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【独自分析】「デビュー戦としては出来すぎ」高市首相の“初外交”は成功?旧知の仲・石原伸晃氏が今後の政権運営を徹底解説
2025年11月11日 UP
高市早苗首相が就任直後に行った首脳会談の外交手腕が評価されています。しかし、今後の政権運営には意外な落とし穴も⁉高市首相とは旧知の仲である元自民党幹事長・石原伸晃氏が、高市政権の外交デビューと、これからについて徹底分析します。
■日米首脳会談から見る高市流の“外交マナー”
2025年10月28日、日米首脳会談が行われました。トランプ大統領と話し合った内容は、防衛費の増額・日本の防衛力の抜本的な強化・関税交渉の合意・アメリカへの投資の着実な実施・レアアースなど重要鉱物の供給協力などです。
高市首相の外交マナーについて、早稲田大学・中林美恵子教授によると、「良かったところは、目立った失言がなく、“安倍レガシー”をフル活用していたこと。悪かった所は、強いて言うなら、エスコートされている感じがあった。国のトップらしいどっしり感があれば、より良かった」ということです。
Q.この日米首脳会談は、どう見られましたか?
(元自民党幹事長・石原伸晃氏)
「3つ良いことがあったと思います。1つ目は、ニューゴールデンエイジ、『日米同盟はこれから新しい黄金時代を迎える』と高市首相が言って、それにトランプ大統領が『そうだ』と答えました。2つ目は、レアアースなどの重要鉱物についても、経済的な同じ問題を考えていて、サプライチェーンをしっかり作っていこうと合意しました。3つ目は、“防衛”と“経済協力”を同時に走らせたのが良かったと思います。私はデビュー戦としては、出来すぎだと思います」
石破前首相との対応の違いについて、中林教授は「石破前首相が、エンターテイメント性がなく接し方が堅かったのに対し、高市首相は、パフォーマンスは上手いが“軽さ”を感じた。初顔合わせということもあり、距離の近さでトランプ大統領に好印象を与えられたと思う。さらに、安倍元首相の存在も特に大きかった」と分析しています。
実は、アメリカでは新政権発足から100日間は『ハネムーン期間』と呼ばれていて、国民やメディアが比較的寛容に見守る期間があります。中林教授によると「現時点で批判的な声はないが、就任から100日目以降も今の軽さが受け入れられるかは、今後次第」ということです。今後の注目ポイントは、国益を追求して、アメリカの要求に対しノーを出せるか、“安倍レガシー”に頼らず、力を示せるかどうかだといいます。
■日韓首脳会談では『異例の黙礼』も…「未来志向が再接続された」
10月30日には、日韓首脳会談が行われました。11月1日のAPEC閉幕後、李在明(イ・ジェミョン)大統領は、「会う前は懸念がなかったわけではないが、直接会って対話してみると、同じ考えを持つ立派な政治家だと感じた。とても良い印象、懸念がすべて消えた」と話しました。
日韓首脳会談では高市首相は韓国国旗に一礼し、日本国旗に一礼しました。この行動に『聯合ニュース』は、「敬意を表した」、『ハンギョレ新聞』も「異例の黙礼」と報道しました。
Q.高市首相が「韓国コスメも使うし、韓国海苔も好き、韓国ドラマも見ます」と発言したことが、韓国国民に直接響いたといわれていますね?
(石原氏)
「日本で韓国ドラマやK-POPを好きな人も多いですし、文化面は良いわけです。ただ、韓国はいつも自分の国がおかしくなってくると、すぐ日本を仮想敵にします。このイ・ジェミョン大統領も最初はそうするのではないかと思いましたが、まず石破さんと『一緒にこれから未来志向で、実務外交でいきましょう』となった。そこから高市さんにも未来志向というのが再接続されたのではないかと私は見ています。正直良かったなって、ホッとしました」
■日中首脳会談では懸念事項を直接伝えるも…台湾との会談は「ちょっと早かった」?
