!」と皇后さまにおねだりしながら、ハープを触って楽しむ愛子さま。3歳の時にはスキーに挑戦し、体を支えられながらも見事な滑りを披露しました。

これまでの皇室とは違う新たな一面も…

 そんな、愛子さまの幼少期の中に、これまでの皇室とは違う、新たな一面が。

(元・宮内庁職員 山下晋司さん)
「愛子内親王殿下がまだ小さい頃に、今の天皇陛下がホーム・ビデオで、自分でお撮りになった映像を公開されたっていうのは、今までになかった」

天皇陛下が撮影された、絵本を読む愛子さまの姿

 天皇陛下が撮影されたホーム・ビデオの映像には―

(愛子さま)
「もういいかい、ま~だだよ、もういいかい、もういいよ、どこに隠れたのかな~。パパも」
(天皇陛下)
「おいモリゾー、声を聞かせてくれよ~」

 愛子さまが天皇陛下のことを「パパ」と呼ぶなど、お二人の日常を垣間見ることができました。

(元・宮内庁職員 山下晋司さん)
「陛下のお声であったり、愛子内親王殿下のお声であったりというのも入っていましたから、普段の生活ぶりが国民に非常に伝わったんじゃないかなとは思いましたね」

Q.天皇陛下がお撮りになったビデオには日付も入っているのですね?
(山下晋司さん)
「どうしてもホーム・ビデオですからね。プロのカメラじゃないですから画質は悪いのですけど、家庭の雰囲気が分かっていいですよね」

 学習院幼稚園時代の運動会では、ビデオカメラを手に応援される天皇皇后両陛下に、愛子さまの転がしていた大玉がぶつかりそうになる微笑ましいハプニングもありました。

一時、登校に不安も…両陛下の支え

 その後、学習院初等科に入学された愛子さま。入学したばかりのころ、公務に出発する天皇陛下をお見送りになるときに涙を流したことや、一時、登校することに不安を感じられ、 皇后さまが登下校に付き添われたこともありました。

 しかし、4年生になってからは、管弦楽部に入部。朝早い練習にも参加するなど、学校生活を楽しまれるように。さらに、6年生のときには、雅子さまが見守る中、天皇陛下と初の親子共演を果たされます。天皇陛下は、学習院OB管弦楽団の一員として、ステージ上でビオラを演奏。愛子さまは、ステージの下でチェロを演奏し、親子で2曲を披露しました。そして、小学生生活、最後の運動会では、ひざにいくつもの絆創膏を張った愛子さまは、見事な組み体操を披露しました。その様子を嬉しそうにご覧になられた皇后さまの目には涙が。

(皇室ジャーナリスト 近重幸哉さん)
「愛子さまが一時期、登校不安があったとき、それを乗り越えられて頑張っていらっしゃる姿というのは、嬉しい感動的な場面だったのではないかと思います。雅子さまの愛子さまへの付き添いが報われたということが言えるのではないかと思います」

留学も経験…充実した中・高等科時代

中等科入学時、記者の「今のお気持ちはいかがですか?」という質問に対し、「楽しみにしています」と朗らかにお答えになった愛子さま。

進学した学習院女子中等科では、初等科のときに始めた、チェロの練習に励まれたほか、美術展に足を運び、熱心にご覧になるなど、様々な芸術に触れる機会も。また、3歳から毎年楽しまれているスキーは、上級コースを滑るほどの腕前に。勉強に忙しい日々を過ごされる中、充実した中学生活を送られました。

Q. 古典とか日本文学などにも精通してらっしゃるんですが、一方でスキーもそうですけれども愛子さまは大変運動神経もよろしくて、リレーの時に思わずガッツポーズをされたのが忘れられないですよね?

(山下晋司さん)
「スポーツウーマンっていうか、足もお速いですし、この辺りもご両親の血を引き継いでおられるのですかね。天皇陛下はもうとにかく走るのは早い、側近がかわいそうっていうぐらいですから、お付き合いするのについていけないのですよ。皇后陛下も若い頃からソフトボールとかでスポーツもおやりになった方ですから、そういった血を継いでおられるのだなっていうのは、あの走り方を拝見しても思いますよね」

