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首都キエフに迫るロシア軍

【独自解説】ウクライナ侵攻から2週間 ロシア軍が15kmに迫る首都キエフ ラブロフ外相が発言「我々はウクライナを攻撃していない」の意図は? 専門家が解説します

ウクライナ侵攻2週間 首都キエフに迫るロシア軍

 3月10日、アメリカ国防総省高官はロシア軍がウクライナの首都キエフ中心部まで北西15キロの地点に迫っていて今後1、2週間でキエフを包囲することが可能との見通しを明らかにしました。こうした中、アメリカ議会の公聴会で証言した、ヘインズ国家情報長官は。原発の占拠や病院への攻撃を行うロシア軍について市民の安全を無視した無謀な行動を取っていると指摘、核物質を悪用するおそれがあるとの見方を示しました。

ロシア・ウクライナ両国の要求

 また、10日に行われた侵攻後初の外相会談で、ロシアはウクライナに「軍事行動の停止」・「憲法に中立化を明記」・「クリミア半島のロシアの主権の承認」・「東部ドネツクとクルガンスクを主権国家としてこれを認めること」などを改めて主張しています。

このウクライナ情勢を、ウクライナ出身の国際政治学者で日本でウクライナ情勢について講演、執筆活動を行っているグレンコ・アンドリーさんが解説します。

ウクライナ出身の国政政治学者グレンコ・アンドリーさん

Q.これらの要求をウクライナは飲めないですよね
(国政政治学者 グレンコ・アンドリーさん)
「ゼレンスキー大統領は、NATO(北大西洋条約機構)非加盟の話はできる。しかし国家主権にかかわることは問題外だとしています。ですので、ロシア側がこれらの国家主権にかかわる要求を引かないと停戦するのは難しいと思います」

ハリコフの核関連施設も攻撃

Q.ロシア側は、ウクライナが核兵器を作っているという理由で核施設を攻撃しているようですが、実際ウクライナが核兵器をつくっているのですか?
(グレンコ・アンドリーさん)
「ロシアはやり方は、相手が何か“国際的に禁止されていること”をしているんだという情報を流したうえで、自作自演をして、『ほら、やっぱりやっていたでしょう』というんです。だから今、 “汚い爆弾”という通常の爆弾に核物質を詰めて爆発させて、汚染させるようなものが使用されたと言って、実際にはロシアが使用したのを『ウクライナがやったと』情報を流すようなこともやりかねないと思っています。“汚い爆弾”は非常に危険ですから注意しなければいけません」

 日本時間の3月10日午後5時半からトルコ南部のアンタルヤで、ウクライナ進攻後初のロシアとウクライナの外相会談が1時間半にわたって行われました。会談後の記者会見でロシアのラブロフ外相は、「われわれはウクライナを攻撃していない、ロシアが戦争を望んだことはないし今も望んでいない」などと語りました。

トルコで侵攻後初のロシアとウクライナの外相会談

Q.ロシアのラブロフ外相が「我々はウクライナを攻撃していない…」などと言った現実とは違う発言の意図はなんだと思いますか?
(グレンコ・アンドリーさん)
「ロシアの外交官というのは、その育成過程で自分が明らかな”うそ”を言っていると分かる内容でも堂々と語る話術を教わるんです。だから本人はなんとも思っていません。本人も誰かを騙そうというわけではなく、ロシアの主張との整合性を取るためだけに言っています。誰も信じないのは分かっています」

西側自由主義諸国は軍事介入しないのなら連帯を強めろ!

Q.西側自由主義諸国はどうすればいいのでしょう?
(グレンコ・アンドリーさん)
「西側は、軍事介入はしないというのなら、軍事介入以外のことを徹底的にするべきです。アメリカはロシアのエネルギー資源を買わないと言っているので、ヨーロッパや日本も同じように買わない、貿易もしない、徹底的にロシアを経済的に締め上げるしかないでしょう。そしてロシアが財政破綻を起こして、ウクライナとの戦争を継続する資金がなくなったときに、和平の道筋が見えてくると思います」

会談後の会見でのロシアラブロフ外相の発言

 グレンコ・アンドリーさんは、「ウクライナの敗北は自由の敗北だ。そして平和を守るのは強固な国際連帯しかない」と主張しています。

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月11放送)

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