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【北京五輪】坂本花織選手3位!樋口新葉選手5位!女子フィギュアSP、メダルの期待高まるフリーに向けての“チェックポイント”を村上佳菜子さんが解説
2022年2月17日 UP
2月15日に行われた、北京オリンピック・フィギュアスケート女子ショートプログラム。ドーピング騒動の渦中にあるROC(ロシア・オリンピック委員会)カミラ・ワリエワ選手(15歳)が、82.16点という高得点をたたき出し、首位発進となりました。日本勢は、坂本花織(さかもと・かおり)選手(21歳) が自己ベストの得点で3位、トリプルアクセルを決めた樋口新葉(ひぐち・わかば)選手(21歳)が5位と、2月17日のフリープログラムに期待をふくらませる結果となりました。
注目の女子フィギュアスケートについて、プロフィギュアスケーターの村上佳菜子(むらかみ・かなこ)さんが解説します。
Q.坂本選手は79.84点で自己ベストを更新して3位につけましたが、オリンピックで自己ベストを更新するのは相当すごいですよね!
(村上佳菜子さん)
「そうですね。本当にすべての要素で質が良かったので、出来栄え点でかなり加点をもらっていると思います。」
Q.坂本選手はこれまでもったいないと思う演技もありましたが、今シーズンの演技に限ってみると失敗しなさそうに見えますね。
(村上佳菜子さん)
「そうですね。やはり坂本選手の魅力であるスピード感のコントロールが、今シーズンは落ち着いたように思います。スピードをしっかりいかしてジャンプに持っていくことができますので、ジャンプも失敗が少なくなってきている印象があります。」
Q. 坂本選手は、体幹を鍛えるために陸上トレーニングをされているそうですが、やはりその影響もあるんですかね?
(村上佳菜子さん)
「そうですね。スピードがあればあるほど高さや幅はでますが、その分、回転に体が振られてしまったりするので、それを抑える体幹をしっかり持っていないと軸がぶれていってしまいますよね。」
Q.坂本選手はコンビネーションジャンプでもスピードが落ちないんですね?
(村上佳菜子さん)
「そうですね。ジャンプを跳んだら加速しているんじゃないかというぐらい、着氷後のスケートがグンと伸びていくので、やはりそこも加点に繋がっていると思います。」
Q. ショートプログラムの後に坂本選手が涙を見せたのには驚きましたね。
(村上佳菜子さん)
「悔しくて涙が…というのは見たこともあったんですけれど、こういう素晴らしい演技を見せた後の坂本選手からは笑顔が出る印象があったので。この涙は、きっといろんなことを抱えてオリンピックに向かって頑張ってきたんだろうなっていうのをすごく感じる、こみ上げてくるような涙だったんじゃないかと思います。」
Q.ショート5位の樋口選手は、日本人では浅田真央さん以来、オリンピックでは5人目となるトリプルアクセルを成功させましたね!
(村上佳菜子さん)
「そうですね、本当に落ち着いていました。団体戦の経験をしっかり、この個人戦にいかしていたなという印象がありましたね。団体戦の時は、緊張でちょっと固いかなというというところもあったんですけれども、今回の個人戦では、その緊張を上手くコントロールして、楽しみながら滑っているなという印象でした。」
Q.樋口選手は73.51点でしたが、もう少し高い点数が付くと思ったのですが。
(村上佳菜子さん)
「コンビネーションジャンプは回転不足が1つ、アンダーローテーションというのがついてしまっていたりとか、スピンの取りこぼしだったり、3回転フリップは踏み切る方のエッジが内側でなきゃいけないんですけど、それが少し外側に踏み切ってしまって減点されてしまっています。そういった細かいミスが、点数が伸びなかった理由だったのかなと思いますね。」
Q.樋口選手は平昌五輪を逃してこの北京五輪にやってきているので、フリープログラムは思いっきり演技をしてもらいたいですね。
(村上佳菜子さん)
「そうですね。本人の口からも『調子はすごく調整できている』というふうに言っていましたので、フリーでは素晴らしいトリプルアクセルと、素晴らしいライオンキングを見せて欲しいなと思います。」
異例の裁定 どうなる“ドーピング問題”
演技と共に気になるのが、ROCカミラ・ワリエワ選手の“ドーピング問題”です。ロイター通信によるとワリエワ選手側から「祖父と同じグラスを使った可能性がある」という新証言が出ている中、アメリカのニューヨーク・タイムズが「ワリエワ選手の検体からは禁止薬物を含め、3種類の薬物が検出されていた」と報じるなど、疑惑の闇は広がっています。CAS(スポーツ仲裁裁判所)が「暫定的に資格停止をしない」という裁定を出し、試合には出場していますが、問題に決着がついたわけではありません。
Q.村上さんも選手の時は気を使っていらしたんですよね?
(村上佳菜子さん)
「そうですね。普段から、薬やサプリメント、市販の栄養ドリンクなども専門の人に聞いてから飲むようにしていました。スケートの場合は、ジュニアの頃から海外の試合もありますので、その頃からドーピングの検査を受けているはずなので、意識はあるはずなんです。アスリートとして考えると、間違えて口にしたというのは、ちょっと信じられないのかなと思います。」
注目のフリープログラムを“佳菜子チェック”!
2月17日に行われる、フィギュアスケート女子フリープログラム、メダル獲得へ向けたチェックポイントを村上さんに聞きました。
(村上佳菜子さん)
「まず樋口選手は、“トリプルアクセルの成功!小さなミスの修正!”がポイントです。これがしっかりできれば、出来栄え点も加点をもらえるような選手ですので、ここが重要になってくると思います。」
(村上佳菜子さん)
「坂本選手は、“出来栄え点(GOE)で加点!”がポイントです。フリープログラムでも、今回はトリプルアクセルや4回転を入れてこないと思いますので、その分、質のいいものをやることで出来栄え点の加点をもらうことが、メダルに近づく大切なポイントかなと思います。」
Q.ロシア勢vs.日本勢との様相になってきましたが、坂本選手・樋口選手には十分メダルのチャンスがありますよね?
(村上佳菜子さん)
「そうですね。坂本選手は練習からほとんどミスがないので、練習の努力がこの緊張した中でも安定感のある演技に繋がっていると思います。樋口選手は、ショートはすごく大らかなイメージがあったと思いますけど、フリーはライオンキングの音楽を使いますから、ガラッとイメージも変わりますので、そこも楽しみにして頂ければ嬉しいです。」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年2月17日放送)