卒業文集には、広島への修学旅行で学んだという、平和への願いがつづられていました。

(愛子さま)
「唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は自分の目で見て感じたことを、世界に広く発信していく必要があると思う。『平和』は人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくものだから」

そして、学習院女子高等科に入学された愛子さま。入学式では…

(愛子さま)
「先生方やお友達と一緒に充実した高校生活を過ごすことができればと思っています」

2年生のときには、イギリスの名門「イートン校」のサマースクールに参加。約3週間、寮生活を送りながら、イギリスの文化を学ばれました。

また、卒業レポートの作成に向けて、源氏物語や枕草子などの日本の古典文学をお読みになり、「平安時代の猫と犬一文学作品を通して一」と題する卒業レポートを、学校の基準(400字詰め原稿用紙30枚以上)を倍近く上回る分量でおまとめになり、提出されました。

Q. 愛子さまは日本文学にたいへんご興味はおありなんですね、特に古典に?
(山下晋司さん)
「百人一首だとかお小さい頃にもおやりになっていたはずで、相当な腕前だといわれていますし。なんかそういう日本語とか、古い日本語なども含めて文学というものに相当関心をお持ちで、おそらくお父様の影響があるんだろうとは思っていますけれどもね」

親子3人で仲睦まじく過ごされた夏休み

一方、夏休みには、親子3人で仲良く過ごす姿が多くみられました。2018年、愛子さま16歳の時には、ご静養中の須崎御用邸で…

Q.(記者)お手元には何をお持ちなんでしょうか?
(3人)「貝」(大笑い)
(雅子さま)「何貝かは…」
(天皇陛下)「何貝かな?ムラサキガイ?」
(愛子さま)「うん」
Q.(記者)学校で学ばれたんですか?貝のことは?
(愛子さま)「自由研究でだいぶ調べました」

愛子さま17歳のころ(2019年)

さらに、2019年には、こんな微笑ましいシーンが。

(天皇陛下)「あっトンボ あっ!」
(雅子さま)「(トンボに)好かれている」
(愛子さま)「何回も来る」
(雅子さま)「本当?」

愛子さまの指に何度もトンボが止まる様子を3人で楽しまれていました。そして記者に対して笑顔で…

(愛子さま)「(高校)最後の夏休みを満喫したいと思います」

学習院大学進学 成年を迎えられる愛子さまへ天皇陛下は…

愛子さまの近況

 そして、愛子さまは2020年春に学習院女子高等科を卒業。残念ながら“コロナ禍”で、両陛下は卒業式に出席することがかないませんでした。

 学習院大学文学部 日本語日本文学科に進学され、日本語学の基礎を学ぶ「日本語学講義」、文学を読むための基本を身につける「日本文学講義」や「日本文学史概説」などの専門科目の他、歴史、外国語(英語・スペイン語)、スポーツ・健康科学などの科目をオンライン授業で履修されています。

 現在、学習院大学2年生になられた愛子さまに対して、天皇陛下は…

(天皇陛下・2021年2月の会見)
「愛子が誕生したときの会見でも申しましたが、孟子の言葉を参考にした「敬宮」「愛子」という名前には、人を敬い、人を愛してほしいという私たちの願いが込められています。それは20年経ついまでも変わっておりません。今後、成年皇族として公務に当たっていくことになりますが、感謝と思いやりの気持ちを持って、一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います」

 成年皇族としての新たな一歩を踏み出される愛子さまに、エールを送られていました。

姉のような存在…眞子さん、佳子さま

 さらに、愛子さまの心の支えになったのは…

(皇室ジャーナリスト 近重幸哉さん)
「眞子さんと佳子さまがいらっしゃる。いとこでもあり お姉さん的な存在でもあったんではないかと思います」

 愛子さまにとって、いとこにあたる眞子さん、佳子さまは、かけがえのない相談相手になっていたといいます。

(皇室ジャーナリスト 近重幸哉さん)
「お一人で中々お友達と自由に出かけられないということを考えますと、眞子さん佳子さまとお話が出来るということは、愛子さまにとられては楽しい時間だったんではないかと思いますね」

