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【独自解説】北朝鮮 アメリカ製そっくりの兵器に、サムスンを模倣した最新スマホ “パクリ”のワケは世界へのアピールと敵対国への憧れ!?
2023年8月8日 UP
ミサイル発射や軍事パレードなど北朝鮮の挑発行為が止まらないのですが、実は敵対するアメリカや韓国に憧れているのではないか?とささやかれています。実際に最新の兵器やスマートフォンにパクリ疑惑が出ています。龍谷大学の李相哲教授が解説します。
軍事パレード登場の無人機、アメリカ製そっくり?!
7月27日北朝鮮の戦勝記念日に軍事パレードが行われました。そこで、2種類の新型の無人機が公開され、さらに「偵察型無人機と攻撃型無人機が旋回しながらデモンストレーション飛行を行った」とされています。それらがアメリカのパクリじゃないかといわれています。左が北朝鮮の偵察型無人機「新星4型」右がアメリカの無人機「RQ4グローバルホーク」(写真参照)ですが、見た目がそっくりな上、名前の数字も4で同じです。
Q.アメリカを意識して作っているのでしょうか?
(李相哲教授)
「いろんなところにアメリカを意識していることが垣間見えます。機体の文字の位置や軍のマークも同じ場所に描かれています。普通は少し変えると思います」
もう一機種公開されている攻撃型無人機「新星9型」ですが、これもアメリカの「MQ9リーパ」とそっくりで、数字も9で同じです。李教授によると「北朝鮮による完全なパクリ。設計図はハッキングで手に入れた可能性が高い。ただエンジンなどの高性能な中身まで北朝鮮が作れるはずもなく、同じなのは見た目だけ」ということです。さらに、7月には、北朝鮮が打ち上げに失敗した軍事偵察衛星の主要部分が韓国により引き上げられましたが、アメリカと韓国の専門家による分析では、「偵察衛星としての軍事的な使い道は全くない」といわれています。
Q.ハッキングで設計図は手に入れても、実際に作る技術はないのでしょうか?
(李教授)
「半導体を手に入れなければなりませんし、工業技術も必要です。衛星を韓国が回収したことで北朝鮮の技術がばれてしまいました」
Q.今の北朝鮮の技術者は、北朝鮮の人ですか?
(李教授)
「以前はウクライナから技術者が来ていましたが、最近は中国に留学した北朝鮮の技術者がたくさんいます」
Q.いま、アメリカはあまり北朝鮮の話題をしないのですが、実際どう考えているのでしょうか?
(李教授)
「衛星がおもちゃだとしても、核ミサイルは本物なので、正確に目標に当たらなくても、他のところに墜ちても脅威ではあります」
最新スマホはメーカー名までそっくり
7月12日、公開された「三台星8(サムテソン・エイト)」という名前のスマートフォンがあります。「三台星」とは“3つの明るい星”という意味で、金日成主席、金正日総書記、金正日総書記の妻・金貞淑氏を指すといいます。このスマートフォンの何がパクリかというと、韓国の「サムスン」のものとカメラのポジションや製品名が書かれた場所などが同じなのです。しかも、「サムスン」を漢字で書くと「三星」で「三台星」は「台」が入っただけでほとんど同じだといわれています。
Q.北朝鮮の国民は「サムソン」を知っていますか?
(李教授)
「知っている人は知っていますし、国外で『サムテソン』を使っていると『サムソン』を使っていると勘違いされることも狙っているかもしれません」
因みに、北朝鮮国民にとってスマートフォンはどういったものかというと、「朝鮮中央テレビ」では、スマートフォンは我々の生活になくてはならない嗜好品としていたのですが、実はインターネットは使用できないそうです。
Q.北朝鮮では、スマートフォンはどれぐらい普及しているのですか?
(李教授)
「統計上、600万台以上といわれていますので、ほとんどの家庭にあると思います」
Q.インターネット環境はどうなっているのでしょう?
(李教授)
「インターネットはつながりません。北朝鮮内部だけで通信ができるようになっていて、メッセージのやり取りなどはできます。ただ、外国にはつながりません。中国製の携帯電話などは2022年から取り締まられています。その理由は、少しいじると外国と繋がるからです」
北朝鮮での携帯電話使用上の注意があります。それが、①通話がつながった後、すぐ耳に近づけるのはだめ、電話がつながる瞬間、健康に良くない電磁波が発生するため。②電波が1本のときは使用を控える。電波が最大のときより電磁波の強さが1000倍以上になるため。③胸ポケットや枕元に置いてはいけない。電磁波により被ばくする可能性があるため。④充電中に携帯を使用してはいけない。電流が不安定となり、感電事故や爆発事故が起こる。とされています。
Q.なぜこの様なことを言うのでしょうか?
(李教授)
「北朝鮮では、新聞をはじめメディアに『科学常識』のコーナーがあったりします。コロナ禍の頃も『ヨモギを燃やしたらよい』などという説があったように、科学的根拠のないものを国民に訴えているのは、国民の生活の面倒を見ているようで邪魔をしていることになっています。これは、当局が国民の生活に関与したいからだと思います」
これは7月12日の「火星18」の試験発射のときの写真ですが、「朝鮮日報」によると金正恩総書記のテーブルに乗っているのが、サムスン製折り畳み式スマホと推定されるといいます。折り畳み式のスマホは、サムスンの世界シェアが7割超です。このスマホは、中国を通じて北朝鮮に入ってきた密輸品とみられます。李教授は「金総書記はサムスンなどの海外製品が良いことを認めている。そのため最新型スマホも名前や形などをパクったのでは」と話しています。
Q.こういうものは中国経由なのですか?
(李教授)
「一昔前は、シンガポールに贅沢品を調達する会社がありましたが、最近は中国経由で北朝鮮に入っていると思われます」
Q.密輸品を使ったり、パクリ商品を作ったりする理由はなんなのでしょうか?
(李教授)
「決して北朝鮮は世界から取り残されていない。少なくとも金正恩総書記は、世界の潮流を分かっている。というPRになっていると思います。最近韓国に亡命した北朝鮮の外交官によると、『韓国製品は使うな』といわれているそうです。しかし、金正恩はアップルの最新デスクトップやiPadを使っていたりするので、サムソンのスマートフォンも一番良いものを使っている可能性が高いのです。彼は最新の機器が好きなようです」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年8月3日放送)


