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“脱北ブローカー”による告発

【北朝鮮】約3000人を救った“脱北ブローカー”が顔出し激白!「脱北者をお金稼ぎに利用している」協力者を告発も…知られざる過酷な実態を暴露

 北朝鮮からの脱北者で“脱北ブローカー”をしているファン・ジソン氏が、韓国のテレビ局『SBS』の独占インタビューに応じ、知られざる脱北の実態を語りました。過酷な脱北ルートに加え、協力者である“スーパーマン牧師”の疑惑にも言及。『SBS』のインタビュー内容をもとに『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が解説します。

■北朝鮮出身の“脱北ブローカー”激白!知られざる脱北の実態

“脱北ブローカー”の実態

 2025年10月25日、韓国のテレビ局『SBS』は脱北者ファン・ジソン氏への独占インタビューを放送し、知られざる脱北の実態を明かしました。ファン氏は10年以上にわたり、約3000人の脱北者を韓国に送る“脱北ブローカー”をしていて、さらに脱北者が北朝鮮の家族に送金するためのサポートを行う“送金ブローカー”もしているといいます。

 ファン氏の故郷は中朝国境地域にある咸鏡(ハムギョン)北道・茂山(ムサン)という場所です。家族は飢えに苦しむ日々を送っていて、17歳のときに脱北を決意したということです。そして2009年、中国経由で韓国へ行き、建設現場などで働いた後、チュ・スヨン氏と結婚しました。

『コリア・レポート』編集長・辺真一氏

(『コリア・レポート』編集長・辺真一氏)
「大体、“脱北ブローカー”というのは韓国人か中国人が担うんですが、北朝鮮出身の脱北者が、『自分が3000人近く脱北させた』という形で名乗り出たのは、非常に珍しいです」

主な脱北ルート

 主な脱北ルートですが、中国に入った脱北者がまず向かうのが、南部の都市・昆明です。カメラや顔認証システムなどの監視体制をかいくぐり、ラオスとの国境を目指していきます。ラオスに入るためには、人目を避けて、ジャングルのような森を抜ける必要があります。そして、最後の関門であるメコン川を船で突き進みタイへと入ります。タイに到着さえすれば、韓国大使館に引き渡され、韓国に渡れる可能性が高くなるといいます。

(辺氏)
「中国に入って、そのまま大使館に駆け込めば、安上がりで済みますが、国境を越えてラオスやカンボジアやベトナムとなると、脱出ルートが長引くというリスクが伴います。さらに北朝鮮と友好国なので、北朝鮮大使館の要請で、ラオス、ミャンマー、カンボジアの公安当局が捜査に動き出すというリスクもあります」

Q.中国の韓国大使館に駆け込むのも大変なことなんですか?
(辺氏)
「北朝鮮と中国が良好な関係のときは難しいですが、関係が悪いときは、中国が北朝鮮を牽制し、懲罰という形で、脱北者をそのまま韓国へ引き渡すというケースもありました。つまり中朝の関係次第です」

■脱北の協力者“スーパーマン牧師”の存在…その実態は?

協力者“スーパーマン牧師”とは

 ファン氏によると、脱北者の『シンドラー』とも称されるキリスト教団の牧師、通称“スーパーマン牧師”という人と、“二人三脚”で脱北者をサポートしてきたといいます。ファン氏は『多くの人を救出したい』、“スーパーマン牧師”は『名誉が欲しい・寄付金を集めたい』と、利害関係が一致したため、協力していたということです。

“スーパーマン牧師”に疑念が…

 ファン氏が、今回マスコミのインタビューに応じたのは、この“スーパーマン牧師”が、お金稼ぎのために脱北支援しているのではないかと疑念を抱いたからだといいます。

 疑念1つ目は、脱北費用に関して、ファン氏は「一人当たり約150万円で脱北させられる!」と“スーパーマン牧師”に伝えたところ、なぜか“スーパーマン牧師”からは、それより多い約165万円の振り込みがありました。そのあと、「(多く振り込んだ)約15万円を現金で手渡してくれ」と要求されたといい、このようにして手渡しした現金の総額は110人分で約1650万円に上るということです。

