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新型コロナウイルス専門家9人へ緊急取材!

【独自取材】新型コロナウイルスの気になる疑問を徹底分析 日本はなぜ感染者数減? 第6波は来る? コロナ前の日常が戻るのはいつ? 専門家9人へ緊急取材!

新型コロナウイルス 気になる疑問を徹底分析

今、ヨーロッパで、“新型コロナウイルス”が再拡大し、WHO が警鐘を鳴らす危機的状況に陥っています。一方で、日本はというと、感染者が急激に減少。今なお、低い水準を保っています。それにしても、一体なぜ、感染者がここまで減ったのでしょうか。そして、今後、第6波は来るのでしょうか。さらに、コロナ前の日常に戻れるのでしょうか。今回、ミヤネ屋は専門家9人を緊急取材。さらに日本ワクチン学会理事で小児科医の長崎大学大学院森内浩幸教授が分析しました。

日本の感染者数が大幅に減ったのはなぜ? 9人の専門家は…

Q ヨーロッパでは新型コロナウイルスの感染が再拡大しているのに比べ、いったいなぜ日本の感染者数は大幅に減ったのでしょうか?

9人の専門家の考え
■東邦大学(感染制御学) 小林寅テツ教授(※テツは吉が2つ並ぶ哲の異体字)
・ワクチンによる免疫取得
・飲食店の時短やマスク着用率の高さも影響

■関西福祉大学 勝田吉彰教授
・ピンポイント(リスクが高い場所)で人流が減少
・ワクチン接種率の向上
・換気による感染のリスク減

■東北大学 小坂健教授
・重症化リスクが高い人の外出自粛
・ワクチン接種によりクラスター(集団感染)の伝播が起きず
・感染リスクが高い人のワクチン接種orすでに感染
・ウイルスの変異(はっきりとした証拠なし)

■国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授
・ワクチン接種が進み、多くの方の行動が慎重になったことは重要だったと思うがそれだけでここまで減少できるか疑問

■昭和大学 二木芳人客員教授
・第一にワクチン折衝が想定以上に大幅に進んだこと
・次に人々の基本的感染対策の継続やリスク回避行動の結果

■神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明医師
・ワクチン接種率の向上
・救急困難搬送案件の増加や病床ひっ迫などが報じられることによる人々の行動の変化

■長崎大学大学院 森内浩幸教授
・屋外(ビーチ・公園など)に出かけた人が多かったことや屋内の換気条件向上
・個人レベルの感染予防が改善
・ワクチンが高齢者の感染者激減に寄与

■インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁医師
・複合的な理由かと思うがウイルス側の何らかの要因で感染力が減弱して収まった可能性も

■元厚労省医系技官 木村もりよ医師
・よくわからない 季節性?集団免疫?日本特有の理由?
・今、日本で何が起こっているか厳密な検討・考察が必要

日本の感染者数が減った理由

長崎大学大学院 森内浩幸教授

Q 9人の専門家の先生方、皆さん共通しているのはワクチンの接種率や、すでに感染している可能性など。日本のワクチン接種率は1回目の接種が78.1%、2回目の接種が74.0%と欧米に比べて高いです。この日本の接種率の高さが、感染者数の急激な減少の要因の一つであることは間違いないでしょうか?

(森内教授)
「間違いないと思います。さらに言うと、(日本は欧米に比べワクチン接種に)出遅れて一気に接種率が上がった分、接種している人っていうのは、接種してからあまり時間がたっていない。だから抗体が高いレベルで維持していると考えられます。日本は2か月くらいの遅れだったんですけど、抗体っていうのは2か月で4分の1くらいまで下がってしまうことがあります。この4倍の差というのはかなり大きいので、今は皆さんブレイクスルー感染があまり起きていない、逆に言うとこれから2か月経つと、今のヨーロッパとほぼ近い状況になる恐れはあると思います」

Q 韓国もワクチン接種はずいぶん遅れましたよね?

