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日本の医療は崩壊寸前

【危機】医療現場は“崩壊寸前”病院全体の7割が「赤字」…あなたの街から医療が消える?病院が抱える現状を大学病院長が激白

 世界に誇る日本の医療が今、崩壊寸前だといわれています。厚労省によると、病院全体の67.2%が赤字で、物価・物件・人件費の伸びが費用面を押し上げている要因の一つになっています。『千葉大学医学部附属病院』病院長で『国立大学病院長会議』会長・大鳥精司氏が病院の現状を明かします。

■消灯した薄暗い部屋で休憩…国立大学病院の現状

大学病院が運営困難

 今、“最後の砦”である大学病院が、赤字続きで運営困難となる事態が相次いでいます。一例として、ドラマ撮影などでも使用された『千葉大学医学部附属病院』は、2024年度は約25億円の赤字でした。

光熱費だけで年間10億円

 その中でも大きな支出が光熱費で、年間で約10億円かかるため、院長自ら節電を呼びかけるポスターを掲示したり、休憩時間は消灯したりして節約しています。

 空調室では製造から20年以上の機械を一部使用しているため、年々冷房の利きが悪くなっています。

 そして、手術支援ロボット『ダヴィンチ』は内視鏡手術と比べて使えば使うほど赤字になるということです。

大鳥精司氏

Q.ドラマ撮影で使用されるような病院でも、実態は大変なんですね?
(千葉大学医学部附属病院の病院長で国立大学病院長会議の会長・大鳥精司氏)
「ドラマで使われるような病院ではありますが、非常に大きな赤字です。高度な医療をやればやるほど医療費がかかって赤字になるという、負のスパイラルに入っていると思っています」

Q.国立大学病院なら赤字が出ても国が補てんして運営困難にはならないと思っていたのですが、独立採算なのですか?
(大鳥氏)
「実は国立大学も法人化されていますので、完全に独立採算です。もちろん国から運営費交付金は下りていますが、大学病院の予算規模が非常に大きいため、自分たちで稼ぎ出す構図になっています」

Q.節電や空調設備の不備などは、職員にとっても患者にとっても体調面の管理など難しいですよね?
(大鳥氏)
「そうですね、体調管理の問題もありますし、病院の中に所々カビが生えたりするので、衛生面など非常に大きな問題だと思います」

大学病院の役割

 大学病院の役割には、『医学生・医師・医療従事者の育成』『新しい診断・治療法の開発』『治療が難しい病気の研究』『高度医療の提供』『地域医療機関への医師の派遣』などがあります。大鳥氏は、「このままだと大学病院本来の役割が果たせなくなる」と警鐘を鳴らします。

Q.単に「病院で診てもらえない」では終わらないんですね?
(大鳥氏)
「今まで日本の医療はアジアからリスペクトされ、欧米とほとんど遜色のない治療を行ってきました。しかし、今のように“稼げ稼げ”という体制になってしまうと、若手が自分の研究をする時間がほとんど取れず、若手の育成もできず、彼らが研究して創薬することもできなくなってしまいます。今は日本からノーベル医学賞が出ていますが、将来的にこれを継続できるかどうか、一抹の不安がある状況です」

■“命の砦”急性期病院ほど赤字に…

急性期病院ほど赤字に

 大学病院(国立・公立・私立)全体では、2024年度の赤字は508億円でした。国立大学病院だけでも、2023年度60億円だった赤字が2024年度は286億円となり、2025年度は400億円を超える見込みだということです。大鳥氏は、「救急患者の受け入れが多い急性期病院ほど赤字」と話しています。

急性期病院の収支状況

 厚労省の資料による急性期病院の収支状況では、受け入れ件数が多くなればなるほど赤字が増えることがわかります。4000件以上受け入れている病院では約2億9800万円の赤字となっていて、大鳥氏が病院長を務める千葉大学医学部附属病院の2024年の受け入れ件数は8000人超でした。

■診療報酬引き上げで国民の負担はどうなる?

診療報酬の引き上げ=国民の負担増だが…

 『診療報酬』とは保険サービスに対して支払われる報酬で、国が決めた公定価格です。全国一律で、行為ごとに定められた点数を基に1点=10円で計算します。物価が上がっても価格を変えることはできませんが、2年に一度見直しを行っています。

 前回の改定(2024年度)では、本体部分(人件費など)は0.88%上がりましたが、薬価(薬や医療機器など)が1%下がったため、全体で見ると0.12%の引き下げでした。

診療報酬1点=10円

 次回の改定(2026年度)の主な基本方針としては、『物価・賃金・人手不足など医療機関等の環境の変化への対応』『2040年ごろを見据えた医療機関の機能分化・連携』『安心・安全で質の高い医療の推進』『社会保障制度の安定性・持続性の確保』を掲げています。

Q.1点=10円を上げてほしいということですか?
(大鳥氏)
「そういうわけではなく、1点=10円はそのままで良いです。ただ、例えば、先ほどやればやるだけ赤字になると言った手術支援ロボット『ダヴィンチ』がありますが、そういったいろいろな診療の行為への点数を上げてほしいということです」

国民負担はどのぐらい増えるのか

 一方、診療報酬が上がると病院の収入は増えますが、患者の医療費・保険料が増えます。2025年12月2日、財務省・財政制度等審議会が発表したデータによると、診療報酬を1%引き上げた場合、約5000億円の医療費が増える計算です(公費=約1800億円・保険料=約2500億円・患者負担等=約700億円)。

(大鳥氏)
「誰でもアクセスが容易なので『外来に行って話して帰ってくる』という話もありますし、そういう文化は日本の良くないところだと思います。ただ、例えば高度医療で治療を受けて、安定していても外来には通っている方々もいるので、集約化や機能分担が必要だと思います。また現在、病床数も非常に多いので、これを少しずつ減らすと、国民になるべく負担をかけず、医療費がうまく回る社会ができると私は思っています」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年12月11日放送)

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