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【独自解説】 “第7波”の到来か?新型コロナ感染が急拡大のワケ 必要なのは重症化する前の“早期治療” 最前線で診療する医師が提言
2022年7月8日 UP
7月5日、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は前の週の倍以上となる5302人となりました。全国的にも感染者は大幅に増加し、島根県と愛媛県、熊本県は過去最多の感染者数を記録しています。15日間連続で前週比の新規感染者が増えた愛知県の大村知事も「“第7波”に入った」との認識を示しています。なぜ急に感染は拡大したのか?いま、必要な医療体制とは?最前線でコロナ患者を診療するインターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁医師が解説します。
新型コロナ新規感染者数が急増、その要因は?
東京都の新規感染者数は7月5日に5302人となり、先週と比べると2倍以上で、18日連続で前週の同じ曜日を上回っています。
Q.新型コロナの感染者数が今週に入り、急増していますね。
(倉持医師)
「今までのオミクロン株の『BA.1』、『BA.2』といったものに比べ、今増えつつある『BA.4』、『BA.5』は、さらに感染力が強いというデーターが出ていますので、今までより急速に感染者が増加していく可能性が高いと考えられます」
Q.行動が活発になっていることが感染拡大の要因でしょうか?
(倉持医師)
「人々の行動が活発になっていることも一つの要素だと思います。また、西日本の感染者が非常に多く、特に沖縄から九州、中国地方が多くなっています。関東圏は少し前まで増えていて、最近減ってきた印象があったんですが、ここ2週間ぐらいで東京がぐっと増えています。今までの流行のパターンと違っていますが、今後は全国に広がっていくと思われます」
Q.多くの人がワクチンを打っていますが、なぜ感染者が増えるのですか?
(倉持医師)
「ワクチンを打って一定期間が立つと抗体価は10分の1くらいまで落ちてしまいます。また、ウイルスを撃退するために必要な抗体の量も同じオミクロン株でも『BA.1』、『BA.2』より『BA.4』、『BA.5』は増えています。例えば、デルタ株の時に1000ぐらいだったのがオミクロン株だと5000~6000あってもかかってしまいます。さらに『BA.5』になるともう少し多く必要だろうというデーターが出ています。ワクチンを打ってから1か月ぐらいならかからないんですが、それを過ぎるとかかりやすくなってしまいます」
Q.副反応が強く、3回目や4回目のワクチンの打つのをためらう方もいらっしゃると思うのですが?
(倉持医師)
「ワクチンの副反応も適切な治療で簡単に軽減することができます。抗体の量をちゃんと計って、抗体が少ない人は積極的にワクチンを打った方がいいと思います。ワクチンはずっと効果があるものではないですし、株によっても効果が落ちるのも事実です。打てる人は打ってほしいと思います」
新規感染者数が急増する中、7月5日時点で東京の病床使用率は22.6%となっています。重症病床使用率は東京都の基準で3.8%です。
Q.オミクロン株は重症者が少ないようですが、弱毒化しているのですか?
(倉持医師)
「何を持って弱毒化というかで違います。例えば肺炎を起こすと言う点ではオミクロン株の『BA.2』はデルタ株より弱毒化していると言えますが、『BA.4』はより肺炎を起こしやすいというデーターも出ています。感染者数や、後遺症が出るという問題まで考えると、単純に今の段階で弱毒とは言えず、波が終わってデーターを集めてからじゃないと分からないと思います」
Q.いま、クリニックに来られる方は軽症の方か重症の方、どちらが多いですか?
(倉持医師)
「熱やのどの痛みと言った軽症の方が多く来院します。しかし、同居している家族の方はほぼ全員感染していますので、その中に高齢者や基礎疾患がある人がいると、あっという間に重症化して、病院に来る頃には全身の状態が悪くなって、手遅れになるというケースも多くありました。また若い方でも後遺症がきつく残る人も多く出ています」
Q.病床使用率は低い数字で抑えられているように見えますが?