(森内教授)
「韓国も遅れたし、現時点では、日本よりもさらに高い接種率ではありますが、韓国の感染者数は増加しています。ウィズコロナでいこうと規制が緩まってきたことや、日本よりも一足早く冬が訪れ、寒くなってきていることがウイルスにとっては有利な条件になります。さらに屋内で過ごして換気も悪くなることにもつながりますので、そういったことの積み重ねだと思います。ただ、韓国は増えているといっても、欧米に比べると少ないわけですから、よくコントロールされているほうではないかと思われます」

各国の流行株はすべてデルタ株

Q また、倉持先生は複合的な理由とおっしゃっています。ワクチン接種や、人の行動様式が変わったというのに加え、ウイルス側の感染力が減弱して収まった可能性もあるのでしょうか?ヨーロッパは再拡大している、韓国も増えている、日本だけ減っている。これは日本だけウイルスの型が変わったのでしょうか?調べてみると、各国の流行株のすべてはデルタ株となっています。デルタ株も細かく見るといろいろ違うんでしょうか?

(森内教授)
「ウイルスはどんどん枝分かれをして、ちょっとずつ違うものになります。一番太い幹のところが同じだということではありますけれども。今、言われていることのひとつは、デルタ株と言われているスパイクタンパク質のところを見て、いくつかの種類の型があるんですけど、ウイルスの遺伝子は、他にもいろんなものがありますので、他のところで起こった変異によって、このウイルスの性質が変わったということを考える方もおられます」

Q つまりデルタ株はデルタ株でも、ここだけではなくて、いろんなところを見ていって、ひょっとしたらどこかが、日本だけ、どんどん自壊していくようなものに変わっていった可能性があるかもしれないと言う専門家がいるということでしょうか?

(森内教授)
「そうですね、本来ウイルスにとって変異は不都合なことが多く、それに歯止めをかけるようなものを、もともとウイルスが持っているんですが、その遺伝子にトラブルが生じたために、ウイルスが自分にとって不都合な変異をどんどん起こして自滅に走ったという説もあります。ただ、そうであれば、感染の力をちゃんと持っているものが、いつのまにか置き換わって広がっていくはずですので、必ずしもそれで説明ができるとは限らないです。そしてほとんどの場合はウイルスにとって変異は不都合ですが、自分自身が生きのびるために、いろんな変異が生じた中に、たまたまその環境の中では、今いるものよりも、もっと有利なものが出る可能性があるということです」

(森内教授)
「仮に日本でウイルスが自滅していっても、海外ではそうではない事情ですから、必ず外から元気に増えていくようなウイルスが入ってくるわけですので、決して今の状況で、日本だけは大丈夫だと思うのは、油断しすぎかなという気がします。そして厄介な変異株が入ってきたらすべてご破算なんですね。今までもアルファがきた、デルタがきた、ということでそれまでの目論見が全部変わってしまった。ですので感染者数が少ないうちに、水際対策とか、妙な変異株が生まれたり入ってきたりしていないかを見ないと。例えばミュー株みたいな、今のワクチンでは全然効きそうにないようなものがあります。今の時点ではデルタ株のほうが感染拡大の力が強いので、おそらくミュー株が入っても増えないですけれども、みんながワクチンをしっかり打つと、デルタ株が増えにくいかわりに、ミュー株はワクチンをくぐり抜けていくので、それに置き換わってしまいます。そうすると新しいワクチンを一から打ち直さないといけない、そういうこともありえますので、安易にこの辺りは緩めないで、きちんと検出して備えていく必要があると思います」

第6波は来る? 9人の専門家は…

世界と日本の新規感染者数

Q ヨーロッパなどではコロナが再拡大していますが、日本でも第6波は来るのでしょうか?

9人の専門家の考え
■東邦大学(感染制御学) 小林寅テツ教授(※テツは吉が2つ並ぶ哲の異体字)
来るとしたら年末年始頃、もしくはワクチンの効果が下がる来春頃
新規感染者は全国で多くても1000人~2000人程度か

■関西福祉大学 勝田吉彰教授
来る 世界はすでに増加
冬になったら今の欧州の状況に追いついている

■東北大学 小坂健教授
人の移動や接触の増える12~1月には来る可能性が高い
ただしワクチンの効果があるので波は低い可能性
PCR検査の体制にもよる

■国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授
この冬に来るだろうが
感染者が第5波程度になっても重症者・死者はかなり抑えられる

