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2008年 ロシアがジョージアに侵攻

【独自直撃】駐日ジョージア大使「“現地で人権侵害”を理由に侵略、がロシアの常套手段」 ジョージアの歴史と現状から語るウクライナへの危機感と日本への期待

 ロシアに隣接する国「ジョージア」は、2008年にロシア軍に侵攻され、国の一部が支配されています。そのときのジョージアと同じことが、今まさに起こっているとも言えるウクライナ。その共通点や異なる点、今後の懸念、日本に期待することなどを、先日「ジョージアと日本は“非非友好国”です」とツイートし話題にもなった駐日ジョージア大使館特命全権大使のティムラズ・レジャバさんに伺いました。

ロシア軍ジョージア侵攻の経緯

“5日間戦争”にロシアが介入

 ジョージアは、黒海の東にある人口約400万人の国です。首都はトビリシで、ワイン発祥の地と言われています。19世紀前半にロシア帝国に併合され、1922年には旧ソ連の支配下に入れられました。そして1991年の旧ソ連崩壊後、独立を宣言しています。しかし2008年、グルジア(現在のジョージア)の領域内で起こった、グルジアからの独立を求める南オセチアとの紛争“5日間戦争”にロシアが介入。南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立をロシアが一方的に承認し、ロシア軍を駐留させています。

ロシアの侵攻のやり口 共通点と相違点

ティムラズ・レジャバ大使の略歴

 ティムラズ・レジャバ大使は、4歳のときに父親の留学に伴って家族で来日し、広島で少年時代を過ごしました。その後はジョージアやアメリカ・日本で学び、2011年に早稲田大学の国際教養学部を卒業。翌年、キッコーマン株式会社に就職した後、2015年にジョージアに帰国してマーケティング会社を起業します。そして2018年にジョージア外務省に入省し、2021年、駐日ジョージア特命全権大使に就任しました。レジャバ駐日大使は発信力がすごく、ツイッターのフォロワー数はおよそ6万9000人。ロシアが日本を非友好国にすると、翌日ツイッターに「ジョージアと日本は“非非友好国”です」とツイートし話題になりました。

Q, ジョージアとロシアは、人の往来は多いのですか?
(レジャバ大使)
「ジョージアとロシアは、昔から人的交流などが盛んにあったのは事実です。ただし、ジョージアは、これまでずっと自分たちの独立のために戦ってきましたし、多くの犠牲を出してきましたので、自分たちの独立は決してロシアと混ぜてはいけないと考えています」

Q.ソ連崩壊後ロシアになってから、ジョージアに攻めてくるという想定はありましたか?
(レジャバ大使)
「やはりソビエト連邦の前のロシア帝国の時に一度併合されて、その後ソビエト連邦の成立後に支配下に入れられて、ソビエト連邦崩壊後に独立したという経緯を考えると、リスクがあるというのは当然分かっていました」

共通するロシアの侵攻の“やり口”

Q,今のウクライナと2008年にロシアに侵攻されたときのジョージアと、似ているところが多いといいますが実際はいかがですか?
(レジャバ大使)
「物事の展開の仕方、特にロシアが『現地で人権侵害が起きている』と言っていたり、サイバー攻撃をしたりという、現地に不安定化を起こして、それをきっかけに、ある地域の独立を一方的に宣言して、そこから軍事的侵略をはじめる、という流れが、非常にジョージアとウクライナは重なります」

Q.今回のウクライナ侵攻で、ジョージアのときには起きなかったことはありますか?
(レジャバ大使)
「今回は、ロシアがウクライナ全土に対して侵略・攻撃を展開しているのが大きな違いです。これは確実に、ウクライナの独立に対する脅威になっています。しかし今回は希望もあって、国際的な連帯の規模がだいぶ違っています」

現在もジョージアで拡大するロシア勢力

今もロシア勢力の“国境”がじわじわ拡大

 ジョージアは、アブハジア自治共和国と南オセチア自治州が切り取られていますが、そのロシア側が設定した“国境”が、日常的に拡大していると言います。赤ん坊が這うようにじわじわ拡大していくため“這う境界”とも呼ばれ、住民に様々な被害が起きているということです。

Q. “這う境界”は、もう押し返せないのでしょうか?
(レジャバ大使)
「そういうことは、ジョージア側からは考えていません。平和的な解決ができれば、これが一番いいという風に考えています。押し返すようなことをやって、良い事はないだろう思います。」

ロシアの軍撤退要求をウクライナが拒否

 ジョージアは、アブハジア自治共和国と南オセチア自治州が切り取られていますが、そのロシア側が設定した“国境”が、日常的に拡大していると言います。赤ん坊が這うようにじわじわ拡大していくため“這う境界”とも呼ばれ、住民に様々な被害が起きているということです。

Q. “這う境界”は、もう押し返せないのでしょうか?
(レジャバ大使)
「そういうことは、ジョージア側からは考えていません。平和的な解決ができれば、これが一番いいという風に考えています。押し返すようなことをやって、良い事はないだろう思います。」

日本人に知って欲しい「気持ちの根底にある歴史」

レジャバ大使が日本国民に期待すること

 レジャバ大使は、日本国民に期待することは、『アジアの国々をまとめる存在になってほしい』『旧ソビエト連邦から独立し、今もロシアの圧迫を受ける国々への支援』『「独立を守る」ために戦う国民の気持ちへの理解』だと言います。

Q.東欧諸国は、常にロシアからの圧迫を受けているということですか?
(レジャバ大使)
「今はウクライナ侵攻が中心になっていますが、ウクライナという“点”でこの問題が起こっているのではなく、ポーランドをはじめモルドバ、我がジョージアなどの地域が、非常に大きな問題を抱えています。そしてこれは、歴史をさかのぼる問題で、今に始まったことではありません。こういう歴史を含めた今の状況を、知っていただきたいのです」

Q.「独立を守る」ために戦う国民の気持ちへの理解、とは?
(レジャバ大使)
「日本はずっと独立した国家がありましたから、そういう気持ちが一般にはなかなか分からないかもしれませんが、我々は昔から独立のために血を流して、自分たちの文化やアイデンティティをここまで何とか保ってきていて、独立に対するこだわりは当然強いんです。そういうものが、我々が侵略者に対抗する気持ちの根底にあるという事を知っていただきたい、ということです」

Q.ウクライナの現実を見ていますと、一刻も早い停戦が必要ですよね
(レジャバ大使)
「とにかく話し合いが必要だと思います。この侵攻が始まってから、まだロシアとウクライナの首脳同士の会話が行われていません。とにかく、この状態を脱するための道筋を見つけなければなりません」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月23日放送)

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