偽の領収書を作成させられた

 疑念2つ目は、“スーパーマン牧師”から「中国国内用として、送金領収書を作ってほしい」と言われたこと。ファン氏は正規とは別に、偽の領収書を6000万円分作成したそうです。しかし調べてみると、脱北費用の一部は使われておらず、脱北者に別途費用が課せられていることが判明したといいます。費用の使途はわかっていません。

脱北者をお金稼ぎの手段に…

 “スーパーマン牧師”によると「脱北費用はタイに到着した脱北者の食費に使うため。偽の領収書はレートの差額を確認するため」と主張しています。これに対しファンさんは「脱北者をお金稼ぎの手段として利用している」と主張しています。

(辺氏)
「“スーパーマン牧師”がなぜ名誉が欲しいかというと、こういう形で名を成せば、国際的人道団体から色々な寄付が集まってくるからです。逆にファンさんは、この人の陰になって、なんとか同胞を脱北させたいという一念で下働きしてきたんです。それが裏切られたので、こういう暴露に出たんじゃないでしょうか」

■韓国警察や北朝鮮ハッカー集団からも狙われている?

ファン氏を追い込む“包囲網”

 ファン氏は、韓国警察や北朝鮮ハッカー集団からも狙われているといいます。まず韓国警察の安保捜査隊からは、スパイ疑惑で1年3か月にわたり、大々的に捜査を受けていたということです。

(辺氏)
「2023年に約186人が、北朝鮮から韓国に脱北していて、そのうち112人を、ファン氏が手助けしたといいます。しかし脱北というのは、そんなに簡単な話じゃないんです。脱北させるためには、北朝鮮のスパイ組織、いわば秘密情報機関の国家保衛部や警察、国境警備隊などに、お金をバラ撒かなければ出来ないと思います。ということは、『相当この組織と繋がっているのではないか?』『ダブルエージェントではないか?』という疑いをかけているんだと思います」

ハッカー集団からも狙われている

 さらに、北朝鮮のハッカー集団『キムスキー』から、SNSでメッセージが送られてきて、執拗に添付ファイルをダウンロードさせようと迫られているといいます。ファン氏の携帯電話やパソコンをハッキングする狙いだとみられています。

『キムスキー(Kimsuky)』とは

 2024年6月2日の『聯合ニュース』や『アジア経済』によると、『キムスキー(kimsuky)』は、北朝鮮の偵察総局傘下のハッカー集団で、2012年ごろから活動が確認されています。軍事・エネルギー・インフラ分野を標的にサイバー攻撃を行い、機密情報を狙っています。2014年には水力・原子力発電に関する図面などの資料を、韓国から盗み取ったとみられていて、2021年には、韓国・ソウル大学病院の患者約7000人の個人情報を盗み取ったとみられています。

(辺氏)
「北朝鮮で一番悪名高いハッカー集団といわれています。恐らく本部か支部は中国にあって、そこから狙いを定められたのではないかと思います。北朝鮮からすると、ファン氏は裏切り者で、加えて同胞を3000人も引っ張っていったということになるので、これは北朝鮮からすれば、断じて許せないと思います。しかも消えた3000人が、中国に行っているのか、韓国に行っているのかは分からないんです。そのリストをファン氏が全部持っているので、それを突き止めようとハッキングしている可能性も考えられます」

Q.ファン氏が、顔を出して色々話すというのは、自分の身の安全を担保にしているというのもありますよね?
(辺氏)
「それが一番大きな理由だと思います。脱北者で、それなりの地位や名前のある人間は、整形までして韓国で潜伏するんです。正体をそのまま出してやるということは、よほどの覚悟がなければできないと思います。『自分はスパイじゃない』ということを証明するために出てきたと思いますね」

中国キャリアの携帯を捜査している?

 2025年11月7日の『デイリーNK』によると、中国との国境地帯で北朝鮮の秘密警察が、中国キャリアの携帯電話使用者の捜査を強化しているということです。情報筋によると、北朝鮮当局は中国の携帯を通じた情報流入が、体制の安定を揺るがす可能性があると判断し、抜き打ちの家宅捜索で住民全体に恐怖心を与え、統制力を強化する狙いがあるということです。

(「情報ライブミヤネ屋」2025年11月19日放送)

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