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【独自解説】“新型コロナ”感染急拡大で岸田首相は“新たな方針”表明 現場医師「検査パッケージや認証制度の拡充・厳格化を重要視すべき」と提言
2022年1月12日 UP
東京の新規感染者数が“前週比15倍” 岸田首相“新たな方針”表明
“新型コロナ”の感染急拡大を受け、岸田首相は1月11日、自衛隊による大規模接種センターを再び設置することや、12歳未満の子どもについても希望者に対してできるだけ早くワクチン接種を開始すること、また外国人の新規入国を原則禁止する水際対策を2月末まで継続する方針を表明しました。感染拡大が止まらない「オミクロン株」について、日本感染症学会の指導医でグローバル ヘルスケア クリニック院長の水野泰孝(みずの・やすたか)医師が解説します。
感染が拡大する「オミクロン株」について
Q.先生の病院では発熱外来をしていますが患者さんに変化はありましたか?
(水野医師)
「年末までは新型コロナで陽性になる方はおられなかったんですけど、年明けから増えている、急増ではないですが陽性になる方がおられます。」
Q.「デルタ株」か「オミクロン株」かというのは後で検査されるのですか?
(水野医師)
「東京都は陽性者の検体はすべて一律で検査していますので我々のところではデルタ株かオミクロン株かはわからないんです。ただ、検査会社にお願いしてデルタ株のスクリーニング検査をやって頂いたのですが、年明けからの患者さんは、デルタ株のスクリーニングではデルタ株は出ていませんでした。今の状況からするとオミクロン株の可能性が高いと思います。」
Q.沖縄での状況を聞くと肺炎に至る患者さんは少ないようですが、このあたりの実態はいかがでしょうか?
(水野医師)
「私は外来診療をしているので重症、中等症以上の方は拝見できないんですけども、これまでの動物実験等のデータですと、現場の状況を反映していることが考えられて、肺でウイルスが増殖しているわけではなくて、口からのどのあたりの上気道で炎症が強いということですので、どちらかというと肺炎というより上気道炎というような病態が反映していると思います。ただ、風邪症状だから安心ということじゃなくて、風邪をひいても、こじらす方もおられますので、状況を見ながら判断していく必要があると思います。」
ファイザー社 対オミクロンの新ワクチンを開発
ファイザー社CEOは、「オミクロン株」に対応したワクチンについて、3月には準備が整うとの見通しを示しました。さらに「現行のワクチンよりも感染への予防効果が高くなることを期待している」と発表しています。
一方、モデルナ社は、2022年の秋に向けて「オミクロン株」に特化したワクチンを開発中です。20億~30億回分を供給できる見通しを示しています。
Q. 3月にファイザー社の「オミクロン株」対応のワクチンの準備が整うとはいえ、日本にはどのくらい届くかわかりません、やはり今あるワクチンの3回目接種をどんどんした方が良いのですか?
(水野医師)
「そうですね、3回目を打つことによって効果は上がることも言われていますので、重症化しやすい方ですとか医療関係者など広げてはいけない環境の方に対しては積極的に進めていった方が良いかと思います。あとは、治療薬も特定承認されていますので、早期発見して治療薬が必要な方には行きわたるようなシステムを作ることも併せてやる必要があると思います。」
Q.治療薬は軽症のうちに飲んだ方が効果があると言われていますが、軽症だと治療薬を拒否される患者さんもいらっしゃるのでは?
(水野医師)
「そうですね、年明けに何名か陽性になった方に薬を勧めたんですけど、翌日に熱が下がってしまうことも多く、当日に熱が出てもそれほど辛くないということで、今のところご提案してもお薬が要らないという方が全員で、まだ処方の実績がありません。」
水野医師の提言 「オミクロン株」への対策
水野医師は、「人流抑制も大事だが、検査パッケージ(陰性・接種証明書の活用)と認証制度(感染対策の徹底)の拡充・厳格化を重要視すべき」と提言しています。また、保健所主体の管理に限界が来ているとも指摘しています。
Q.まずは検査パッケージ、認証制度について、これは具体的にどういう事でしょうか?
(水野医師)
「例えば集団で集まるイベントの時などは、抗原検査を積極的にやって、集団の中での発生を最小限に食い止めるとか、あるいはワクチンの接種証明書もありますが、今回のオミクロン株はワクチンを2回打っていても感染される方がおられますので、この辺りは議論の余地がまだあると思います。」
Q.保健所主体の管理に限界ということは、ずっと言われていることですが…
(水野医師)
「そうですね。2年ぐらい前からそういう提言をしてきましたが、新型コロナは感染症法・指定感染症で新型インフルエンザ等感染症という位置づけになっています。これは1.5類ぐらいのレベルなんですね。これをやっていると、我々が患者さんを診察して検査が陽性になって、では管理をしようっていうところで、保健所が全部管理をしますので、手を離れてしまうんですね。そこで、全部保健所に投げることになってしまいますので、それを繰り返していると、今これだけ感染者が増えてくると全然回らなくなります。濃厚接触者に関して、沖縄県は『ご自身で判別してください』とおっしゃっていますが、そのあたりを地域の医療が、いわゆる医師会が主体になってやるようにすれば、保健所の業務も余裕が出てくるとは思います。」
Q.感染状況を見て、「オミクロン株」の特徴をどう考えますか?
(水野医師)
「特徴的には、デルタよりも、感染力が3倍~5倍ぐらい、潜伏期間が短い、従来株の半分ぐらい、3日ぐらいといわれています。肺でのウイルス量がデルタに比べると少ないということですね。入院リスクも少ないということですので、このような病態をしっかりとこれまでのデルタとは、違った見方で、対策も併せて取っていく必要があると思います。」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年1月11日放送)


