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【北朝鮮】叔父の処刑以降初…駆逐艦事故でミスした責任者が映像から“消された”?さらに金総書記の娘“ジュエ氏”の外交デビューに対し国営メディアでは変化が…
2025年7月3日 UP
駆逐艦事故でミスをした責任者が、ニュース映像から消されていることが報じられ、衝撃が走っています。さらに金正恩(キム・ジョンウン)総書記のジュエ氏とみられる娘が突然の外交デビュー。“ジュエ氏”を巡る変化は、何を意味するのか?『コリア・レポート』編集長・辺真一氏の解説です。
■駆逐艦事故でミスをした責任者を映像から削除…その意味は―?
2025年5月21日に駆逐艦の進水式で転覆事故があり、その際、責任者である造船所の所長らが拘束されていましたが、同年6月12日には、やり直しの進水式が成功し、金総書記は3週間での修復を評価し、感謝の言葉も述べたということです。
そんな中、注目を集めているのが、2025年3月に『朝鮮中央テレビ』で放送された、金総書記が造船所を視察した場面。米国の北朝鮮専門メディア『NKニュース』は、この放送時には、海軍司令官と造船所所長が映っていましたが、同年6月13日に改めて放送された映像には映っておらず、“2人の姿が消された”と報道しています。
姿を消して報道されたのは2013年、金正恩総書記の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑以降初めてということですが、辺氏は「北朝鮮の幹部が姿を消す加工をするのは、犯罪者を報道するわけにはいかないから。側近や幹部ほど金総書記の近くにいることが多いので、必要な場面を使用する際は、仕方なく姿を消すしかない」と分析しています。
Q.辺さんは、この駆逐艦事故があった当初、責任者たちは失敗しても、姿を消すほどではないという見立てもしていましたが…
(辺氏)
「そうなんです。私は、海軍司令官がこういう目に遭うのは想像もしていなかったですね。しかし、この方は12年前に海軍司令官になって、これまで2回更迭され、その度に復活しているんです。今回、3度目で、また不死鳥のように甦るかどうか、個人的には興味があります」
Q.粛清もしくは、“お仕置き”の期間があるんでしょうか?
(辺氏)
「“お仕置き”の期間というのが現実的だと思いますが、ただ、“映像から消える”というのは、尋常じゃないんです。ほかの役職に異動するとか、あるいは軍の階級を大将から中将に格下げされるなどが、今までのパターンだったんです」
■金総書記と同等以上の扱い?…娘“ジュエ氏”が突然の外交デビュー
北朝鮮北東部の造船所で盛大に行われた新型駆逐艦の進水式に、黒塗りのリムジンに乗って現れた金総書記。その側には、真っ白なジャケットにスカートのジュエ氏とみられる娘の姿も。
公開された映像から、“ジュエ氏”が、金総書記と“同等以上の扱い”をされているのではと指摘されています。まず式典では、金総書記の隣にいる姿が写っていて、さらに今回は、金総書記よりも一段高い位置にいる映像も公開されました。
2025年5月19日の韓国「KBSニュース」によると、同年5月9日、ロシア戦勝記念日に合わせ、金総書記と“ジュエ氏”が、ロシア大使館を訪問しました。“ジュエ氏”の外交日程同行は初めてだということです。
また北朝鮮メディアは、これまで“ジュエ氏”のことを「愛するお子様」「尊敬するお子様」などと表現していましたが、今回初めて『最も愛するお嬢様』と表現しました。
その『最も愛するお嬢様』の表現に、韓国統一研究院の見解が分かれているといいます。
まず趙(チョ)研究委員によると「“最も”という表現は、ほかの子より優先されていることを意味し、後継構図を知らせる公式なメッセージだ」とのことですが、対して、洪(ホン)研究委員は北朝鮮の男性中心の権力構造を挙げた上で「娘である点を強調したのは、象徴的存在である可能性が高い」と話しています。
(「情報ライブミヤネ屋」2025年6月19日放送)


