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【波紋】「そんなの売っていいの?」議員バッジをネットオークションに出品!?“要返却”のはずが回収されず…ずさんな管理体制が明らかに
2025年10月15日 UP
東京都議会の議員バッジが、ネットオークションに出品され問題視されています。規定では返却が義務付けられていますが、実際には回収されておらず、管理のずさんさが浮き彫りに。いったい誰が出品したのか?なぜ回収されていないのか?『議会事務局』の回答とは―
■「ちょっと常識ない」議員バッジをネットオークションに出品か
2025年8月、東京都議会の議員バッジがネットオークションに出品され、3万4100円で落札されていました。
写真を見ると、ウラ面に『東京都議会議員記章』の文字が刻まれています。
議員バッジの出品について街で尋ねると、多くの人から疑問視する声が…。
「そんなの売っていいの?ちゃんと管理してないの?」
「そんなことする人いるんだ。ちょっと常識ないな」
東京都議会の議員バッジは、なぜ堂々と出品されていたのでしょうか?
東京都議会の議員バッジは10金製で、裏側には番号が振られています。2021年の時点では、バッジの単価は1万2980円でしたが、金の価格高騰で、現在は約3.6倍の4万7355円(箱代なども含む)となっています。
議員バッジについて、『東京都議会議員記章規定』によると、
●バッジは議員に貸与するものとする
●他人に貸与又は譲渡してはならない
と記載されていて、議員バッジは返却する必要があるということです。しかし…
(東京都議会・三戸安弥議員)
「1期目のバッジを持っているので、2つになっちゃうので、『最初の議員バッジをお返しします』と、その場でお話ししたら、『もう回収していないので、そのままお持ちください』と言われました」
2025年6月の東京都議選で、2期目の当選を果たした三戸安弥(さんのへあや)議員。2期目の初登庁で議員バッジを渡された際に古い議員バッジは、回収されなかったといいます。
(三戸議員)
「東京都議会議員バッジを回収していないということで、ますます転売行為というのは繰り返されてしまうんじゃないかなと思いますね」
■いったい誰がオークションに出品したのか…?
果たして、ネットオークションに出品された議員バッジは誰のものなのでしょうか。写真を見ると、バッジには『105』という数字が刻まれています。
(三戸議員)
「今回、ネットオークションで出されているのも、番号がしっかりと振られていたので、『誰が手放したものか分かりますよね?』と議会事務局のほうに尋ねると、『ちょっと古いものなので、さかのぼって調べられない』と言われました。本当は分かってないといけないものですよね。貸与しているはずなので」
東京都議会の事務局では、誰のものなのかは分からないということです。
一方、今回の議員バッジの出品について、街の人からは防犯上の観点からも不安の声が上がっています。
「不正に使う人は絶対出てくるよね。詐欺もそうだし」
「一般の人でもそれ(議員バッジ)持っていたら(議員だと)信じちゃうってことですよね」
実際、2022年には、ネットで購入した偽の議員バッジをつけた男が、国会議員を装い、外務省の庁舎などに侵入し、その後、有罪判決を受けました。現在、三戸議員自身は、「都議としての身分を証明する議員証があるため、議員バッジの必要性を強く感じていない」といいます。
(三戸議員)
「貸与というところが全く守られていない。これはもちろん、変えなければならないですし、交付にするんだったら、10金製ではなく、それこそ金メッキ製・金張り製をメインに使うことによって、都民からの税金という支出はかなり抑えられるのではないかなと思います」
では、なぜ議員バッジを回収しないのか、『東京都議会 議会局』に尋ねると、「1973年に、『積極的に回収しない』と内部で取り決めをした。なぜ取り決めをしたのかは現在分かる職員がいない」ということです。
また、今後、見直す予定があるかについては、「議会での議論も踏まえ、対応していきたい」としています。
■熊本県議会では素材を金メッキに変更へ
熊本県議会では、2027年から、議員バッジの素材を金メッキに変更します。元議員にはバッジの返却を呼びかけました。バッジを集めて、金の部分を溶かし、金塊に変えて入札したところ、約350万円で落札されたといいます。
Q結局、返さなくても罰則はないということですか?
(亀井正貴弁護士)
「法律的には慣習は別にして、“横領”が成立する可能性はあります。他人のもの・地方自治体所有のものを、自分のものとして処分するわけですから。一般的には他人の所有物を買っても、自分の所有物にはならないのですが、『即時取得』という制度でそうなることはあり得ます。しかし『議員』は資格がいるもので、バッチが貸与されているものだと認識して売ると、自分の(買った人の)所有物にならない可能性があります」
(「情報ライブミヤネ屋」2025年9月26日放送)