10月31日には、日中首脳会談が行われました。レアアースの輸出規制、尖閣諸島を含む東シナ海での海洋進出、中国での邦人拘束など、高市首相から懸念を伝えました。
このときの習近平国家主席の表情ですが、高市首相、習国家主席ともに、やや硬い表情でした。2014年の安倍元首相の際は仏頂面で、2024年の石破前首相の際は笑顔を見せていました。2013年に国家主席に就任して以降は、日本の首相が就任した際は、当日に祝電を送っていましたが、高市首相が就任した際は、習国家主席からは祝電がありませんでした。
Q.高市首相は習国家主席に対し、日中での懸念事項に加え、台湾問題、ウイグルの人権問題などにも言及したということで、これに中国側は驚いたと思いますが…。
(石原氏)
「高市首相もたぶん、恐る恐る言ったと思います。それを言って、態度が硬化する可能性もありますし、台湾問題については国内の問題で、中国共産党の党是の中では、『台湾と一緒になる』ということを、1948年から言っているわけです。でも、それも言ったということは非常に大きなことで、言わなかったら、次はもう言えないわけです。『アンタ、あのとき言わなかったじゃないか』ということになりますから、そこはすごく立派だったと思います」
11月1日には、台湾の代表と会談をしました。高市首相は「日台の実務協力が深まることを期待します」と発言しました。しかしその前日、日中首脳会談の際には、中国側から台湾に関する言及があり、高市首相は「地域の安定のために両岸関係が良好であることが非常に重要」と話していました。
日本と台湾の会談に対し、中国の外務省から日本側に抗議が送られています。「一つの中国の原則」に反し、台湾独立勢力に重大な誤ったシグナルを送るものだとして、中国側の関係者は、「高市首相はやはり信用できない。日中首脳会談での中国側の雰囲気も良くなかった」と話しています。
(石原氏)
「私はちょっと早かったのではないかと思います。もちろん元々親台派で、縁がある方です。だからそういう形を取ったのだと思いますが、前日に、習近平国家主席と会っていて、向こうから、対話の扉は閉ざさないという形を取ったわけですから、もうちょっと間を置いて会う必要があったのかなとは思います」
■高い支持率も党内からは不安の声 様々な課題も…
高市内閣発足時の支持率は71%で、現役閣僚からは「高すぎると落ちるだけになりかねない」との声が上がっています。さらに懸念されているのが、強硬保守の政治スタンス・これまでの安保政策のブレーキ役であった公明党の連立離脱で、自民党内からは、「高市首相を止められる人間がいるのか不安」という声も上がっています。
Q.総理大臣になり、高市首相は以前よりとても話し方が柔らかくなったと感じますが、これが野党との答弁になったとき、強い言葉が出ないように自分でブレーキをかけられるものでしょうか?
(石原氏)
「これは性格によると思いますが、代表質問というのは、事前に質問がほぼ決まっていて、答えも『大体こういう答えを返します』という打ち合わせがあるんです。しかし、予算委員会での一問一答は距離が近いですから、強い言葉が出る可能性はあります。でも今回の外交を見ていると、中国・アメリカ・韓国に対しても、持論は少し横に置いて、国益第一という姿勢が見えているので、代表質問と予算委員会を見て、どんなふうであるかを、分析してみたいと思っています」
物価高対策については、まだ決まっていないことも多く、『給付付き税額控除』は“早期の制度設計”、『年収の壁見直し』は“真摯に議論”、『社会保障改革』も“超党派の国民会議を設け、議論を進める”ということで、いつまでに結論を出すかは“曖昧”となっています。
Q.『議員定数削減』について、どう思いますか?
(石原氏)
「これはやらないと、内閣が瓦解すると思います。今の『小選挙区比例代表並立制』は、私も導入されたときから大反対していて、『中選挙区制』のように広く民意を吸収できる“死に票”のないシステムがいいです。どこかの党に頼らないと当選できないみたいなものは、やめたほうがいいと思います。その中で、定数是正という議論の芽は出てきているので、野党も入れて議論してもらいたいと思います」
Q.臨時国会が始まると、恐らく政治とカネの問題に関わった議員の人たちを、なぜ要職に就けたのかという話も出てきますよね?
(石原氏)
「そこは一つの焦点ですし、結局、政治資金規正法の不記載の問題は、なぜ多くの人間がそういう行動を取ったのか、誰も答えを出していないわけです。定数を是正するというのも政治改革かもしれませんが、政治とお金の話もしっかりと説明していく責任が、与党にはあると思います」
Q.71%の支持率で、特に若い人たちが政治に興味を持ち、日本が変わろうとしている良いきっかけにはなっていますよね?
(石原氏)
「帝国議会が出来て140年が経って、女性の首相が誕生したことに私も興奮したし、高揚感に包まれました。そういうものが多くの若い人たちに伝わっていると思います。その次は、この抜群の行動力をもって、結果を出していかなきゃいけないので、これからの予算委員会は、私も注視をして聞いていこうと思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年11月3日放送)


