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【独自解説】混迷のウクライナ情勢 トヨタ自動車もサイバー攻撃に…日本経済にも「値上げの波」で家計直撃! 専門家が伝授する三つの“家計防衛策”とは?
2022年3月2日 UP
先行き不透明なウクライナ情勢。西側諸国はロシアの主要銀行の“SWIFT(国際銀行間通信協会)除外”を決定、ロシアは銀行間の国際的な送金や決済を止められようとしています。これらのことにより、私たちの生活にも大きな影響が懸念されています。これからいったい何が起こるのか、どう対策すればよいのか経済の専門家が徹底生解説します!
トヨタ自動車 取引先のシステム障害で工場停止
トヨタ自動車は、3月1日国内仕入れ先のシステム障害の影響で、国内全14工場28ラインの稼働を停止すると発表しました。1日停止するだけで、およそ1万3000台の生産に影響するといいます。その要因となったのが、小島プレス工業で、不正プログラム、ランサムウエアを使ったサイバー攻撃を受けたと言います。
仕入れ先のトラブルが、なぜトヨタの全工場の稼働停止につながったかというと、小島プレス工業がシステム障害で、どれだけの数の部品を納入できるか管理できない状態になり、部品の調達が難しくなったため、すべての部品がそろうまで全工場の停止を判断したためです。
このサイバー攻撃は、ロシアによるウクライナ侵攻と関係があるのでしょうか?政府は「原因はサイバー攻撃であることは承知しているが、それ以上は調査中であり予断をもっての答えは差し控える」と発表しました。こうしたサイバー攻撃は、全世界的に増えているといいます。
サイバー攻撃をはじめ、これから日本が受ける影響を、経済評論家の加谷珪一さんが解説します。
Q.病院のカルテなどもこういう不正プログラム・ランサムウエアで抜き取られるという話を聞きますが…
(経済評論家 加谷珪一さん)
「今はほとんど情報が、データで管理されていますので、業種を問わず発生する可能性があります。自動車メーカーですと各社、在庫は最小限にするということで、リアルタイムで物の調達や供給をしているため、いったんどこかの工場が止まってしまうと全部に影響を及ぼしてしまいます。これは各社共通の問題ですので対応策を考える必要があります」
ロシアへの経済制裁は日本の経済にも影響が…
QロシアのSWIFT除外でどういう影響があるのでしょうか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「ロシアの銀行をすべて排除すると、理論上 ロシアの貿易の大半を停止に追い込んでしまいます。日本とロシアはそれほど大きな貿易量はないのですが、ヨーロッパは天然ガスを中心に相当な貿易規模がありますので、これが全面的に止まるとヨーロッパ経済は大混乱になります。そうなると、株価やその他に影響が出てきますので、当然日本経済にも打撃があります」
Q.具体的にはどういうことが起こるのでしょうか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「エネルギー分野にSWIFT除外対象が及ぶと、世界的に天然ガスや小麦などの供給量が減ります。そうすると、電気やガソリン、パンなどの価格が上昇します。それによってそれらの製造会社やその取引先の業績不振が起こり、株価の下落を招くということが起こると考えられます」
Q.ロシアのウクライナ侵攻の前から、新型コロナ禍でいろんなものの価格が上がっていましたが、これからはウクライナ侵攻との両方で影響を受けるんでしょうか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「今の物価高は、ウクライナ侵攻の前の情勢が影響したものです。例えばガソリン価格だと3か月くらい遅れて上がることになりますので、これから値上げが本格化します。非常に言いにくいのですが、ガソリン価格は値段が下がる要因がないので、1Lあたり200円代になるなど、ある程度覚悟しておいた方がいいと思います」
Q.3月1日から値段が上がるものを並べてみましたが、毎日我々が食べるものばかりですね。中身の原材料もパッケージの値段も全部上がっているのでしょうか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「原材料価格の高騰は食料品だけでなく、石油化学関係の材料価格も上がっています。食品は価格転嫁がしやすいので最初に上がりますが、それ以外がこれからどんどん値上げされていきます、食品はその前段階と思った方がいいです」
Q.今の情勢が悪化すると今後は何が値上がりしますか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「食品の次は外食産業になります。それから、タクシーやガスなど公共料金が続きます。さらには白物家電や最終的には自動車などの大きなものにまで波及してくると思います」
Q.我々がこの物価上昇の時にできることは何がありますか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「日用品は、毎日使うものですし、買いだめすると余らせてしまったりするので、ここで努力しても大きな効果は期待できません。そこで、値段が上がる前に家電や自動車など大物を買い替えるのが効果的です。そして住宅ローンはインフレが長期化して、金利が上がると予測するのなら、固定金利も一つの選択肢です。節約というよりは損をしない選択を考えるということです」
これからも、物価上昇の可能性が高いので、携帯電話料金の見直しなども“チリも積もれば山となる”と考えて、できることは早めにやっておきましょう。
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月1日放送)