■昭和大学 二木芳人客員教授
時期は12月中旬以降か新規変異株の出現があれば状況は変化
ただし重症化や死者は多くならない可能性が高い

■神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明医師
わからない しかし到来しないという理由が見いだせない

■長崎大学大学院 森内浩幸教授
1月頃にやってくる可能性が高い
流行の規模は2~4波程度で重症者の割合も減少か

■インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁医師
来るかどうかを論じるのは地震などと同じ
大きな波が来ても患者に迷惑をかけない医療提供体制を準備している

■元厚労省医系技官 木村もりよ医師
わからない 新しい風邪のウイルスなので 冬は感染力が増すと考えられる
極端に感染者が増えない限り 医療ひっ迫の可能性は低いのでは?

第6波の最悪を考えて…

Q なぜ皆さん第6波は来ると考えているのでしょうか?

(森内教授)
「一つにはまず、感受性のある人、つまりウイルスに感染しうる人たちがまだ相当人口の中に残っているからということにはなります。そういう人たちがいる限り、流行は起こる、次の波は来ます。ただ、その感受性のある人たち、感染しやすい人たちの数が減っていれば、その流行の規模は小さくてすむし、ワクチン接種が進めば、その人たちが重症化する確率は低くなります。ですので、わたしは、特に年末年始で人の動きが多くなったりする、そして今からちょうど2か月くらいたって、すでにワクチンを打っている人の免疫がだいぶ薄れてくるくらいのタイミングで、第6波が来る可能性が高いと思います。けれども、第2波とか第4波くらいのそのくらいの規模ですむし、その時の死亡者よりは少なくてすむだろうと期待はしています。ただ、そうなるという保証はないので、地震とか台風の予報と同じで、最悪を考えて準備をしていく必要はあると思います。また、後付けで説明できることはありますが、わからないことはわからないし、予想を立てることによって人の行動っていうのは変わっていきますので、予想の逆に動くことも十分にあると思います。だから、第6波が来るっていう予想を立てて、外れたらバンザイでいいと思っています」

アメリカ 子どもへのワクチン接種開始

Q アメリカでは今月から子どもへのワクチン接種が開始されましたが、お子さんたちのワクチン接種について、小児科専門の森内先生はどうお考えですか?

(森内教授)
「アメリカでは5歳~11歳のワクチン接種に関して、デメリットよりもメリットのほうが大きいということで、そういう判断を下したわけです。新型コロナウイルスの感染によって5歳~11歳の子どもがもうすでに150人を超えて亡くなっている。かかった子どもの12000~13000人に1人が亡くなるという確率です。これはインフルエンザよりも高い死亡率。けれども日本では15歳未満の10数万人がすでに新型コロナウイルスに感染していますが、誰も亡くなっていない。一方インフルエンザでは毎年何十人もの子どもたちが亡くなっていますので、明らかにインフルエンザよりも軽い病気です。同じウイルスなんですけれども、アメリカでは日本に比べると、はるかに子どもたちの被害が大きいので、それを防ぐワクチンのメリットはやはり大きいという計算になります。日本ではそもそもあまり重症化することが少ないので、アメリカと同じような判断をしていいのかどうかというのは、十分に考えたうえで決めたほうがいい。日本ではリスクのある子どもたちへの接種はどんどんしていくにしても、健康な子どもたちへの接種は、アメリカのデータを見てから決めてもいいのではないかと思います」

Q 新型コロナウイルスとインフルエンザのリスクは専門家の先生によってとらえ方が違いますよね?

「地域によっての違いもあると思います。新型コロナウイルスは、日本やイギリスなどでは明らかにインフルエンザよりも軽くすんでいますけれども、アメリカではインフルエンザよりも重い。その理由はよくわかりません。マイノリティの人々が医療へのアクセスが悪いのか、ヒスパニック系やアフリカ系の人に多い合併症がありますので、それが起こっているのか、もしくはハイリスク因子である肥満というのが理由なのか、そういったものの組み合わせだろうと思います」

コロナ前の日常に戻れるのか? 9人の専門家は…

Q コロナ前に日常にいつ戻れる?

