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【深刻】“値上げの春”襲来…お金をかけずに楽しめる『ひとり花見』が急増中 さらにインフラ老朽化で専門家が懸念する“逆に恐ろしい自治体”「水道代の激しい値上がり覚悟して」
2025年4月8日 UP
物価高騰が続く中、さらなる“値上げラッシュ”となる2025年4月。その影響は、春の風物詩『お花見』にも…。家計負担が年9万円増という試算もある中、賃上げで暮らしはどれだけ楽になるのか?値上げの波は今後どうなる?経済評論家・加谷珪一氏の解説です。
■物価高の影響はお花見にも…値上げラッシュの春、襲来
『帝国データバンク』によると、食品・飲料の2025年4月の値上げは、調味料2034品目・酒類や飲料1222品目・加工食品659品目の4225品目にのぼります。4000品目を超えるのは1年半ぶりで、年間の値上げはこの4月に前年実績を上回る見通しです。
Q.2024年も値上げラッシュでしたが、2025年は4か月で前年実績を上回るんですか?
(経済評論家・加谷珪一氏)
「品目数から見ると、そうなります。新年度のスタートなので、『今年度の売り上げを確定したい』という企業の意向から、どうしても4月は値上げ品目が増える傾向にあり、こうなってしまうのはやむを得ないと感じます。ただ、どのぐらい為替が推移するかによって、今後の状況は変わってくると思います」
また、物価高の影響は春の風物詩『お花見』にも。調査会社『インテージ』調べによると、値上げなどの影響で、お花見の予算は2023年6935円・2024年6872円・2025年7407円と年々上がっています。
そんな中、2025年に急増したのが“ひとり花見”です。前年比2.2倍となり、物価高の中お金をかけずに楽しめるレジャーとして評価されたとみられています。
■埼玉・本庄市では水道代40%値上げ 専門家が懸念する“逆に恐ろしい自治体”とは―
また、水道光熱費やガソリンなど、暮らしの至るところに値上げの波が。水道代は各地で値上げが相次いでいますが、埼玉・本庄市では約40%上がるということです。
Q.水道始めインフラが全て老朽化しているので、今後も上がってきますよね?
(加谷氏)
「間違いなく上がります。むしろ本庄市はきちんとやっているほうの自治体で、だからこそ今、値上げを決断できます。逆に恐ろしいのは、まだ値上げという話にはなっていないものの、にっちもさっちも行かなくなっている自治体が結構あるので、これからは“水道代の激しい値上がり”を覚悟しておいたほうが良いのではないでしょうか」
Q.ただ、自治体にも限界があると感じるのですが、いかがでしょうか?
(加谷氏)
「おっしゃる通りだと思います。どのぐらい広域連携するか、それぞれ自治体の事情もありますが、ある程度政府が主導権を取って広域で連携していく道を模索しないと、限界が来ると思います。人口が減ってくると、ますます各地自体が単独で管理するのは難しくなるのではないでしょうか」
■「格差が拡大している事実は否定できない」各社“賃上げ”も家計負担は年9万円増の試算
『みずほリサーチ&テクノロジーズ(2025年3月19日発表)』によると、新年度の家計負担の増額は約8万7000円となる試算です(2人以上世帯/世帯人数の平均2.9人)。内訳は、食料(外食含む)約4万2000円/年・エネルギー約1万9000円/年・その他約2万7000円/年です。加谷氏は、「電気・ガスなどのエネルギーの高騰、人件費の価格転嫁が進み、生産・製造・輸送など全てのコストが高騰した」との見解を示しています。
一方、2025年の春闘・第2回集計(2025年3月21日公表)によると、平均賃上げ率は5.4%アップの1万7486円(前年比0.15pt増)、300人未満の中小組合でも4.92%アップの1万3288円(前年比0.42pt増)となっています。ただ、物価上昇の影響を除いた賃金の増加率を表す『実質賃金上昇率』は-0.3%(2024年)で、厚労省によると3年連続マイナスだということです。
Q.2人以上世帯で年に約9万円負担増となると、春闘で報じられた「満額回答」などは一気に吹っ飛んでしまいますよね?
(加谷氏)
「大手で5%という数字が出ていますが、ベースアップ分がかなり含まれているのであれば、何とか物価に追いつく水準です。一方、十分に賃上げできていない中小企業はまだたくさんありますから、“賃金が追いついた感覚が持てる人”と“そうではない人”の格差が拡大している状況は、否定できない事実ではないでしょうか」
Q.来年からも同じだけの賃上げは期待できますか?
(加谷氏)
「厳しいと思います。一部の大手企業は稼いでいるので原資を捻出できますが、特に問題なのが下請けなどの仕事をしている中小企業です。ここは、大企業の元請け企業がコスト分を価格に転嫁するのを認めないと、そもそも賃上げの原資を捻出できない状況があります。一社単位ではなく社会全体として、かかったコストは売値に反映させていかないと、賃上げは波及していかないと思います」
■まずはムダ削減から 節約アドバイザーが3つのポイント伝授
この物価高をどう乗り切ればいいのか、節約アドバイザー・丸山晴美氏に『ムダを減らす買い物術』を聞きました。丸山氏によると、買い物リスト・予算設定は必須。さらに、『①特売品は午前中に売り切れるため、買い物は午前中に(お総菜系は閉店間際)』『②買い物を“レジャー”にすると無駄が増えるため、最少人数で』『③判断力が大きく鈍るため、空腹時以外』の3箇条がポイントだということです。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年3月31日放送)