(倉持医師)
「オミクロン株は肺炎を起こすデルタ株とは性質が全く変わっています。ほとんどの方が風邪のような症状が出て、その中から軽症だと思っていたら知らぬ間に重症になって入院を要する状態になり、亡くなる方が多いのが事実です。デルタ株のときの感覚と今の感覚は違います。重症化例だけに治療すればよいというスタンスではなく、早期に治療介入するという方向にシフトしないといけません。デルタ株の時のように酸素飽和度だけをみて、酸素が大丈夫だから軽症だというのとは全く違いますので、診療体制を変える必要があると思います」
感染拡大の中、迎える夏休み・・・いま、必要な医療体制とは
そんな中、政府は旅行支援について、「県民割」を地域ブロックで行っていましたが、7月14日に終了し、このあと全国に広げる予定でした。実施の判断はまだ下されていません。松野官房長官は「足元の状況も踏まえ、総合的に見極めた上で適切に判断したい」としています。
倉持医師は「感染拡大期ではあるが、社会経済活動も必要で、そのためには“新しい旅の形”を考えるべき」としています。例えばマスクの正しいON、OFFの理解・実行や、小人数・家族単位での旅行を徹底、旅行直前のPCR検査、旅行先で感染した場合に現地で早期治療を受けられる体制の整備などがあげられるということです。
Q.旅行前のPCR検査は重要ですね?
(倉持医師)
「体調が悪いかもしれないけれど予約したから行かないと・・・という人も多いと思います。旅館などは徹底した感染対策をしているので、旅行先で感染することはあまりなく、一緒に行った人が感染していた、というケースがほとんどなので事前のPCR検査が重要です。また、旅先での検査や治療に関しても国がリーダーシップを取って体制づくりをしていくことが大事だと思います」
Q.改めて、感染者が増えつつある今、必要なことは何でしょうか?
(倉持医師)
「日本には皆保険制度といって、必要な時に受診したいと思ったら受診する権利があるはずなんですが、新型コロナに関しては、それができないのが当たり前になっていたのが非常に問題です。患者数が増えてしまうと検査できる数が少ないので、例えば『喉が痛いだけだったら検査なしで自宅療養で様子見』が当たり前になってしまっています。そういう中から結果として亡くなってしまった人が実はたくさんいたんです。そういうことを繰り返してはいけません。必要な人にはPCR検査を複数回行なえるようにするべきです。また、私たちは1月から5月までの間に7000人以上の感染を診断したんですが、クリニックにおいておける経口の治療薬は18人分しかありません。インフルエンザですと2000~3000人分の治療薬の備蓄を持って戦えますが、新型コロナの場合は、患者が来てから薬をオーダーして薬が来るのを待つ状態なので、本当に具合が悪そうな人にしか投薬できない状態が続いています。経済活動をスムーズに動かしていくのなら、医療機関に薬をたくさん用意して、医師の治療方針に従ってきちんと“早期治療”できる環境を整えてほしいと思います」
Q.“早期治療”というのがポイントですか?
(倉持医師)
「多くの症例を経験し、厚生労働省が認可している薬に関しては、安全性も高く、効果もあると感じています。我々ができることは、早期に診断してから早期に治療する事以外ないんです。状態が悪くなってから病院に救急車で運ばれてきても遅いんです。そういったことが3年も続いていて、大きな病院の医師も疲弊しています。早く診断した段階で早く投薬したほうが、患者の負担も医療従事者の負担も減ります」
Q.これから暑くなると熱中症との区別も難しいと言われていますが…
(倉持医師)
「うちでは熱中症や風邪のような症状で運ばれてきた人にも全員にPCR検査をしています。検査で陰性を確認しないと熱中症で入院が必要な方を基幹病院に送ることもできません。今では十数分でPCR検査の結果がわかるものもあります。そういったものを柔軟に使いながら、検査で除外できる病気は除外することが重要です。検査のハードルを下げて、当たり前に検査できる環境が至急必要だと思います」
Q.最後に、第7波をうまく乗り越えるにはどうすればいいのでしょうか?
(倉持医師)
「感染拡大期にこそ、速やかに検査をして積極的に投薬をしていくことで感染拡大をおさえていくという新しい考え方が必要です。症状が悪くなってから対応するというのでは後手に回ってしまいます」
(情報ライブミヤネ屋 2022年7月6日放送)