■東邦大学(感染制御学) 小林寅テツ教授(※テツは吉が2つ並ぶ哲の異体字)
1~2年くらい
ワクチンの接種と経口治療薬がきーとなりインフルエンザや風邪と同じレベルに

■関西福祉大学 勝田吉彰教授
インフルエンザ並みの感覚になるのは来年後半
ただし迅速な検査と治療薬(天敵と経口薬の両方)がそろえば

■東北大学 小坂健教授
元には戻らないが経口治療薬もできてくるので冬を超えればだいぶ我々の認識が変わってくる

■国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授
マスクを取って生活ができるようになるのはあと2~3年かかる
ただし来年は薬の開発も進み、コロナへの脅威はたいぶ薄れる

■昭和大学 二木芳人客員教授
全く同じような日常が戻るか疑問
人々との交わりがコロナを意識せず行えるようになるのは感染状況次第だが、来年の後半か

■神奈川県医療危機対策統括官 阿南英明医師
わからない

■長崎大学大学院 森内浩幸教授
(世界中への)ワクチン・抗ウイルス薬の普及によって1~2年で元に戻れるのではと期待

■インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁医師
当たり前に検査できる医療体制
経口治療薬やワクチンなどが不足なく使えるようになる
コロナが当たり前の疾患として社会的に受け入れられる
上記の環境と法律ができたとき

■元厚労省医系技官 木村もりよ医師
ウィズコロナを宣言すれば人の動きや感情は少しずつ変わると思う

コロナ前の日常に戻るために…

Q “日常”というものがあいまいになってきていますが、コロナ前のように戻ることはできるのでしょうか?

(森内教授)
「コロナが消えてしまうということではなくて、日常が戻るかどうかということで皆さんお答えになったんだろう思います。ということはやはり医療体制がどのくらいしっかりしているかということによって、コロナがどのくらいあってでも元に戻せるかどうかは変わるわけですので、ウイルスだけでなく、わたしたちがどういう風にするかによっていくらでもこの予想は変わっていくだろうと思います。

Q 経口薬ができると、新型コロナウイルスもインフルエンザのような扱いになりますか?

(森内教授)
「例えばインフルエンザは新型コロナの変異とはわけが違うくらいにしっかり変異するので、新しいワクチンを毎年打たないといけないです。それでも十分な有効性はないので、リスクの高い人は、かかったらすぐに診断を受けてお薬を飲むことによって重症化を防ぐことになります。新型コロナウイルスもそれが期待できる時代にはなりましたけれども、どこにでも普通に診療にかかって、すぐに診断を受けて、発病して2~3日以内にはお薬をもらう体制ができない限りは、いくら経口薬ができても、インフルエンザと同じような診療にはならないです。そもそも普通の風邪のウイルスみたいに、子どもたちはかかるけど重症化はしない、大人はめったにかかることはない、そういう風になってしまえば、今すでにある風邪のウイルスの仲間入り、新型が取れてしまうことになるだろうと思います。それを犠牲者が出ない形で、リスクのある人たちが免疫を持てるかどうかにかかっていると思います」

Q 大学生は依然として、全面的な対面授業ができず、サークルなどの飲み会も禁止なまま。小学校などでもまだ黙食をやっていて、ずっとマスクをつけたまま。感染者数が減っている今、学校という学び場でトライエラーをやって、普通に戻す努力をやらなければいけないのではないでしょうか?

(森内先生)
「それはもちろんそうだと思います。そして、子どもたちの中での感染が広がっても、少なくとも今の日本の状況を見ると子どもの被害がそれほど出るわけではない。基本的には子どもからリスクのある大人への感染が気にされているので、そうであればその大人たちが 2回の接種、場合によっては3回目の接種ができていれば、仮に子どもからうつったとしても症状がほとんどないか風邪程度ですむわけです。ですので、ウィズコロナ時代を考えるうえで、大人は一年間辛抱すればいいかもしれませんが、子どもはその1年間で本来発達しないといけないのに、足止めを食ってしまうと、あとから戻すことができなくなってしまう。そういうことも考えていかなればいけないと思います」


(情報ライブミヤネ屋 2021年11月10日放送)

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