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“統一教会”と政治家の関係 野党「追及」へ

【独自解説】紀藤弁護士が指摘する政治家の“関係調査”の問題点「接点持った経緯説明を丁寧に」臨時国会には「期待」

 いわゆる“統一教会”と政治家の関係が注目される中、10月3日に召集される「臨時国会」では、野党からの厳しい追及が予想されます。支持率が低迷する岸田政権は、“次の一手”をどうすべきなのでしょうか?そして“統一教会”との過去を清算し、今後一切の関係を立つことで、国民の理解を得られるのでしょうか?消費者被害や宗教・カルトの法律問題に詳しい、紀藤正樹弁護士が解説します。

細田衆院議長「改めて文書で回答」

 9月29日、自民党の細田衆院議長は、教団との関係を文書で公表しました。細田衆院議長は、2018年3月~2019年10月の間に関連団体の会合に4回出席し、うち2回は挨拶を行ったということです。また、2019年6月には、関連団体の出版物に掲載する目的でインタビュー取材を受けたと明かしています。これに対し、9月30日に行われた「衆院・議院運営員会」で、自民党の山口院長と立憲民主党の笠筆頭議長は、「9月29日の文書では十分ではない。さらなる説明を求める」と要請。細田衆院議長は、自民党の質問表に準ずる形で整理し文書で回答する意向を示しています。また番組の取材に対し、「説明を」と求めると、「さらに調査を進めております」とし、「“統一教会”と日常的に関係があったか?」の質問には、「調査中」と答えました。

紀藤正樹弁護士

Q.細田衆議院議長は、2019年の韓鶴子総裁出席のイベントにも出席されていますので、非常に近い関係であるように見えますよね?
(紀藤弁護士)
「そうですね。説明が文書で出されていますが、内容が丁寧でなかったように感じます。岸田首相は、『丁寧な説明を』と全党員に求めているわけですから、当然招待の経緯であるとか、誰との関係で知り合いになったかなど、もっと手前の経緯から説明していただかないと、検証の可能性がないということです。領収書など、なんらかのやり取りのある書類を丁寧に出していただいた方が、これまでの関係の点検だけではなく、これからの防止策を考える上で重要だと思います」

Q.やはり領収書のような書類の添付が大切なのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「やはり第三者が分かりますよね。具体的に領収書が出てくれば、これがどういう団体からお金を出しているかなどが分かるので、メディアだって点検できるし、“統一教会”と政治家の関係の濃淡だって、領収書などがあればより具体的に明らかになりますから、単なる口頭の説明だけではなく、やはり客観的な証拠に勝る証拠はないのではないでしょうか」

立憲・辻元議員はブログで詳細を報告

Q.そういう点で言うと、立憲民主党の辻元議員はブログで領収書まで出してきているというのは、ある意味評価できるのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「そうですね。これを全員が出してくれれば、どういう時期にどういうものが行われたかという、突き合わせができますよね。それから、宛名に『民主党大阪府第10総支部』と書かれていて、領収書発行側に『WFWP大阪第10連合会』とありますが、選挙区と対応するセクションがあるということが“10”という数字で見えてきますよね。私は東京に来て“統一教会”問題を始めてから気が付いたのですが、東京の選挙区と、“統一教会”の地区の数字が一緒だったのです。“統一教会”の地区は選挙区ごとに分かれていて、“統一教会”の組織は選挙対策の関係で連動しているのかなと思いました」

アンケート後も「点検漏れ」続々

Q.自民党のアンケート後も、「点検漏れ」が続々と出ていますが、自己点検だと、今後も新事実が出てくることがあるのではないですか?
(紀藤弁護士)
「だからこそ、最初からこれをお願いしているのですが、超党派で国会の中で調査委員会を作ってもらいたいです。フランスでもアメリカでもやったんです。やはり独立した調査委員会を開かないと、きちんと検証ができないと思います。そういう検証をやって初めて、対策が立てられるのだと思います」

Q.検証はどこまでさかのぼるべきだと思いますか?
(紀藤弁護士)
「“統一教会”が入ってきたころから全部調べないと、政治との関わりは分からないと思いますし、霊感商法の問題だけでも過去40年ありますから、この40年は最低限調べないといけないと思います。どの程度できるかレベルの問題はありますが、アメリカでは過去10年分調べて、1982年に文鮮明氏が起訴されました。そういうことも考えると、ある程度は過去にさかのぼって調べないと、お金がどのように動いたか分からないと思います」

岸田首相「関係を断つよう徹底する」

Q.自民党の基本方針は、「教団との関係を完全に断つ」ということですが、本当に関係を断つことは可能なのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「政治の話の議論はいくつかありますが、まず『カルト規制法』と言われているものは『制』が付いていますので、色んな角度で考えなくてはいけませんが、被害者救済で一番重要な柱は、『霊感商法』と『家族被害』を救済することです。その所管がどこかと言われると、消費者庁であり厚生労働省、文科省の特に教育の部門なんです。この3つは最低限やって頂かないといけない問題で、宗教法人の解散命令は文科省の文化庁というところがやっていますが、ここは苦情相談窓口をもっていないんです。消費者庁や厚生労働省には情報収集をするセクションがあるのですが、文化庁にはそれがないので、どうやって解散命令を行うのかと問われると意外と難しいのです。私は今、具体的に情報収取するセクションと共同で申し立てができるように政府にも働きかけているし、消費者庁にもお願いをしているところなのです」

Q.やはり「被害者救済」が先決だという事ですね?
(紀藤弁護士)
「そうです。野党合意ができましたけど、野党合意の中では『まずは被害者救済の法制を国会でやろう』となっていて、自民党さえ合意していただければ、この臨時国会で成立する可能性が出てきているので、我々はとても期待しています」

(情報ライブミヤネ屋2022年9月30日放送)

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