 今回、眞子さんが、結婚にあたり、天皇皇后両陛下に挨拶した際には、愛子さまも同席されたとみられています。

(皇室ジャーナリスト 近重幸哉さん)
「眞子さんがニューヨークに行かれるのは、寂しくも感じられるところがあったと思いますね。今後、話し相手として 大切になってくるのは佳子さまではないかと思いますね。前々から仲が良くて話も弾むということですので、愛子さまの方もいろんな場面で佳子さまのアドバイスをお受けになることもあると思いますね」

愛子さま、ティアラは新調せず

成年行事でつけるティアラ

 愛子さまは、12月5日に初の成年行事を迎えられますが、ここにも、愛子さまの配慮がありました。成人となった女性皇族は、ご自身のティアラを作られるのが慣例でしたが、今回、愛子さまはティアラを新調しないことをお決めになられました。その理由を「“コロナ禍”を考慮し、両陛下と相談の上」とされており、代わりに、天皇陛下の妹にあたる、黒田清子(さやこ)さんのティアラを借りて着用されるご予定です。

 ちなみに、直近では、眞子さんが平成23年に新たなティアラをつけましたが、このときは宝飾品などを手掛ける「和光」が受注し、ティアラを含め2856万円の製作費でした。その3年後、佳子さまの成人の際は、こちらも宝飾品などを手掛ける「ミキモト」が、2793万円かけて、ティアラを作成したそうです。

(元・宮内庁職員 山下晋司さん)
「“コロナ禍”で苦しんでいる国民がたくさんいらっしゃる中で、そういう華やかな雰囲気というものは、できるだけ出さないほうがいいだろうというお考えがあるようですから、ティアラについても作るのはとりあえず、今はやめておこうと」

 元・宮内庁職員の山下さんは、「ティアラは女性皇族にとって、公務を行う上で、必要不可欠なもの」としたうえで、「愛子さまは、今後ずっと作らないというわけではないはず。“コロナ”が落ち着いたときに宮内庁や天皇皇后両陛下と話し合われるのでは」。つまり、状況が許せば、ティアラを作られるのではと話しています。

Q.いずれにしても、愛子さまはティアラを作らなければいけないのですか?

(山下晋司さん)
「作らなきゃいけないってことはないです。今の段階で将来的に作るか作らないかというのを決めたわけではないです。今は、作らないということで。今後、お作りになるかどうかというのは、おそらくこのコロナが終息といいましょうか、国民が通常の社会生活に戻れるというようになった時に、どうされるかということを考えるんじゃないかと思うんですが、私は個人的には作ってさしあげないと、あまりにも可哀想だろうと思っています」

Q.まだ一般参賀は決まっていないと思いますが?

(山下晋司さん)
「いや、1月2日の一般参賀はもうやらないと決まったのですけれども、2月23日の天皇誕生日の一般参賀はまだ決まっていないですから、そちらでお出ましになるか、というのはまた新しいコロナウイルスの話も出ていますので、様子を見てということになりますね」

“皇族の数の確保”が喫緊の課題

 さらに、愛子さまが成年皇族となられたいま、議論を進める必要があるのが“皇族の数の確保”。政府の有識者会議は、「皇族の数の確保を図ることが喫緊の課題」だとして議論を行っていますが、現状の皇位継承は“男系男子”のみ…

(元・宮内庁職員 山下晋司さん)
「今のままであれば、将来、悠仁親王殿下、または悠仁親王殿下のご家族だけというふうになるのは、明らかと言っていいんですね。16年前から喫緊の課題だと言われているのですが、いまだに喫緊の課題だと言われていますから。みんなが納得するような落としどころを真剣に探さなければいけないのではないでしょうか」

(情報ライブミヤネ屋 2021年12月1日放送)

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